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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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ボーンドラゴン4

「アイツ……!」


 崩れた入り口を見て、さすがのテルヨシも険しい顔をする。

 ボス部屋に繋がる入り口は、今崩されたものしかない。


 つまり第三チームはボス部屋に閉じ込められてしまったのだ。


「ボスを倒すしかないか……!」


 崩れた岩をどかさねば出られない。

 しかしもうボスであるボーンドラゴンは動き出している。


 ボーンドラゴンのことを無視して脱出を試みるのはリスクが大きい。


「みんな、ボスを倒して外に出るぞ!」


 第一チームの助けは得られなくなったが、どのみちボーンドラゴンとは戦ったのだから結果は変わらない。

 第三チームもテルヨシの堂々とした姿を見て、残っていた動揺が消え失せる。


「こんなことが……」


 慎重なテルヨシが、死んでしまうほどの何かの失敗をするのはおかしいと思っていた。

 多少の気に入らないことがあったとしても、同じギルド内の仲間である。


 なのにそんな仲間の裏切り。

 これを予想なんてできないだろう。


 そして、回帰前にそんな話が出てこないことも納得した。

 このことが完全にバレたか分からないが、バレていたとしてもゲート内でそんなことが起きたなど周りに知られるわけにはいかない。


 厳重に口封じをしたに違いない。


「だが今回は俺がいる」


 回帰前にこの出来事がどんな結末を辿ったか知らない。

 けれども回帰前と一つ違うところがあるとしたら、トモナリがいるということだ。


 戦力的にだって劣るつもりはないし、一つの変数が出来事を大きく変えることだってある。


「それに……まあ、まだ分かんないからいいか。とりあえず、動くか」


 ボーンドラゴンが咆哮するように頭を掲げる。

 しかし喉がないために、ただのポーズにしかならない。


「ブレスが来るぞ!」


 ボーンドラゴンが口を大きく開ける。

 肉がないためか口元の魔法陣がよく見える。


「スキル障壁!」


 タンクがスキルを発動させる。

 魔法によって作られた六角形のパネルが何十枚と繋がったバリアが、タンクの前に展開される。


「おおっ!?」


「ちょっと意外だったな」


「あれ、カッコいいのだ!」


 ドラゴンのブレスといえば火炎。

 そんなのはただのイメージに過ぎない。


 確かに火炎を放つドラゴンも多く、イメージとしては間違っていない。

 現にヒカリもルビウスも火のブレスを放つ。


 エドも火のブレスを放てるし、アースドラゴンらしく岩の塊を生み出してブレスとして放つこともあるようだ。

 だけどドラゴンにも色々と属性はある。


 ルビウスは火だし、エドは土。

 ヒカリはブラックドラゴンという色々な属性を内包したスゴイドラゴンらしい。


「生身で受けなくてよかったな」


 タンクが出したバリアがガチガチに凍りついてしまった。

 ボーンドラゴンが放ったのは、まるで吹雪のような絶対零度の冷たさを秘めた氷のブレスであった。


 どうやらボーンドラゴンは氷属性のドラゴンだったみたいである。

 ヒカリは凍てつくブレスに目を輝かせている。


 新たな世界の扉が開いたのかもしれない。


「くっ!」


 ボーンドラゴンが尻尾を叩きつける。

 凍りついたバリアは容易く叩き割れてしまい、タンクは盾で受け流すようにして尻尾をなんとか防いだ。


 受け流したにも関わらず手には強い痺れが残っている。

 パワーはこのゲートで出会った他のモンスターよりも高そうだった。


 ブレスのせいでボス部屋の気温が一気に下がった気がする。


「一斉に放て!」


 魔法使いたちがボーンドラゴンに向けて魔法を放つ。

 氷属性っぽいことは分かったので、使う魔法も炎が中心となっている。


 ボーンドラゴンは翼を体の前に出して、魔法を防御する。

 魔法が翼に当たって爆発を起こし、ボス部屋が揺れる。


「おっと!」


「にょわ!?」


 爆発の黒煙の中から氷が飛んでくる。

 トモナリはとっさに横を飛んでいたヒカリを掴んで引き寄せる。


 ヒカリがいたところを先の尖った氷が通り過ぎていった。


「んもう、トモナリ、大胆なのだぁ」


「冗談言ってる暇ないぞ」


 ヒカリはすりすりとトモナリに頬を擦り付ける。

 可愛らしいことこの上ないのだけど、今はヒカリじゃないドラゴンの相手に忙しい。


 魔法が直撃したはずなのにボーンドラゴンは無傷だった。

 ドラゴンなだけあって魔法耐性が高いのかもしれない。


「ぐはっ!」


「なっ……!」


 ボーンドラゴンが体を回転させるようにして尻尾を振った。

 次の瞬間、ボーンドラゴンの尻尾が分離した。


 ピッタリとくっついた尻尾の骨に隙間ができて、まるで蛇腹剣のように伸びてきたのだ。

 離れていた覚醒者のところまで尻尾の攻撃が届いて、そのまま壁に叩きつけられてしまう。


 骨だけ、という特色を活かした攻撃までしてくるなんて予想外だった。


「くらえ!」


 トモナリはルビウスに炎をまとわせ、火炎の斬撃を飛ばす。

 油断していたのか、トモナリの斬撃はボーンドラゴンの頬に直撃した。


 ただ小さな傷を残したのみで、あまり大きなダメージにはなっていなさそう。


「……えっ?」


「なんか見られてるのだ?」


 ボーンドラゴンがトモナリの方を見た。

 眼球がないからよく分からないけれど、頭の向きは明らかにトモナリの方を向いていた。

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