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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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氷鱗王2

氷鱗王2

「外はどうだ?」


『ふむ、お主の言う通りになったな』


「よかった。いや、よくなかった……のか?」


 トモナリは体の調子を確認する。

 指先が少し冷たいという他に大きな不調はない。


「お、お前……一体何者なんだ! 不思議な気配はしていたけれど、どうやってドラゴンの力を身に宿している!」


 ミヒャルは驚愕したような顔をしている。


「どうやってって言われてもな。俺はドラゴンと友達だからな」


「と、友達……?」


「そ、友達」


「トモナリと僕は友達なのだぁ」


 友達という言葉にミヒャルは動揺したように目を泳がせている。


「……羨ましい羨ましい羨ましい!」


「なんだ! こっちも全力でいくぞ!」


「おうともなのだー! ボーッ!」


 ミヒャルが口を大きく開く。

 青く光る魔法陣が口の中に見えた。


 ブレスが来る。

 トモナリとヒカリも対抗するように魔力を高めて火炎のブレスを放つ。


「うっ……くっ……きゃあああああっ!」


 トモナリとヒカリのブレスとミヒャルのブレスがぶつかり合う。

 グッと均衡して、熱さと寒さが交互に襲いかかってくる。


 しかしミヒャルはほんの少し油断した。

 トモナリとヒカリの二人でブレスを放つ姿に、胸の痛みを覚えた。


 その瞬間、均衡が崩れた。

 凍てつくミヒャルのブレスがトモナリとヒカリの熱きブレスに押される。


 そのまま炎のブレスがミヒャルを包み込む。


『ほっほっ、小娘如きが妾のトモナリに勝てると思うてか』


「おっ?」


 まともに炎を浴びて倒れるミヒャルが、シュルシュルと小さくなっていく。


「ううう……ズルい……ズルいよう」


「…………えっと?」


 小さくなったミヒャルは人の姿になった。

 それでもトモナリはまだ警戒していたが、肝心のミヒャルは地面に丸くなったまま動かない。


 それどころかすすり泣くような声まで聞こえてくる。

 青い髪の女の子。


 体格的にはあまり大きくなく、少女ぐらいの年齢に見えた。


「私も友達欲しいよぅ。もう一人は嫌だよぅ」


「…………」


 トドメを、と思っていたのだけど、シクシクと泣かれると手を出しにくい。


「トモナリィ」


「なんでお前までそんな目をしてるんだよ?」


 ヒカリはウルウルとした目をしてトモナリのことを見ている。


「僕も……気持ち分かるのだ……」


「…………なるほどな」


 ヒカリも寂しがり屋のドラゴンだった。

 トモナリがたまたまヒカリの言葉を理解できて、たまたま友達になると言ったからこの関係は始まった。


 一人で寂しいというミヒャルの気持ちがヒカリには痛いほどに分かるのだ。

 もしかしたらミヒャルの気持ちがヒカリに同調していたから伝わって、様子がおかしかったのかもしれない。


「……なあ」


 ヒカリにそんな目で見られるとトモナリは弱い。

 仕方ないなとため息をついてミヒャルに声をかける。


 ビクンとミヒャルは体を震えさせる。


「お前、1人なのか?」


「………………うん」


 ミヒャルは小さく頷く。

 先ほどまで巨大なドラゴンだったのに、今はとても小さな背中をしている。


「じゃあ、俺と友達にならないか?」


 倒すにしても、せめて気分よく倒したい。

 泣いてる女の子を後ろから切りつけて倒すのではどうにも後味が悪いだろう。


「僕も友達になるのだ!」


 俺がミヒャルの右に座り、ヒカリは左に座る。


「……本当に友達になってくれるの?」


 すすり泣きが止まった。

 声にほんの少しの期待が込められる。


「ああ。お前がよければ、俺とヒカリが友達になるぞ」


「本当!?」


 ミヒャルが体を起こしてトモナリを見る。

 涙が溜まったミヒャルの目を見つめ、トモナリは微笑む。


 青い髪、青い目をしたミヒャルの顔に手を伸ばし、涙を指で拭ってやる。


「友達になろう。俺は、トモナリだ」


「ヒカリなのだ!」


「友達……うぅ…………うわーん!」


 ミヒャルが涙を流して泣き出す。


「どうした? 嫌か?」


「違うよぅ!」


 ミヒャルはブンブンと首を振る。


「嬉しい……嬉しいんだよぅ!」


「……なんだ?」


 周りの雪や氷が溶けていく。

 あっという間に地面は薄く水が張った状態になり、水の下には青々とした芝生や小さな花が生えているのが見えていた。


「私はミヒャル……よろしくね、トモナリ! ヒカリ!」


「……なんだかよく分からないけど、よろしくな」


「よろしくなのだ!」


「うわーん!」


 ミヒャルが泣く。

 涙は地面に流れて、だんだんと水位が上がる。


「えっ!? あっ、ちょっと!」


 どんな原理なのか知らないが、気づけば地面で泣くミヒャルは水の中に沈み、トモナリの胸元まで水が増してきた。


「泣き止んで……」


 そのままトモナリは水の中に沈んでいく。

 なぜなのか飛んで逃げることもできなくて、冷たいけれどなんだか心地のいい水の中で意識を失ったのだった。

新作投稿開始!


ちょっとダークめな異世界ファンタジー二作品投稿です!


『魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜』


『霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~』

という作品です!

よければ読んでお星様でも入れてください!

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― 新着の感想 ―
ドラゴンズコネクトしたのはルビウスだから、召喚解除はエドではなくルビウスではないのか?と少し疑問。
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