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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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刀の王

 天照ギルドでの研修が始まった。

 大型ギルドとなるとやっていることも多岐に渡る。


 ゲートを攻略するという覚醒者の基本は変わらないのだけど、ゲートが出現していないかの見回りや情報が寄せられた場所の調査、多少遠方でも攻略のためにチームを派遣もする。

 他にも素材の確保のために攻略せずに管理しているゲートがあったり、攻略のために訓練だって欠かさない。


 ただ流石の天照ギルドでやっていることはそれだけじゃ無い。

 他のギルドとの連携も取るし、覚醒者の装備をギルド内で整備したり、モンスターを自分たちで解体まで行う。


 メディカルチェックも受けられるし、整体やマッサージまである。

 モンスターの解析班なんてものもあって、一度戦ったモンスターなら次回以降攻略が楽になる。


 天照ギルドの中を見学するだけでも一日潰れてしまった。

 覚醒者も多くいるが、それよりもはるかに多くのサポートメンバーがいることにも驚いた。


 こうして最初は少し事務的なところも学びつつ研修をこなしていた。


「こんな時間に悪いな」


 ゲートが出現すれば勤務の時間が不規則になってしまうことはあるものの、基本的に勤務の時間はしっかりとしていて残ってまで仕事することは少ない。

 一日の仕事を終えて、トモナリは泊まっているホテルに戻っていた。


 天照ギルドにも宿直室のようなものはあるけれど、長期間泊まる場所ではない。

 ちゃんと体を休めるために近くのホテルに宿泊している。


 もちろん天照ギルドが費用持ちで、ホテルも良いホテルだ。

 夕食を食べたトモナリは、一緒にいたウルマにそのまま部屋に来てもらった。


「い、いえ。先輩のためなら……」


 ウルマはちょっとドキドキしたような顔をしていて、ヒカリはデザートにと買ってあったアイスを食べながらウルマのことを細い目で見ている。


「ちょっと話があってな」


「は、話ってなんですか?」


 今日は可愛い下着つけていないのになとウルマはモジモジとする。


「とりあえず、ここまでお疲れ様。色々助かってるよ」


 ウルマは意外と頑張ってくれている。

 細かく気を使ってくれているし、トモナリの身の回りの世話をうまくこなしてくれていた。


 良いお嫁さんになりそうなんていうとセクハラくさいので言わないが、思っていたよりも周りのことを見ていて驚いた。


「渡したいものがあるんだ」


「わ、渡したいものですか?」


 まだ何日かウルマが同行する時間はある。

 労うために呼び出すのは少し早い。


 今日呼び出したのには理由がある。


「これだ」


「……刀…………ですか?」


「そうだ」


 トモナリはインベントリから神切を取り出した。

 回帰前、神切を支配下に置いた持ち主はウルマである。


 盗まれて連続殺人に使われる前にトモナリが回収したものだけど、トモナリが制御するのは少し大変みたいだった。

 今のウルマに扱えるかどうかは分からないものの、本来の持ち主に渡しておくべきだろう。


 鞘を持つ分にはまだ問題はないが、それでも手から不穏な気配を感じる。


「これは強い力を秘めた刀なんだけど、問題があってな」


「ふーん」


「なんか怒ってるのか?」


 思っていた展開じゃなかった。

 勝手に期待したのはウルマであるが、良い雰囲気になることを想像していたのでちょっとムッとしている。


 そんな時に物々しい刀が出てきたのだから良い雰囲気になどなるはずがない。


「怒ってません!」


「そりゃトモナリには僕がいるからなのだ」


「むぅ!」


 二個目のアイスに手をつけたヒカリはベッドの上でニヤリとする。

 ちょっと負けたような気になって、ウルマはヒカリのことを睨みつける。


「それで……これをくれるんですか?」


「ああ。お前は刀王だろ? 俺よりも刀に親和性が高い」


 ウルマは改めて神切を見る。

 想像していた雰囲気とは違うが、トモナリがくれる刀なら良いものだろうと思った。


 わざわざ自分のために用意してくれた刀だと思うと、それもまた嬉しくなってきた。


「今のお前に制御は難しいかもしれないけど……きっとそのうち力になってくれるはずだ」


 回帰前の記憶ではウルマは神切を使っていた。

 相当な高レベルになっても使える武器であることは間違いない。


「へぇ、そんなにすごいものなんですか」


「あっ、そんなに不用意に触ると……」


「なんだかうるさいですね」


「…………大丈夫なのか?」


 ウルマは刀を軽く抜いて刃を確かめる。

 柄を握っただけで頭の中に声が聞こえてきて、抗いがたい衝動に駆られるはずなのにウルマは平気そう。


 暴れられたら制圧するつもりだった。

 実力が足りないかもしれない今渡すのは、今ならウルマの能力値も低くてトモナリでも制圧が容易そうだったから。


「一応大丈夫です。なんか聞こえてうるさいですね」


 ウルマは刀を収める。


「変な刀ですね。こうすれば大丈夫かな?」


 ウルマは刀に指を二本向けて、スッと上に向ける。

 すると刀が一人でに抜けて浮き上がった。


 ウルマのスキルである御剣術だ。

 これは武器に触れずとも念動力のように操作するスキルで、自在に操れるようになるとそれだけでもかなり強力なスキルとなる。


「こうすればうるさくないですね!」


 触れなきゃ大丈夫。

 ウルマはニコリと笑う。


 触れても衝動に襲われなさそうだし、やはり刀王というスキルは刀に対して特別な親和性があるようだ。


「先輩からもらった大事な刀……大切にしますね」


 指先で神切を操り、ウルマは鞘に戻した。

 回帰前も声が聞こえながら使っていたのだろうか。


 少しの疑問は残るものの、トモナリが持つよりもウルマが持つ方が明らかに安全そうなのでそのままウルマに上げることにした。

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