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【第六章完結】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第八章

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天照ギルドで研修3

「良いパートナーの存在はお互いを成長させてくれる。ドラゴンという貴重な存在でもあるし、大切になさい」


「はい、そうします」


 トモナリが本格的に活動していた時期にクレアはもういなかった。

 引退したのか、あるいは戦って途中でいなくなったのかは知らないが、何にしても直接見たこともなかった。


 だけども思っていたよりも優しい人であるようだ。

 そして、かなり強いなとも感じていた。


 穏やかさの裏に感じる強い魔力は、これまであった人の中でもトップクラスだ。

 クレアも戦って長い。


 レベルで考えると確実に100に到達しているだろう。

 クレアがもう少し若ければ、これからの困難を乗り越える一助となってくれたのかもしれない。


「研修にウチを選んでくれて嬉しいわ。そのままあなたがウチに腰を据えてくれるともっと嬉しいのだけど」


 クレアは微笑みをトモナリに向ける。

 だけど目の奥には本気の光が見えた。


「考えておきます」


 ギルドマスターたるクレアから直接こう言われれば揺らぐ人もいるだろうが、トモナリも素人ではない。

 ニコリと笑って受け流す。


「能力はお墨付きだけど……人間性も高いのね。どうしたらあなたのことを引き込めるかしら?」


「俺はなかなか高いですよ?」


「あら? ウチも結構力あるのよ?」


 どうせ入るなら良いところがいい。

 天照ギルドはその点で悪いところではない。


 ただ回帰したトモナリは天照ギルドがどうなるのかも知っている。


「まあ、無理強いするつもりはないわ。あなたと直接話せてよかった。何か困り事があったら私に直接言ってちょうだい。あなたのためならちょっとぐらい便宜を図ることもあるから」


 クレアはトモナリにウインクする。

 自然な動作で、ウインクも似合っているなとトモナリは思った。


「そろそろ他の子も来るわね。しばらくはよろしくね。ウチでの研修楽しんで」


 クレアがチラリと時計に目を向ける。

 いつの間にか普通の会社が始まるぐらいの時間になっていた。


「先輩、気に入られてましたね」


 部屋を出てエレベーターに乗って下の階に向かう。

 個別に呼び出したことも含めて、クレアは本気でトモナリのことをスカウトしたいと考えているようだった。


「本当にありがたい話だな」


 回帰前は吹けば消し飛ぶような弱小ギルドに頼み込んで入れてもらっていた。

 それが今は大型ギルドから誘いがある。


 じんわりとした嬉しさが広がる。


「サクならわーって喜んじゃうのに先輩は冷静ですね」


「頬をつつくな」


 ウルマはイタズラっぽくトモナリの頬を指先でつつく。


「ともかく……良い人そうだったな。やっぱりいなくなった後……なのか?」


「何の話ですか?」


「いや、何でもないよ」


 今は国内トップクラスのギルドだが、将来没落してしまう。

 トモナリの記憶ではクレアはもうおらず、ギルド内部の分裂によってギルドも分裂して天照ギルド本体も分裂したギルドも何ともならないギルドになってしまう。


 分裂を起こした理由をトモナリは何となく知っている。

 そして、その原因こそ今回トモナリが天照ギルドを選んだ理由でもあったのだ。


「少しの間だけどよろしく頼むぞ、ウルマ」


「サクって呼んでくださいよ、せーんぱい」


「それは照れ臭いから許してくれ」


「ぬっ! ぶにゅ!」


「んもー、ヒカリ先輩?」


「仕返しなのだ!」


 ヒカリがウルマの頬をツンツンする。

 最近ヒカリのウルマへの対抗心も燃えている。


「先輩! 私も撫でてくださいよ!」


「ふふん、僕の特権なのだ!」


 トモナリに頭を撫でられてヒカリはドヤ顔をする。

 なんだかんだで仲は悪くないのかもしれない。


 あとはギルドで研修しながら上手くやるだけである。

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