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秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
三章「遭遇」
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38/64

#11

『……子供……?』


 ソイツは、俺たちを見て驚いたようだ。


『なんでこんなはぐれ階層に子供がいる?』


 そう言って、ガシャンガシャンと音を立てて歩いてくる。


「「「「!!!!」」」」


 皆に緊張が走るのがわかる。

 だが、緊張する必要はない。

 こちらは何もやましいことをしているわけではないし、それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。


『こんにちは。ダルジニョン王国騎士の方ですね』


 オレは、せいぜい子供らしく聞こえるように、丁寧に話しかける。

 騎士は少し警戒を解いたようで、立ち止まった。


『キミは? こんなところで何をしてるんだい?』

『ボクはダイチと言います。彼らはぼくの仲間で、今はダンジョン探索をしています』

『子供だけでかい?!』


 騎士は驚いたように目を見開く。


「な、何を話しているの……?」


 アリサが怯えたように呟く。


(ああ、そうか、言葉がわからないか)


「皆、安心していい。この男は王国の騎士だ。危険はない」

「騎士? 王国? 何の話だ?」

『おや、外国語かい? 聞き覚えのない言葉だけれど……』


 騎士が、日本語を聞いて、不思議そうな顔をする。

 王国騎士は、主要な言葉ならたいてい理解できるからな。

 聞き覚えのない日本語に驚いたのだろう。


『あ、すみません。ボクたちが住んでいる場所の言葉なんです。今、翻訳しますね』

「ダイチ、何言ってんだ……? それ、英語?」

「どう聞いても英語じゃないよ、ケンゴ……」


 不安そうな皆に対して、オレは翻訳魔法をかける。


『――Grant Translation(エンチャント・翻訳)』

『おっ!? キミはまだ若いのに、付与魔術が使えるのかい?!」


 騎士が驚きの声を上げるが、まぁオレの見た目からすると珍しいだろうからな。


「!!……意味がわかる!!」

「本当だ!」


 皆も驚いているが、これは初めての翻訳魔術に対してだろう。


「あの」


 カナが軽く手を上げて声をかける。


「自己紹介したほうがいいでしょうか」

「ん、キミは?」


 騎士がカナに目線を合わせるためにしゃがみ込む。


「カ、カナ、大丈夫か?!」

「……なんで一人だけ平気そうなのよ……」

「だって、ダイチさんのことを信用してるもの」


 そう言って、カナはニッコリと笑う。


「はじめまして、騎士さま。私はカナと言います。そこのダイチさんの友人です」


 礼儀正しいカナの挨拶に、騎士は少し驚いて、そして優しく笑い返した。


「はじめまして、カナ。私は王国騎士の一人、カインという。どうやらわかってもらえているようだけど、危害を加えるつもりはないし、怖がらせるつもりもないよ。安心してほしい」

「はい、大丈夫です。ダイチさんも問題ないと言っていましたし、怖くありません」


 まだ衝撃から復帰していない他の三人と較べ、カナの態度は堂々としたものだった。

 カナにこんな一面があるとは。


 ――そして、カイン。

 あれから何年経ったんだろう。

 最後に別れてから、オレの感覚だと十年は経っているのだが、お前はあの頃と、全く変わってないんだな。

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