#11
『……子供……?』
ソイツは、俺たちを見て驚いたようだ。
『なんでこんなはぐれ階層に子供がいる?』
そう言って、ガシャンガシャンと音を立てて歩いてくる。
「「「「!!!!」」」」
皆に緊張が走るのがわかる。
だが、緊張する必要はない。
こちらは何もやましいことをしているわけではないし、それにコイツが子供に害を与えることなど、あり得ないからだ。
『こんにちは。ダルジニョン王国騎士の方ですね』
オレは、せいぜい子供らしく聞こえるように、丁寧に話しかける。
騎士は少し警戒を解いたようで、立ち止まった。
『キミは? こんなところで何をしてるんだい?』
『ボクはダイチと言います。彼らはぼくの仲間で、今はダンジョン探索をしています』
『子供だけでかい?!』
騎士は驚いたように目を見開く。
「な、何を話しているの……?」
アリサが怯えたように呟く。
(ああ、そうか、言葉がわからないか)
「皆、安心していい。この男は王国の騎士だ。危険はない」
「騎士? 王国? 何の話だ?」
『おや、外国語かい? 聞き覚えのない言葉だけれど……』
騎士が、日本語を聞いて、不思議そうな顔をする。
王国騎士は、主要な言葉ならたいてい理解できるからな。
聞き覚えのない日本語に驚いたのだろう。
『あ、すみません。ボクたちが住んでいる場所の言葉なんです。今、翻訳しますね』
「ダイチ、何言ってんだ……? それ、英語?」
「どう聞いても英語じゃないよ、ケンゴ……」
不安そうな皆に対して、オレは翻訳魔法をかける。
『――Grant Translation(エンチャント・翻訳)』
『おっ!? キミはまだ若いのに、付与魔術が使えるのかい?!」
騎士が驚きの声を上げるが、まぁオレの見た目からすると珍しいだろうからな。
「!!……意味がわかる!!」
「本当だ!」
皆も驚いているが、これは初めての翻訳魔術に対してだろう。
「あの」
カナが軽く手を上げて声をかける。
「自己紹介したほうがいいでしょうか」
「ん、キミは?」
騎士がカナに目線を合わせるためにしゃがみ込む。
「カ、カナ、大丈夫か?!」
「……なんで一人だけ平気そうなのよ……」
「だって、ダイチさんのことを信用してるもの」
そう言って、カナはニッコリと笑う。
「はじめまして、騎士さま。私はカナと言います。そこのダイチさんの友人です」
礼儀正しいカナの挨拶に、騎士は少し驚いて、そして優しく笑い返した。
「はじめまして、カナ。私は王国騎士の一人、カインという。どうやらわかってもらえているようだけど、危害を加えるつもりはないし、怖がらせるつもりもないよ。安心してほしい」
「はい、大丈夫です。ダイチさんも問題ないと言っていましたし、怖くありません」
まだ衝撃から復帰していない他の三人と較べ、カナの態度は堂々としたものだった。
カナにこんな一面があるとは。
――そして、カイン。
あれから何年経ったんだろう。
最後に別れてから、オレの感覚だと十年は経っているのだが、お前はあの頃と、全く変わってないんだな。




