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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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ボーンダンジョン3

「何してるんだ?」


「ヒカリといちゃついてました」


「いちゃ〜なのだ〜」


 トモナリに揉みほぐされたヒカリは満足そうな顔をしている。


「ほどほどにしておけよ?」


 あまり気を抜いていると怒られるものだけど、戦いのストレスをしっかりとリラックスすることもまた必要な要素ではある。

 ヒカリと戯れることでトモナリの状態が保たれるのなら、と声をかけてきたおじさん覚醒者は軽く笑った。


「俺も……」


「嫌なのだ」


「そうか……」


「そう落ち込まないでください。基本的にみんなにこうですから」


 ちょっとだけ触らせてほしい。

 おじさん覚醒者が手を伸ばしたものの、ヒカリはすげなく断る。


 アカデミーのみんなならこれまで培ってきた信頼とお菓子賄賂作戦で触らせてもらったりしているが、何もないと普通の人は触らせてもらえない高貴な存在なのだ。

 簡単に触れる安いドラゴンではない。


「この調子でいくぞ」


「うむなのだ!」


 今のところ計画は順調。


「……あとはテルヨシさんがどこでやられるか……だな」


 テルヨシはまだ若くレベルとしてはシバヤマよりも低い。

 第三チームそのものが高レベルチームとしてはやや低めなのだ。


 ただCクラスゲートで失敗するような実力でもない。

 ここじゃなくて、他のゲートでテルヨシは失敗するのだろうかとトモナリは少し不安を抱えていた。


「あれは……人間、ではないな。猿?」


「チンパンジーにしては大きいし、ゴリラか何かか?」


 次に現れたのもまたスケルトンだった。

 ただ先ほど戦った四足歩行のケモノタイプのスケルトンと違って、今度は二足で歩いていた。


 しかし人間のスケルトンとは違う。

 やや前傾姿勢で頭の骨も人よりでかい。


 二足歩行ということで猿系統なのではないかと予想された。

 腕を地面について歩く様から誰かがゴリラなのではないかと言った。


「確かにゴリラっぽいな」


 ゴリラの骨格を見たことないので断言できないが、言われてみればゴリラっぽいなとみんな納得した。

 ということでひとまずゴリラのスケルトンだろうということになった。


 モンスターである以上ゴリラとは違う生き物の可能性もあるが、骨になる前なんて判別しようもない。


「警戒して戦うぞ!」


 定石通りにタンクが前に出る。

 ゴリラスケルトンはトモナリたちに気づくと腕を振り回して襲いかかってくる。


 生身のゴリラなら目に見えて腕が太くて、攻撃力がありそうだろう。

 ただ骨だとどうしても貧相で、相手の能力を予想しにくいところがある。


「ぐっ!?」


 骨に盾を殴りつけられて、タンクの覚醒者が大きく後ろに押される。

 盾の真ん中が軽くへこんでしまうほどの威力に驚きを隠せない。


「力が強いぞ! 気をつけろ!」


 少なくともゴリラ並に力は高そうだ。

 ゴンゴンと盾を殴りつけられてタンクの覚醒者は苦しそうな顔をする。


「ひょい! ほほい!」


「危ないぞ、ヒカリちゃん!」


「大丈夫なのだ!」


 ヒカリは飛び回ってゴリラスケルトンの腕をかわす。

 腕の振りも素速いが、ヒカリを捉えられるほどではない。


「柔らかさはスケルトンだな!」


 テルヨシがメイスでゴリラスケルトンの頭を砕く。

 振り回す腕の威力は高くとも所詮はスケルトン。


 トラスケルトンよりも丈夫な感じはあるものの、それでも苦労するほどの硬さではなかった。


「うおっ!?」


 ゴリラスケルトンがガッと盾を掴み、頭が迫ってタンクの覚醒者が焦って盾を上げる。

 ゴリラスケルトンに噛みかれて、盾がギシリと音を立てる。

 

 顔部分の肉もないので、意外と鋭くて大きな牙も持っていることも見えていた。

 ここまで噛みついてこなかったので少し油断していたので少し危ないところだった。


 太い牙で噛みつかれるとかなりのダメージになりそうだ。


「はっ!」


 トモナリはサッと前に出て、盾に噛み付くゴリラスケルトンの背骨を真ん中から叩き折る。


「助かった!」


「油断できませんね」


 比較的楽だろうなんて雰囲気もあるが、Cクラスゲートである。

 上から三番目の難易度であり、たとえ余裕があっても油断してると死人が出てもおかしくない。


 モンスターも人を簡単に死に至らしめるような威力を秘めているのだ。

 

「うーん、こちらは類似モンスター無しか」


 ゴリラスケルトンを倒し終え、テルヨシは戦ったことがないかをチェックする。

 しかし画像を撮ってみても同じようなモンスターは見つけられない。


 つまりこのゲートが初発見ということになるのだ。


「念の為に全てを回収しよう」


 ゴリラスケルトンは見たことないモンスターなので、倒した骨を全て回収する。

 こうした時に回収するのは一人でなく、何人かで手分けして回収していく。


 負担の分散という理由もあるが、死んでしまうとインベントリに入れたものは外から取り出せず無くなってしまう。

 そのためにリスクを避ける意味でも持ち帰る人を分散させるのだ。


「アンデッド……というよりは骨のダンジョンか?」


 戦ったモンスターの傾向から、今後出てくるかもしれないモンスターの傾向を予想する。

 トラスケルトンだけでは広くアンデッド系モンスターが出てくるかと予想していたが、特殊な骨系モンスターが連続したことからもっと範囲を狭めて骨モンスターのダンジョンだろうかとみんな思い始めた。

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