能力比べゲート5
「そう怯えた顔……おっと」
お化けはまるでこっちが悪いと言わんばかりの顔をしている。
しかし最後まで言い切る前にお化けは消えてしまった。
「ほっ!」
「よくやった!」
ヒカリがパッと目の前に飛び出して、急ブレーキをかけたお化けを追いかけていたルビウスが捕まえる。
こんな簡単に捕まえられたんじゃお化けもあんな顔するか、とトモナリは思った。
その後、隣の部屋にいたお化けも同じようにトモナリとドラゴンたちで追い詰めて捕まえた。
「もう一階にはいないか……」
合計二十匹のお化けを捕まえたのだが、一階の他の部屋にはお化けは見当たらない。
「次は二階になるな」
一階で全部終わるとはトモナリも思っていない。
「さあて、二階へようこそ! 二階のお化けたちはすこーしだけ様子が違うから気をつけてね!」
盛り上げようとしているのか、少しセリフくさい死神の声がする。
「おわわわっ!?」
二階も一階と同じく左右に廊下が伸びている。
とりあえず右にでも行こうとしたら、突然廊下が歪んだ。
まるで騙し絵でも見ているように先の廊下がぐにゃぐにゃと歪んで波打っている。
廊下は波打ち続けていて、見ていると具合が悪くなりそうだ。
「よっ! ほっ!」
「ムムッ……すまないな」
飛べるヒカリたちは床が波打とうと関係ないが、トモナリとエドはそうもいかない。
トモナリはエドを小脇に抱えて、波打つ廊下を跳躍して進んでいく。
波打って盛り上がったところを狙って跳んで移動する。
周りを冷静に観察する目とリズム感も求められているような気がする。
だがやはり素早く移動するというスピード感も必要だ。
タイミングがズレると波打つ床のせいでバランスが取れなくて、進むのに時間が取られることだろう。
抱えられたエドは少し情けない顔をしている。
別に召喚解除してくれてもいいのにと思うのだけど、出したり引っ込めたりは面倒なので大人しく抱えられるしかない。
「こっちにはおらんぞ!」
「こっちもハズレなのだ!」
「あっ、こっちいるよぉー!」
飛べるドラゴンたちも暇しているわけじゃない。
先に行ってドアを開け、お化けがいるのかを確認してもらっている。
ヒカリとルビウスの部屋はお化けがいなかったけれど、ミヒャルが見たところにはお化けがいた。
ニッコニコの笑顔でミヒャルはトモナリに手を振る。
「そっちだな……エド、しっかり掴まってろよ?」
「掴まるところなどないのだが……」
デカい時の姿はティラノサウルスのような恐竜系の見た目をしていた。
なのにミニ姿になると、オオサンショウウオのような感じになるのは何故なのだろうか。
掴まれと言ったのだけど、エドはぬいぐるみのようにテロンと持たれていてトモナリに掴まってなどいない。
「しかし、意外と重いよな」
「中身は詰まっているからな」
見た目に軽そうなんてこともないのだが、持ってみるとエドは案外重い。
というかヒカリも含めてドラゴンたちは意外と見た目よりもずっしりとしていたりする。
そんなこと言うとルビウスは怒る。
ただイケオジエドは別に重いといわれたところであまり気にしていなかった。
むしろ情けない姿で抱えられている方が嫌だったりする。
「よっと!」
ミヒャルが開いたドアの中にトモナリは飛び込む。
「ぬっ? なんだか様子が違うのだ」
飛び込んだ部屋にはちゃんとお化けがいた。
一階のお化けはトモナリたちの姿が見えるとさっさと逃げ出してしまっていたのに対して、二階のお化けはトモナリたちを見ても逃げ出さない。
「カマみたいなものを持っておるな」
五匹ほどのお化けが部屋にいた。
そしてそのお化けたちは手にカマを持っている。
死神のよう、というよりは家庭菜園でもしているかのようなサイズ感のカマである。
お化けの顔も情けなかったり怯えているようなものではなく、どことなく怒っているような雰囲気もある。
「こっちくる!」
初めてお化けの方がトモナリたちの方に飛んできた。
「なるほどな! こういうことか!」
飛んできたお化けたちはカマを振り回し、襲いかかってきた。
様子が違うと死神は言っていたけど、こういうことだったのかと納得してしまう。
「ふむ、ただそんなに痛くはないな」
トモナリやヒカリたちはお化けのカマを回避したが、エドは堂々と受けていた。
触ると柔らかい感じもあるのに、攻撃に対してエドは硬い。
お化けのカマはエドの表面を傷つけることもできなかった。
「捕まえ……ぬおっ!?」
カマをかわしたヒカリがお化けを捕まえようと手を伸ばした。
お化けはグルンと体を縦に回転させてヒカリの手を交わすと、そのままの勢いを活かしてカマをする。
アゴの下から迫るカマをヒカリはギリギリでかわす。
「結構好戦的ってことだな」
トモナリは振り下ろされるカマを掴んでお化けを引き寄せる。
お化けの顔面を鷲掴みにしてちょっと力を込める。
するとお化けはポフンと消えてしまう。
「捕まえたら消えるのは同じなようだな」
どっちがいいと聞かれても微妙なところ。
逃げるのを追いかけるのが楽か、攻撃してくるのをかわしながら捕まえるのが楽か、なかなかどっちも面倒だ。
「まあ、さっさと捕まえていくか」
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