#12
カインの顔を見ているうちに、なんとも言えない懐かしさが溢れ出てくる。
が、今はそんなことを言っている場合ではない。
『みんな、大丈夫だ。ダルジニョン王国騎士はけっして曲がったことをしない。それよりも、カインさんはオレたちよりもずっと目上なんだから、きちんと挨拶をしよう』
カインにわからないように、Translation をかけずに日本語ででみんなに挨拶を促す。
「ダルジニョン……王国?」
オレの言っている言葉の半分は意味がわからないのだろう。
それでも皆は、まだ疑心暗鬼のまま、それでも背筋を正してカインに向かい合う。
「騎士さま、オレはケンゴと言います。この中でリーダーをやっています」
「ケンゴくんか。キミがリーダーなんだね。はじめまして、私はカインだ。『騎士さま』なんて硬い言い方はよしてくれ、カインでいい」
「カインさんですね、わかりました」
ケンゴが頭を下げると、次にアリサが一歩前へ出る。
「アリサです。よろしくお願いします、カインさん」
アリサも深々と頭を下げる。
「アリサか。こちらこそよろしく頼む」
対してカインは軽い会釈。
ダルジニョンに深いお辞儀をする文化はないからな。
そして、最後はコータがおずおずと前に出て、
「コータと言います。その、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
「コータ君だね。よろしく」
カインはニッコリ笑って、皆の顔を見回し、
「それで、君たちはここで何をやっているんだい?それに、どうやってここまで入ってきたんだ?」
「そ、それは……」
リーダーであるという自覚からか、ケンゴがそれに答えようとする。
が、流石にちょっと荷が重いだろう。
「説明ベタなリーダーに変わって、ボクが説明します」
「キミは……えーっと、ダイチくんだったね」
「はい。ボクたちはダンジョン探索チームを結成していまして、このダンジョンを攻略中です」
「少年探検団ということか。なるほど」
カインは頷いて、
「でも、どうやってここまで入って来れたんだい?」
「その質問に答える前に、カインさん、先に教えてほしいことがあるんです」
「む、何だろう。私にわかることなら答えよう」
カインは少しおどけたように笑いかける――オレたちの緊張をほぐすためだろう。
「ボクたち、はじめはたまたまこのダンジョンに迷い込んだんです。でも、このダンジョンの名前をまだ知らないんです」
「ほう?」
カインが驚いて目を見開く。
「このダンジョンは、どこの、何というダンジョンですか?」




