表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
三章「遭遇」
PR
34/64

#7

 練習の成果もあって、無事ぼくたちは「Nocturnality(夜目)」を覚えた。


「Nocturnality(夜目)」をかけると、明るいところでは特に変わりはないのだけれど、暗いところに入っても、明るいところとあまり差が無くなる感じがする。

 どこもかしこ灯りがあって、うっすら明るい、といった感じ。

 たまに都会に出たら、裏路地や地下道まで、どこもかしこも明るいけれど、あれにちょっと近い。

 こんな便利な魔法なのに、なんで「facem(灯りよ)」や「Lumen(光あれ)」を使うんだろうと一瞬考えたが、覚えるのが難しいのと、黄色の魔石が勿体無いことを思い出して納得する。

 他の色の魔石でも使えないことはないんだけど、いきなり燃費が悪くなるのだ。

 戦闘中にいきなり効果が切れたらシャレにならないしね。


 灯り魔術と違ってモンスターに発見される可能性が減るので、これからは積極的に使っていくけど。


「よく考えたらさ、一回潜るごとに、最低一つは土属性の魔石をゲットしておかないと、減る一方じゃん」

「あー、そう言えば」


 そうだよ、当たり前じゃないか。


「黄色って、毎回は出てこないよね」

「そ、そうだな、2〜3回に一回くらいかも」

「どうするんのさ」

「そ、そんなこと言われても」


 ケンゴが眉を下げる。


「じゃあさ」


 アリサが挙手する。


「いつも、だいたい一〜二時間くらい潜って、戻ってるじゃない?」

「そうだな」

「でも、戻るとほとんど時間が経ってないわけよ」

「だな」

「ということは、仮にまる一日潜っていたとしても、数分とかしか経ってないんだと思う」

「検証は必要だろうけどね」

「だから、食べ物とかを持ち込んで、黄色の魔石を見つけたら戻る、というルールにしたらどうかな」

「おおー」


 なるほど。


「ぼくたちも、位階が上がって、一〜二時間じゃ疲れもしないしね。丸一日潜ってても大丈夫だとは思う」

「食べ物なら、あたしが用意できると思うし」

「アリサ、いいの?」

「大丈夫大丈夫。パパも「注文しすぎたものはどんどん使っていい」って言ってたから」

「親父さん最高じゃね」

「っていうか、発注ミスをママに見つかるのが嫌なだけなんだけどね」


 というわけで、ダンジョンの浅いところで、時間の流れかたについて検証。

 その結果、わかったことがある。


1. ダンジョン内でも「外の光」が届くところでは、普通に時間が流れている。

2. 「外の光」が届かないところまで行くと外の時間の流れがぐっと遅くなる。たとえば五分潜っていても、実際には1分程度しか経っていない。

3. 更に奥、モンスターが現れる辺りまで行くと、外の時間はほとんど流れない。

4. 一〜二時間潜って戻ってきた時、外で1〜2分しか経っていないのは、ほとんど入口近くで消費した時間で、奥の方まで行くと、ほとんど時間が流れない


「つまり多少長いこと潜っていても、門限に間に合わないということはないってことね」

「これは助かるね」


さらに、もう一つわかったことがある。

電子機器が使えなくなる点についてだ。


どうやら、ダンジョンの奥深くに行くと「科学的に作られたもの」が使えなくなるらしいのだ。

それも、複雑なものになればなるほどすぐに使えなくなる。

反面、懐中電灯のような単純なものはそれなりに奥の方でも使えるんだけれど、


「これ、ひょっとして「時間」が関係してるんじゃないの?」

とは、アリサの意見だ。

「スマホとかゲーム機って時計機能があるじゃない?でも、時間がほとんど止まっちゃうから機能しなくなるんだと思う」

「なるほど……じゃあ、懐中電灯とかは?」

「電気自体は、ダンジョン内でも存在してると思うのよね。静電気とか……だから、あたしのヘルメットについてる懐中電灯はかなり奥でも消えなかった。でも、ケンゴが持ってきた災害用のやつは駄目だったじゃない?」

「え、何が違うの?」

「あたしのはパパが昔使ってた古いタイプだから豆電球なのよ。ダイチのは LED」

「LED ってよく聞くな。結局なんなんだ LED」

「よくわかんないけど、すごい発明なんだって話だね」

「なるほど……複雑なものだと駄目だけど、僕たちでも仕組みがわかるようなものなら大丈夫ってことか」

「理科で習ったじゃん。豆電球って熱くなって明るくなってるだけだからね」

「熱で明るくなるとかは、ダンジョン内でも共通だもんね。じゃないと Lumen(光あれ)は火の魔術で熱とかあるけど、説明がつかなくなっちゃう」

「時間が関係してるってことは、じゃあアナログ時計とかは?」

「検証してみるしかないね」


 更に検証の結果、デジタル時計はダンジョンのかなり浅いところで動かなくなることが判明。

 もちろん、ダンジョンから出てくるとまた普通に動くし、時間にズレも現れない。

 でも、ぼくがお父さんのアナログ時計(腕をぐるぐる振り回すと自動的にねじが巻かれる、電池がいらないタイプのもの)は、つけている本人としてはずっと普通に動き続けている。

だからダンジョンから出てくると、入っていた時間の分、時計の針が進んでしまう。


一体何なんだ、ダンジョン。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ