能力比べゲート7
「ふーん、ふふーん〜」
ヒカリはトモナリの隣の席で楽しみ、といった顔をしている。
動き出したジェットコースターはゆっくりと昇っていく。
ジェットコースターにしては、かなり高いところまで昇るようだった。
「ウヒョー!」
そして、頂点まで到達したジェットコースターは勢いよく下り始める。
「んー、あんまり怖くもないな」
ヒカリはジェットコースターをキャッキャと楽しんでいるが、トモナリはほとんど何も感じていない。
ドラゴンズコネクトを使って最高速度を出せば、ジェットコースターにだって追いつける。
覚醒者として感覚も普通の人より優れているので、ジェットコースターの刺激ぐらいでは大きく感情が揺り動くこともなかった。
グルグル回ったり、大きく外にGをかけられたりと多少は楽しいぐらい。
「こんなんじゃ誰も気を失わないだろうな」
一人でも意識を保っていたらクリアだなんて言っていたが、普通のジェットコースターでは一般人だって気を失う人の方が少ない。
気づけばジェットコースターも一周して戻ってきてしまった。
「‘お疲れ様でございます! では、二週目にどうぞ!’」
「‘二週目!?’」
「‘おい、何を言ってるんだ!’」
「‘くそっ……せめて腕の止血を……’」
普通のジェットコースター一周で終わるはずがない。
トモナリはもう予想していたのだけど、終末教の覚醒者たちは文句を垂れている。
腕をぶった斬られた三十代の覚醒者だけは、だいぶ血を失って顔色が悪い。
「‘それでは二週目、レッツゴー’」
再び出発の音楽が鳴り響いて、ジェットコースターが動き出す。
「‘なんだか速くない?’」
再び高いところへと昇っていくジェットコースターであるが、明らかに一回目よりも速い。
「来るのだ、来るのだ……」
あっという間に頂上。
「ウヒョーーーー!」
そして余韻もほとんどなくジェットコースターが速度に乗って下りていく。
「おおっ……」
下りる速度も一回目よりも明らかに速い。
頬の肉がブルブルと震えるほどの風を感じながら一周目と同じくジェットコースターは走っていく。
「楽しいのだぁ!」
流石のトモナリも少し怖さを感じるぐらいであったが、ヒカリはまだまだ余裕そう。
二週目もあっという間に終わった。
「‘お疲れ様でございます!’」
「結構きたな……」
安全バーがあっても体が飛んでいってしまいそうなGを感じた。
気絶はしないが、少し命の危険を感じるレベルだった。
「‘では……三週目と参りましょう!’」
「‘はぁ!?’」
「‘どういうことだよ!’」
「‘いってらっしゃい!’」
また音楽が鳴り出し、二十代の覚醒者の二人が安全バーを無理やり外そうとする。
しかし安全バーは覚醒者の力でもびくともせず、ジェットコースターは三回目のスタートを切った。
「‘また速くなってる……’」
昇っていく速度は一回目の落下の時のような速さになっている。
「ドキドキ……」
瞬く間に頂上に着いて、ヒカリは目をキラキラとさせている。
「こりゃ……思いの外に……」
三週目は二週目よりもさらに速くジェットコースターが走る。
周りの景色が流れていき、顔を引き締めないと風に負けてしまいそう。
体にかかるGも速度に応じて強くなり、まるで座席に強い力で押さえつけられているようだ。
カーブに差し掛かると今度は体がそのまま飛んでいってしまいそうで、安全バーを掴む手にも自然と力が入る。
ここまで来ると一般人は耐えられないだろう。
「たーのしーのだー!」
しかしここでもまだまだヒカリはジェットコースターを楽しむ余裕がある。
ドラゴンってやつはスピードに強いらしい。
「‘おや、お一人脱落ですね’」
三週目を終え、三十代の覚醒者が気を失っていた。
それがジェットコースターによるものなのか、怪我によるものなのかは分からない。
「‘いい加減降ろしてくれ!’」
「‘気絶してないんだからクリアでしょ!’」
「‘いえいえ! お次は四週目です!’」
「まだいかのか」
流石に辛くなってきた。
気を引き締めなきゃいけないとトモナリは少し座り直して四週目に備える。
二十代の覚醒者の二人がギャーギャーと何かを言っているけれども、死神は気にする様子もなくまたジェットコースターを発車させる。
三週目よりもさらに速度を上げた四週目になると、一周回るのもほとんど一瞬の時間だ。
二十代の女覚醒者が四週目で気を失い、残りはトモナリを含めて三人となった。
「‘悲しくも次がラストとなります……五週目……いってらっしゃい!’」
ようやく最後。
そんなことを考える暇もない。
一瞬で頂上まで昇り、一瞬でジェットコースターはコースを一周する。
未来にでも飛んでいってしまいそうだ。
「ぬっふふぅ〜楽しかったのだぁ!」
「‘おおっと、気を失わずに残られたのはお二人! と一匹です!’」
「うっ……すごかったな……」
流石のトモナリも顔が青くなっている。
チラリと後ろを見ると二十代の男覚醒者が気を失っていて、五十代の覚醒者がなんとか意識を保っていた。
「もう一回乗りたいぐらいなのだ〜」
そんな中でもヒカリはケロリとしている。
空を縦横無尽に飛び回るヒカリにしてみれば高速ジェットコースターもただのお遊びであった。
祝500話!
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物語はまだまだ続きますのでこれからもよろしくお願いします!




