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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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猛烈スカウト1

「どうだったかしら?」


「ええ、良い人だと思います」


「…………何の話だ?」


 なかなか面白いゲートの攻略から帰ってきた。

 一回目以降の研修はやや短めに設定されているために、もうあまり研修の時間は残っていない。


 そんな中でシゲモリに二回目のお茶を誘われた。

 行ってみるとそこにはキザキもいたのだった。


「あなたにとっても魅力的な話を彼は持っているのよ」


 前回と違ってベリー系の香りがするお茶を飲みながら、シゲモリは微笑みを浮かべる。

 ヒカリは相変わらずミヒャルとお菓子を食べている。


 トモナリもジャムの乗ったクッキを食べてみたけど非常に美味しい。


「魅力的な話……?」


「もしかしたらあなたが気を失ってしまうかもしれないほどにね」


「うーむ……?」


 キザキは軽く頬を指先でトントンと叩いて、魅力的な話とは何だろうかと考える。

 頬を叩くのはキザキの昔からの癖である。


 何かの考えに集中する時やイラついている時なんかに出てくるのだ。


「魅力的な話……」


 何が自分にとって魅力的かをキザキは考える。

 ただ正直に言って、魅力的に感じるものは少ない。


 キザキももうだいぶ歳だ。

 研究所の所長という立場でお金も地位もある。


 自分の能力を活かし、植物の研究をしていけるだけで毎日が楽しい。

 魅力的に感じるようなものなんて特にない。


 それこそ未知なる植物ぐらいのものである。

 けれどもトモナリが未知の植物を持っているとはキザキも思えなかった。


「俺に魅力を感じさせるのは難しいな」


「あら? なら賭けるかしら?」


「ほう? 何を賭けるつもりだ?」


 キザキもシゲモリもニヤリと笑う。


「ルーちゃんとアタカちゃんを賭けてもいいわ」


「おおっ……本当か?」


 自信満々のシゲモリにキザキは驚いた顔をした。

 ルーちゃんとアタカちゃんとはなんだ、とトモナリは思ったが、二人の間では何のことなのか分かっているようだ。


 何かの名前っぽい。

 生き物を賭けるとは思いにくいので、もしかしたら植物の何かかもしれないと予想した。


「じゃあ俺は……」


「温室の拡張計画に許可をちょうだい」


「おま……それは釣り合ってないだろう」


 シゲモリは上品な笑顔で条件を突きつける。

 対してキザキは顔をひきつらせている。


「こちらは自分の子供同然の子たちを出すのよ? それともなぁに? 自信ないのかしら?」


「うぅ……いや、いいだろう!」


 シゲモリの挑発に、キザキは乗せられた。

 今の自分にとって魅力的なものの範囲は非常に狭い。


 トモナリには申し訳ないが、多少魅力的でも突っぱねてしまえばいいとキザキは思った。


「じゃあ、アイゼン君お願い」


「はい、これを」


 トモナリはインベントリから世界樹のタネを取り出す。


「これは?」


 キザキも流石にタネだけでは何なのかは判別できない。


「これは世界樹のタネです」


「世界樹だと!?」


「う、うるさいのだ……」


 サラリと答えたトモナリだったが、キザキは世界樹という言葉に思わず立ち上がった。

 キザキの叫び声にヒカリとミヒャルは驚いた顔をしている。


「わ、悪い……つい驚いてしまって」


 ヒカリにムッとした目を向けられて、キザキは気まずそうな顔をしてイスに座る。


「魅力的じゃなかったかしら? ならタネは他のところに持って行くらしいけど」


「なっ! それはダメだ!」


「じゃあ認める?」


「…………認めよう。いや、俺の人生の中で最も魅力的な言葉だった」


 悔しさを滲ませつつも、キザキの視線は世界樹のタネに向いている。

 叫んだ時点でほぼ負けを認めたようなもの。


 植物研究者が世界樹と聞いて、魅力的に思わないはずがない。


「先の提案……お前は話を知っていたな?」


「もちろんよ。あなたが帰ってこないから私が先に聞かせてもらったのよ」


 シゲモリは勝ち誇ったような顔をしている。

 世界樹のタネの存在を先に知ったこともそうであるし、賭けだってキザキが負けることを分かっていた。


「くそ、やられた……こんなことだと知っていたらやらなかったのに」


「ふふ、でもすごい話でしょう?」


「確かに……本当にこれは世界樹のタネなんだな?」


「その通りです」


 キザキの目がぎらつく。


「どうだ……俺の私財をお前に譲る。だから……」


「ダメです」


「くぅ!」


 世界樹のタネが欲しくてたまらないという顔をしている。


「このタネは差し上げられませんが……俺はこのタネを育てたいと思ってます。そして、その手助けをここにしてもらえないかと考えて……」


「やろう!」


 トモナリが言葉を言い切る前に、キザキは拳を握って立ち上がる。


「何をしたらいい? 契約書も作ろう! 必要なもの、必要なことがあったら言ってくれ! もちろん世界樹は調べさせてくれるのだろう? お金が必要なら俺の口座から……」


「落ち着きなさいな」


「ぬおっ!?」


 加熱するキザキの椅子の下から草が伸びてきた。

 キザキの体に絡みつき、椅子に拘束する。


 キザキの椅子の下には鉢植えが置いてあった。

 世界樹のタネのことを聞いてキザキが興奮することは、シゲモリにも予想できていた。


 最悪世界樹のタネを強奪する可能性もあるし、念のためにと植物を用意していたのだ。

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