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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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ボーンドラゴン5

「ヤバっ!」


「僕に任せるのだ! ボーッ!」


 ボーンドラゴンがまたしてもブレスを放つ。

 トモナリを守ろうとヒカリは前に出て、同じくブレスを放った。


 氷のブレスと炎のブレスがぶつかり合う。


「ぬわああああっ!」


「ヒカリ!」


 ヒカリのブレスのおかげでトモナリは上手く回避に成功した。

 けれどもヒカリのブレスは負けてしまった。


 しかし軽いヒカリはブレスによって吹き飛んでいく。


「へぶしっ!」


「大丈夫か、ヒカリ!」


 壁に叩きつけられたヒカリのところにトモナリは駆け寄る。


「さ、寒いのだぁ……」


 ヒカリの体はところどころ凍りついている。


「抱きしめて……温めて欲しいのだ……」


「……意外と余裕そうだな」


 トモナリがヒカリのことを抱き上げると、なんかいい顔をしてトモナリの胸に頭をうずめた。

 見た目ほどのダメージはないようだ。


「アイゼン君、後ろだ!」


「おっと!」


 ボーンドラゴンの尻尾が後ろに迫っていた。

 トモナリはヒカリを抱きかかえたまま横に飛んで回避する。


「チッ……狙われてるな!」


 ヒカリのところに駆けつけたのでボーンドラゴンとは距離がある。

 そのはずなのにボーンドラゴンはわざわざトモナリのことを狙った。


 ボーンドラゴンを見ると目が合ってるような気もする。

 眼球はないけれど、トモナリの方を見ているのだ。


「あったかいのだぁ」


 一方でヒカリはトモナリに抱きかかえられて幸せそう。


「こっちのこと無視すんなよ!」


 トモナリはブレスから逃げ回る。

 タンクたちはボーンドラゴンのヘイトを買えずに困惑しているが、敵を引きつけてくれているならやることは一つだとアタッカーたちは動きだす。


 攻撃して相手を倒すことこそ、トモナリを救う手立てである。

 よほどトモナリのことを攻撃したいのか、足元まで覚醒者たちが迫ってもボーンドラゴンは気づいていない。


 覚醒者の一人が槍を振るってボーンドラゴンの前足を切りつける。


「くそ、硬いな!」


 刃がわずかに食い込んだだけで止まってしまう。

 ドラゴンの骨だけあって、かなり太いとはいってもかなり力を込めたのにと顔をしかめる。


「僕に任せろ!」


 テルヨシもメイスを振るう。

 前足につけられた傷を目掛けてフルスイングした。


 小さな傷でもダメージはダメージ。

 全力で横振られたメイスによって、つけられた傷口からポッキリと骨が折れる。


「うわっと!」


 ガクンとボーンドラゴンが倒れてブレスの軌道が変わる。

 天井にブレスが向かって大きな氷柱が出来上がる。


「……下がれ!」


 ボーンドラゴンがグッと頭を下げる。

 嫌なものを感じてテルヨシが指示を出して、覚醒者たちはボーンドラゴンから距離を取る。


 ブレスを真下に放ち、ボーンドラゴンを中心にして氷が一気に広がる。

 鋭く尖った氷が四方八方に突き出している。

 

 そのままボーンドラゴンの近くにいたら凍りついたり、氷に貫かれたりしていたかもしれない。

 台座のようになった氷の上にボーンドラゴンが降り立ち、トモナリのことを見下ろす。

 

 なんだか骨なのに高貴さすら感じる。


「あれはどうしてもアイゼン君を狙いたいようだね。キツイかもしれないけど任せてもいいかい?」


「任せてください!」


 トモナリから注意を引き剥がすより、トモナリに引き付けてもらって戦った方が楽に行きそう。

 テルヨシはそう判断した。


 トモナリも自分にできることがあるならと力強く頷く。


「全員、アイゼン君がボスを引きつける! 全力でサポートしろ! 怪我をさせるなよ!」


 戦い方が固まった。


「どらっ!」


 攻撃がトモナリを狙うとあらば、周りもそれに合わせて動く。

 むしろ動きが分かりやすくなった。


 トモナリを狙って振り下ろされた尻尾を、タンクが間に割り込んで防ぐ。


「攻撃だ! さっさと倒すぞ!」


 一応攻撃に対しても防御するような反応は見せるが、トモナリ優先なことに変わりはない。

 魔法で視界を邪魔するようにしながら攻撃して、接近戦闘職たちも隙をついて一撃離脱で攻撃を叩き込む。


 硬い骨でも何回も攻撃されるとだんだんと脆くなる。

 折れたり欠けたりするところが増えてきていた。


「ヒカリ……そろそろ自分で飛ばないか?」


 ボーンドラゴンの猛攻をトモナリは必死にかわしていた。

 ブレスなんかで狙われるものだからすごく寒い。


 しかしヒカリはずっとトモナリに抱きかかえられたままである。

 ぬふっと幸せそうな顔をしている。


「トモナリを温めてるのだ」


 必死な顔して逃げ回るトモナリの顔をしたから眺めるのも格別。

 そんなことを考えているなんてトモナリは思いもしない。


 ヒカリを抱えていると温かいことは確かである。


「何が見えたぞ!」


 胸の骨の一部が魔法によって破壊された。

 中に青白く光るものが見えていた。


「避けろ!」


 ボーンドラゴンが乗っていた氷の台座が爆発するように割れ、氷が全員に襲いかかる。


「アイゼン君! ぐっ!」


 トモナリは飛んでくる氷を剣で叩き落とす。

 気づけば目の前にボーンドラゴンが迫っていた。


 テルヨシがトモナリを守ろうとしたが、氷で作り出した前足で弾き飛ばされてしまう。


「えっ!?」


 尻尾が迫る。

 衝撃を覚悟したトモナリだったが、尻尾は予想外の動きをする。


 トモナリの体に巻きついたのだ。

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