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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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植物の王1

「はっはっはっ! よく来てくれたな!」


 トモナリがスカウトするつもりだったのはシゲモリだ。

 しかし優先順位としては低いが、もう一人候補がいた。


「アイゼントモナリです。よろしくお願いします」


「ヒカリなのだ! よろしくなのだ!」


「おお、君が噂のドラゴンだな! 話に聞くよりかっこいいな!」


「か、かっこいいのだ!?」


 あまりされたことのない褒められ方にヒカリは嬉しそうな顔をする。

 褒め言葉としてヒカリが受けるのは可愛いという方向のものがほとんどだ。


 戦いで活躍すればすごいとは言われることがあっても、カッコいいと言われることはほとんどない。

 カッコいいという褒め言葉にヒカリは尻尾を振っていた。


「ああ、カッコいいさ。会えて嬉しいよ。俺は所長の木崎明仁キザキアキヒトだ」


 もう一人の候補こそ所長のキザキだった。

 やや細身の背の高い男は、装備を身につけているから覚醒者に見えるのであって、白衣だったら完全に研究者といった容姿をしている。


 けれどもリアクションなんかは見た目よりも豪快な人である。

 所長のキザキはもちろん覚醒者であり、そして何を隠そうキザキの職業はドルイドなのであった。

 

 つまり木崎植物研究所には二人のドルイドがいるのだ。

 ただトモナリにキザキを誘うつもりはなかった。


 なぜならキザキは所長だから。

 流石に研究者のトップを引き抜くことは難しいだろうと思っていた。


「シゲモリから話は聞いている」


「話……ですか?」


「優秀な若者だから絶対に失礼がないように、とな」


 キザキは豪快に笑う。

 トモナリは少しドキッとした。


 世界樹のことを伝えたのかと思ったのだ。


「早速で悪いが君のことを紹介して、そのままミーティングだ。明日にはゲートに入るつもりだが体調は大丈夫かな?」


「なんなら今日でも行けます」


「いけるのだ!」


 今トモナリは研究所ではなく、研究所の覚醒者チームが入る予定のゲート近くの町に来ていた。

 ホテルで覚醒者チームと合流した。


「これがチームのみんなだ。みんな非常に厳しい奴らだから気をつけろよ」


「所長、何言ってるんですか?」


「そうですよ。所長も含めて厳しさなんてないでしょ?」


「よろしくね!」


 今回のチームはキザキを含めて六人。

 研究所の規模から考える覚醒者のチームとしては少人数である。


 ただ木崎植物研究所の覚醒者チームはこれでいい。

 その理由はゲートを攻略しないから。


 もちろん少数チームで攻略することもあるが、大きなギルドや企業ではリスクを減らすために人数を揃えて安全かつ確実にゲートを攻略する傾向が強い。

 ただそれは攻略せねばならないからである。


「それじゃあミーティングだ。明日入るゲートにはいくつか花が生えている。それを採取して帰るぞ」


 基本的に研究所ではゲート攻略を行わない。

 やるのはあくまでも植物の採取だ。


 攻略しないのだからそんなに多くの人数も必要ではないのである。

 研究所に行けばもうちょっと覚醒者チームの人員はいるが、異世界の植物を育てているということで警護や警戒などに当たっている。


「攻略そのものは……なんだっけ? MRI? 違うな……なんかそんな名前のギルドが行うからモンスターもできるだけ手出ししないように」


 研究所ではゲート攻略をしないのだけど、採取のためだけにゲートの攻略権を買うことはできない。

 なぜならゲートは攻略してもらわねばブレイクなどの危険があるからだ。


 そのために、色々なところからゲート内の情報を買っている。

 こうしたゲート内の情報から植物がありそうなゲートの攻略権を持っているところに声をかけ、先に少しだけ入らせてもらうのである。


 モンスターは攻略する覚醒者のものであり、差し迫った危険でもない限りは積極的に手を出さない。

 覚醒者のチームとしても特殊な活動の仕方だ。


「ミーティング終わり! あとは明日花を持ち帰るだけだ」


 攻略することもないからあまり細かな作戦もない。

 あっさりとミーティングは終わってしまった。


 本当に今日そのままゲートに行けそうなぐらいである。


「ねぇ、あなたのこと撫でてもいい?」


「ダメなのだ!」


「えー……」


 ミーティングが終わって、それぞれ思い思いに過ごすようにと言われたが、みんなの興味を集めているのはヒカリだった。

 女性の覚醒者がヒカリを触ろうとして玉砕している。


「ただし、お菓子をくれたらちょーっとだけ触らせてあげるのだ!」


「お、お菓子? 何かあったかな」


 何もなく人に触らせないが、害のなさそうな人ならお菓子と引き換えに触らせてもらえる。

 アイドルの握手会かってほど短い時間だけど、みんなヒカリにお菓子を捧げる。


 そのおかげでトモナリのインベントリの一部には大量のお菓子が収納されているのだった。


「……ケ、ケーキでもいい?」


「ふむ………………」


 ヒカリは腕を組んで考える素振りを見せる。


「交渉成立なのだ!」


 ヒカリがケーキを断ることなんてあるわけがない。

 許可が下りて女性覚醒者は嬉しそうな顔をする。


「先払いなのだ」


「わ、分かった!」


 女性覚醒者はインベントリからケーキの箱を取り出した。

 インベントリにケーキを入れているのか、とトモナリは思った。


 何を入れようと自由ではある。

 インベントリは不思議空間で入れたものは入れた当時の状態で保全されるので、余裕があるなら食べ物を入れておけば生きている限り永久保存できる。

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