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【第八章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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向こうからの接触1

「……誰だ」


 忙しくてなかなかトレーニングをする暇もない。

 マコトの心配を落ち着けるようにトレーニングをして、気づいたら夜になっていた。


 すっかり日も落ちて、アカデミー構内を歩いている人もいない。

 ディーニが晩御飯を作ってくれているはずなので少し急足で帰っていたトモナリはふと足を止めた。


「どうしたのだ?」


「……何かの気配を感じる」


 どのタイミングからだったのかは分からない。

 しかしトレーニングの最中ぐらいから視線を感じ始め、今も誰かがついてきている感じがあった。


 ヒカリは何も感じていないようだし、周りを見ても人はいない。

 けれども確かに何かがいるとトモナリの感覚が告げている。


「姿を現さないのなら、こちらも手荒な方法に出るぞ」


 トモナリは剣のルビウスを腰から抜く。

 ただでさえマコトの件で少し気が立っているのだから、怪しい何かに優しくしてやるつもりはない。


「あら……あなたは感覚も優れているのね」


「ぬおっ!?」


 どこからともなく声が聞こえてきてヒカリは驚いて周りをキョロキョロと見回す。

 女性の声だった。


「声だけじゃなくて姿を見せろ」


「せっかちな男はモテないわよ?」


「姿を見せない奴はモテるもモテないもないだろう」


「ふふっ、怖い顔しないの」


「のわっ!?」


 トモナリの正面に急に女性が出てきた。

 明らかにアカデミーの生徒ではない妙齢の女性は設置された街頭に照らされてニコリと笑顔を浮かべる。


 顔を見ても、トモナリには知らない女性である。

 ざっくりと胸元の開いた服を着ていて、やや派手な服装をしているが、足元は動きやすいようにするためかスニーカーなことにトモナリは気づいていた。


「私は……あなたにとって味方であるはずよ」


「味方だと?」


 人のことをつけまわす怪しい人物が、味方だとはとても思えない。


「そう、私はあなたが知りたいことを知っているの」


「俺が知りたいこと……明日の天気か?」


「残念ながら気象予報士じゃないわよ。天気が知りたいならスマホでも確認なさい」


「ジーッ……」


 ただアカデミーに侵入して、たまたまトモナリに目をつけたのではない。

 明らかにトモナリを狙ってアカデミーに侵入してきている。


 こんなもの警戒しない方がおかしいというものである。


「ミナミマコト君……どこにいるのか知りたくなぁい?」


「……なんだと?」


 トモナリの驚いたようなリアクションを見て、女は笑顔を浮かべる。


「教えてあげてもいいのよ? あなたが望むなら」


「教えてほしいところだけど……他にも色々と聞きたいことがあるな」


「んー、それはダメ。乙女には秘密が多いものよ? 欲張ると大切なものすら教えてもらえなくなるんだから」


 女は軽くウインクしてみせる。

 アカデミーだって覚醒者の子供達を預かる場所であって、セキュリティには気を遣っている。


 それなのにこんなに堂々と侵入するということは相当な実力があることは間違いない。

 トモナリが何かの行動を起こしても逃げられる自信があるのだろうと感じる。


「暗王会がどうしてマコトを誘拐するんだ」


 トモナリが投げかけた質問に、女はピクリと反応を示した。


「……どうして私が暗王会だと?」


「だってそうだろ?」


 女の顔が少し険しくなった。


「……気が変わったわ」


「マコトの場所教えてくれるんじゃなかったのか?」


「私の質問に答えなさい。そしたら教えてあげる」


「おいおい……男子学生にも秘密ってもんはあるんだぜ?」


 トモナリは軽くバカにするように言葉を返す。

 マコトの場所は知りたいけれど、怪しい相手に主導権を握らせたくはなかった。


 ほいほいと従って本与えられるままに与えられたものが本当に正しいものかは分からない。

 リスクあるが、相手を揺さぶって反応から本当かどうか見抜く隙を作らねばならないのである。


「いいから答えなさい。どうして暗王会の関与をあなたが知ってるのかしら? ……いえ、覚醒者協会も今は暗王会を疑っているらしいけれど、どうしてなの?」


「そんなことが知りたいのか?」


「あら、とても重要よ? 今うちの中ではそのことが問題になっているのだから」


 もはや暗王会の関係者であるということを女は認めたも同然だ。

 覚醒者協会が暗王会を疑っていることは機密になっているはずだが、それを暗王会は知っているらしい。


 互いが互いを疑っている。

 これが何かの影響を与えているのだとトモナリは察した。


 質問を投げかけてくるということは、会話が続くということ。

 一方的にマコトの情報を与えてくれようとしていた時と会話の状況が変化した。


「情報提供者がいるのさ」


 今のこの場においてトモナリと女はそれぞれ互いの知りたい情報を握っている。

 しかし優位なのはトモナリだ。


 なぜならトモナリの方が知っていることが多いからである。

 暗王会側は暗王会が疑われているということ以上に情報を知らない。


 しかし覚醒者協会では暗王会がもはや犯人であるという前提になっていて、マコトの場所についても多少の情報を得ている。

 トモナリは相手が暗王会のメンバーで、マコトの情報を知っているということを分かっているが、相手はトモナリについてあまり知らなそうだ。


 この状況は利用させてもらう。

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