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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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ボーンドラゴン2

「いいよな、ヒーラー」


 アカデミーにも覚醒者は多くいたが、初期段階から明確にヒーラーだった人は今のところいない。

 それぐらいに珍しいのだ。


 仮にヒーラーを見つけたとしても所属が決まっていることも多く、フリーのヒーラーは争奪戦になるだろう。


「ないもの考えても仕方ないからな」


 回帰前の記憶から何人か候補はいたりするが、今はなんの接点もない。


「とりあえず一階と大きく変わることはなかったな」


 骨が黒くなってモンスターが強くはなったが、出てくるモンスターの種類としては変わらない。

 単純に力が強くなった他に動きが変わることもない。


 複数階層のゲートにおいて、階層ごとに敵が変わることもあるが、進むごとに単純に敵が強くなっていくことも普通にありがちな現象である。


「結局なんの骨かも分からないものまで色々あるな……」


 トラやゴリラは形や動いている時の姿から何となく元のモンスターが予想できた。

 しかし中には全くなんの骨かも分からないものもあった。


 モンスターの骨なので、動物的なものに当てはめられないものもあるかもしれないのでしょうがない。


「おっと?」


 さらに進むと少し広めの小部屋のようなところにでた。

 そこには第一チームがいた。


「ん? ああ、生きてたのか」


「早速口が悪いな……」


 出会って早々憎まれる言い方をするものだ。


「ここで何をしてるんだ?」


「休憩だ。あっちを見てみろ」


 小部屋にはいくつか道が繋がっている。

 その中でも一際大きく空いている方をアキラはアゴで示す。


「ボス……だな」


 覗いてみると今いるところよりも広い部屋が隣接していた。

 そして奥側には、まるで博物館にでも展示してあるかのように自立している骨がある。


「ドラゴン……ですかね?」


 骨だけでもなんのモンスターなのかすぐに分かった。

 太い尻尾に、雄大な翼、鋭い牙といかにもドラゴンの骨ですよと言わんばかり。


 奥の部屋はそこで行き止まりになっている。

 ドラゴンの骨はどう見てもダンジョンのボスだった。


 さしずめ、ボーンドラゴンとでもいうのだろうか。

 第一チームはボス戦を前にして休んで状態を整えていたのだ。


「お前らに先に入らせてやるよ」


「なんだと?」


 第三チームも休もうとしていたところに、ニヤついた顔をしたアキラが寄ってきた。

 先に着いていたのは第一チームだから、第一チームがボスの攻略に当たるのが筋である。


 もし勝手に入って、ボスと戦い始めたら第一チームは文句をつけてくることだろう。

 第一チームと同時に、あるいは少し遅れるぐらいで戦い始めるつもりだった。


 それなのに、アキラは思いもよらない提案をしてきた。

 先に攻略すればいいなんて普通は言わない。


 テルヨシは訝しむように眉をひそめた。


「一階のボスも俺たちが倒したしな。このまま二階のボスも倒したらお前らはなんもしてないことになるだろ?」


 別に何もしていないことにはならない。

 功績としては特に挙げるようなものがないというだけで、ちゃんと攻略には参加してるしモンスターも討伐している。


 ゲートの攻略においてボスを倒すことは大事であるが、何もしていないと言われるのは心外だ。


「せめてボスと戦ったという功績だけでも与えてやろうってのさ」


「……光栄だな」


 非常に腹の立つ言い方。

 第三チームのみんながアキラのことを睨みつける。


 しかしアキラは気にした様子もなくニヤニヤとしている。

 テルヨシも流石にイラッとしていたが、ここで反発すればチーム同士のケンカにも発展しかねない。


 グッと堪えて笑顔を浮かべる。


「ふん、どうする?」


 テルヨシが笑顔を浮かべてみせたことに、アキラの方が不愉快そうな顔をする。


「先にやらせてもらおうか。功績は必要だしね」


 断れば臆病者扱いすることは目に見えている。

 どうせ少し戦ったところで参戦してきて、良いところを掻っ攫っていくのだろうとテルヨシは考えた。


 ちゃんと戦うが、本気で戦わなくてもいいだろう。

 そんなことをチーム内に伝える。


 ざっくりいってしまえば、ボスの偵察をやらされているということだ。


「まだ動きはなし……」


 タンクが先にボス部屋に入っていく。

 少し様子を見てみるが、ボーンドラゴンは動かない。


 もう少しタンクが前に進み、テルヨシを始めとした第三チームがボス部屋に進入する。

 第一チームは戦う気があるのかないのかわからない感じで後ろから見ている。


「まだ動かない?」


 第三チーム全員が入ったけれど、それでもボーンドラゴンは動かない。

 一定程度近づかなきゃ動かない、なんてこともボスにはありがちだ。


 タンクとテルヨシが一度視線を合わせて頷く。

 ほんのわずかな動きも見逃さないように盾の上から目だけを出してボーンドラゴンを見据え、一歩ずつ慎重に前に進んでいく。


 部屋の外から見ているアキラが焦ったそうにしているけれど、何よりも安全が大事なので焦って突撃するようことなどしない。


「………………動き出したぞ!」


 およそボス部屋の半分程度の位置を踏み越えた瞬間だった。

 ピクリとボーンドラゴンの骨が反応するように動きを見せた。

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