表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

429/434

ニュードラゴン1

「さぁて……」


 天照ギルドでの研修を終えたトモナリとヒカリはアカデミーの自室に戻っていた。

 といっても研修全部が終わったわけではなく、またすぐに次の研修先に向かう。


 少しの休憩と準備のために戻ってきているに過ぎないのだ。

 スケジュールに余裕のない人だと、こうして戻ることもなく次に向かうことも珍しくない。


 トモナリはちょっと余裕があったから一度戻ってきている。

 ただ消耗品の補充なんかをしたら、さっさと出発してしまうつもりだった。


 しかし戻ってきたのには目的が一つあった。

 トモナリはインベントリからネックレスを取り出す。


『うおおおおん!』


 ネックレスを手にした瞬間、声が頭に響き渡る。

 青い水滴の形をした石のネックレスは天照ギルドでもらったものであり、ボーンドラゴンとなっていたブルードラゴンのミヒャルを倒した時に手に入れた石を加工したものだった。


 身につけると魔力を向上させてくれるという優れものなのだけど、一つ問題のようなものがあった。


『どうして身につけてくれてないのぉー!』


 それがこの頭に響く声である。

 多分、ミヒャルの声だとトモナリにも分かっている。


 試しに他の人にもネックレスに触ってもらったが、声は聞こえておらずトモナリだけに聞こえていた。

 ただうるさい。


 何かと声をかけてきて、少し無視するとすぐに泣き出すのだ。

 契約すればマシになるかなとは思ったけれども、忙しくてそんな時間がなかった。


 人前で頭の中に聞こえる声に返事するわけにもいかなくて、ネックレスを外してインベントリにしまっておいた。

 アカデミーの部屋ならば落ち着いてミヒャルにも向き合える。


「少し落ち着け……改めて聞くけどお前はミヒャルでいいんだよな?」


 青い石が目の前に来るように、ネックレスのチェーンを手に持ってぶら下げる。

 ヒカリもジーッとネックレスを覗き込むが、今のところヒカリにはミヒャルの声が聞こえていない。


『そうだよ! なんでこんなことになってるのか分からないけどなんだかこうなったんだよ!』


 声をかけてやるとミヒャルの機嫌はすぐに治る。

 尻尾を振る青いドラゴンの姿が見えるような気がトモナリにはしていた。


「俺にも分からないけど……ミヒャルの意思がこもってるようだな」


 ドラゴンは友達になりたいというとついてくるのだろうか、とトモナリは苦笑いを浮かべる。

 ともかく青い石にはミヒャルの意思がいた。


 なんでこんなことになっているのか、それはトモナリにも分からない。

 天照ギルドがボーンドラゴンを討伐して、その骨を保有していることは知っていた。


 しかしミヒャルのことは知らない。

 誰にも声が聞こえないままこんな風にネックレスのように加工されたのだろうか。


 あるいはミヒャルの石は報酬として現れなかったのか。

 トモナリが介入したことによって回帰前とは変わってしまったことは多く、その結果としてミヒャルの意思がこもった石が現れた可能性もある。


「まあなんでもいいか」


 どうしてとか、回帰前はどうだったとか、そんなこと考えても答えは出ない。

 大事なのは今目の前にミヒャルがいるということである。


「ミヒャル」


『ん? なーに?』


「友達になってくれるんだよな?」


『も、もちろんだよ! えっ、もしかして嫌になった?』


 焦るような声が聞こえてくる。

 うるさくし過ぎたかもとミヒャルは一気に不安になる。


「別に友達になるのをやめるつもりはないよ」


『ホッ……』


「実は俺にはドラゴンに関するスキルがあるんだ」


「ぬっ?」


「それが噂の新入りですか?」


 トモナリはルビウスとエドを召喚する。

 もうすでにトモナリにはヒカリに加えて、二体のドラゴンがいる。


 ただ友達になるというだけでなく、トモナリにはドラゴンと繋がるスキルがある。


「俺と契約しないか?」


 どうせなら力も貸してくれるとありがたい。

 契約して魂で繋がれば、トモナリだけでなくヒカリやルビウスやエドとも繋がれる。


『契約……する!』


 ミヒャルの声がワントーン明るくなった。

 次の瞬間、トモナリの意識はホワイトアウトした。


 ーーーーー


「いらっしゃい!」


 ルビウスは趣のある東屋。

 エドは落ち着いた雰囲気の岩の洞窟。


 それぞれに自分の家となるような空間がドラゴンたちの中にある。

 そしてミヒャルの家は氷の宮殿だった。


 水晶のように見える青く澄んだ氷がお城を作り出していた。

 その中の一室にトモナリは立っていた。


 周りを見回す。

 氷の調度品もあるが、中には氷じゃないものもある。


 豪華なベッドは氷ではなく、木で作られていてフカフカとしたマットレスや布団が敷いてある。

 そのベッドの上にミヒャルが人の姿で寝転がっていた。


「…………なんでそんな格好なんだ?」


「えっ!? 人間のオスってこういうのが好きなんじゃないの!?」


 別にどんな姿だろうといいのだけど、ミヒャルはかなり際どい透け感のネグリジェを着ている。

 苦笑いを浮かべるトモナリの顔を見てミヒャルは驚いた顔をする。


「うん……まあ、嫌いというつもりはないけど……」


 好きか嫌いかで言えば嫌いとは言い切れない。

 ただミヒャルは見た目お子ちゃまである。


 ルビウスが着ているならまだしも、ミヒャルがセクシーな服装をしてもミスマッチ感が強すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルビウス:妙齢で妖艶なレディ エド:渋いイケおじ様 ミヒャル:寂しがり美少女(見た目10歳くらい) ヒカリくんが人化したら、どんな感じ……小1くらいの男の子? もちろん、トモナリ君と同じ黒髪で、お似…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ