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秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
一章「秘密基地をダンジョンに」
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14/64

#13

「なんでさ! 約束通り肉持ってきたじゃん!」


 水無月さんが目を釣り上げて怒る。

 見た目年上っぽい女子が怒ってる姿って迫力あるなぁ……。


「何を言ってもダメなもんはダメだ。秘密基地の場所までは教えられねー」

「うそつき」

「ぐっ……」


 何をしているかというと、ケンゴは「まだ秘密基地の場所まで教えてないから裏切ったことにはならない」と言い張っているところだ。

 但しその場合はカナちゃんと一倉さんに嘘をついたことになるけどね。


「教えられない理由でもあるの?」


 一庫さんがぼくとコータに質問する。

 ぼくとしてはもう別に教えちゃってもいいんじゃないかなー、カナちゃんはかわいいしと思っているんだけど、ケンゴ的にはリーダーとしての責任を感じているらしい。

 まぁ公然の秘密になっているのに「バラす」なんて言い方をした水無月さんも悪いけど、一番悪いのはケンゴの頭だ。


「多分もうただの意地になってるだけだと思うよ」


 コータが笑いながら答える。

 コータ的にはどうなんだろう、知られて平気なのかな。


「別に平気かな」


 とコータは言う。


「肉、食べたいし」

「肉かよ」


 後ろでは水無月さんとケンゴの喧嘩がヒートアップしている。

 とはいえ口が回る水無月さんとケンゴでは結果は見えている。


「り、理由は……そっそうだ! 会員証がないと秘密基地には入れないんだ! これはコータとダイチも同じだからな!」

「会員証? なにそれ!」


「会員証って何?」


 カナちゃんぼくにこっそり訊いてくる。


「お婆ちゃんがくれた、お守りだよ」


 ぼくは首にかけたお守りを取り出して、カナちゃんに見せる。


「なるほど」


 カナちゃんが頷く。


「ダイチはほんと一倉さんには弱いね」


 コータが呆れたように言うが、カナちゃんにお願いされて応えられないほうが男じゃないね。


「じゃあそれうちらにも頂戴」

「ダメだ」

「なんでよ!」

「それは……」


 言いよどむケンゴ。


「せっかくお肉、持ってきてあげたのに」

「ぐっ……」

「まだ冷凍庫にバーベキューのときの残りがまだまだあるのに……」

「ぐぬぬ」

「パパにバレたら叱られるのを覚悟で来たのに……」

「うぐぐぐ」

「楽しみに……してたのに……」


 あ、水無月さんが泣きそう。


「はいはいはい、そこまでー」


 コータが割って入る。

 さすがチャレンジャー……ぼくにはとても真似出来ないことをやってのける。


「ケンゴもさ、意地はるのやめなよ」

「だって……オレ、リーダーなのに……」

「じゃあぼくとダイチが OK だって言えば、リーダーの責任にはならないよね?」

「……まぁそれはそうだけどよ……」


 そこでくるりと水無月さんの方を向いて、ニッコリ笑って


「水無月さんも嘘泣きは終わり。見え透いてるからね」


 え!? あれ嘘泣き?!


「ちぇ」


 顔を上げた水無月さんはケロッとしていた。

 女子、こええ……。


「で、ダイチ」

「何?」

「ダイチ的にはどうなの?()()()()()()を仲間に入れるのに反対?」

「大賛成です!」

「はい決定」


 パンパン、と手を叩いて、


「じゃ、仲直りのためにバーベキューしよっか。カセットコンロしかないけど」


 おお、すげぇ仕切りだ。


「ダイチは、二人を連れてお婆ちゃんに会員証をもらえないか訊いてきて」

「お、おお」

「え? じゃあ料理は誰がするんだよ?」


 ケンゴが困惑したように言う。


「そりゃあ、最初に秘密を漏らしちゃったケンゴが責任を取って準備するんだよ」


 コータがニッコリ笑って言った。


「連帯責任でぼくも手伝ってあげるからさ」



 * * *



 結局その日はお婆ちゃんに女の子用のお守りをもらって(同じ形で、色だけがピンクだ)、河原でバーベキューしたところで(死ぬほど旨かった)タイムリミットが来てしまったため、二人を秘密基地に招待はできなかった。

「ちぇー」と言って不満そうな二人には、明日必ず招待することを約束して解散することになった。


 解散後、ケンゴがもう一度ぼくとコータに「すまん」と謝ってきたので、「カナちゃんが仲間になったので、むしろグッジョブです」と答えておいた。

 コータはケンゴに「これ以上仲間が増えないように気をつけてね」と黒い笑顔で釘を刺していた。


 もうコータが影のリーダーってことでいいんじゃないかな。

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