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第8話 決着!試練の行方は!?

「あれ、動き遅くなった?怪我したからかな、あ、でも、私が速くなったってこともあるのかな。まぁどうでもいいか」


「あがっ!」


 白が蹴られた。腕でガードはしたがそれでも吹き飛び、壁にぶつかる音が響く。吹き飛ばされる音にかき消されたため周囲の者には聞こえていなかったが、白と機械《Maschine》だけはしっかりと「ポキン」と何かが折れる音が聞こえた。……もちろん、白の腕の骨が折れた音だった。


 機械《Maschine》。それは思考を放棄し敵とみなした者を壊すことに快感を憶える傾向がある魔法少女。


 そして、清華には魔法少女の適性が無かった稀な人間。変身をするためには人間用のリミッターを外さなければいけなかった。


 機械《Maschine》の特徴と、リミッターを外した変身者。この二つが組み合わさる事により、

超高性能な殺戮兵器へとなり始めていた。


 幸運なことに変身者は場数を踏んでいない素人の女子中学生。リミッターが外れた魔法少女だとしても殺戮兵器程の脅威にはならない


 しかし脅威じゃないと言うがそれはあくまで殺戮兵器と比べた場合(・・・・・・・・・・)なだけである。殺戮兵器程ではないということは、白が負けない理由にはならないのだ。


「……くそっ!面白ぇじゃねえか」


 笑みを浮かべ、砂埃の中から白が出てくる。機械《Maschine》の攻撃で骨が折れていてもおかしくないのだが、それでも笑っている。


「殴られて喜ぶの?骨を折られて喜ぶの?変態なの?まあ……どうでもいいかっ!」



「すとーーっぷ!」


「……は?」


 突然白と機械《Maschine》の間に割り込んだのは嬉々だった。もちろん、相手のことしか見ていなかった二人は全力でぶつかり合おうとしていたわけなので……。


「え、ちょ、すとっぷ……ととと、止まってえええぐはっ!」


 言わずもがな、車は急には止まれない。勢いをつけた人だって同じだ。しかし止まれなくてもブレーキを全開にして速度を落とすことは出来る。


 今回の場合は速度を落としたおかげで嬉々は吹っ飛ぶだけで済んだのだった。


「……何?」


 機械《Maschine》は物凄い形相で嬉々を睨む。


「いや何じゃないよ!清華ちゃんは変身解除!白は大人しくしてなさい!」


「はぁ!?俺はまだ戦い足りな」


 言い終わる前に白に石の破片が突き刺さる。それと同時に夢々が白……厳密には白の後ろの壊れた壁を指さしながら言い放つ。


「ドクターストップだ」


「なるほど、壁に復鬼の力を使うことで破片を俺に当てたってわけだ……ドクターストップってレベルじゃねえだろ」


 白は最後に一言文句をいい倒れた。


「ほら、清華ちゃんも変身解除して」


「……はぁ」


 機械《Maschine》が清華へと戻る。


 かくして。コロシアムでの戦いは幕を閉じた。




(真城さん初っ端に気絶したよね)


(そういう柚来さんは後半何もしてなかったじゃない。使えないね)


(誰が時間稼ぎしたのか覚えてないの?記憶力は鳥並ね)


「「………」」


 小声で言い争いつつ睨み合う私と柚来さん。今は嬉々さんの研究室で嬉々さんと夢々さんを待っている。


「ふたりともおまたせ。白の怪我が思ったよりも大きかったから直すのに時間かかっちゃった」


「直したのは私なんだが……まぁいいけど」


 タイミングよく嬉々さんと夢々さんが帰ってきた。やっぱりさっきので疲れてるっぽい。


「あの……嬉々さんさっきはすみませんでした」


「あ、殴られたこと?別に気にしてないよ!殴られる覚悟で間に入ったし!まぁ思ったより痛かったけど!元気な証拠だよ!」


 ……いつもどおり元気な嬉々さんで良かった。うん、多分良いと思う。ちょっとうるさいけど。


「それで……私達は合格ですか?」


 柚来さんが尋ねる。私も気になってたとこだ。


「うん、戦闘面では全然OK出したいんだけど……」


「清華はリミッターを解除してるのもあって暴走してしまう。だからこちらとしてはできれば戦わせたくないというのが本音だ」


「やっぱりそうですよね……」


 諦めかけたその時、柚来さんが急に立ち上がった。


「さっき暴走した時、嬉々さんが変身解除を促したら変身解除してくれたじゃないですか!それに、敵に向かってしか攻撃してなかった……私には攻撃はしてこなかったです!だ、だから私達がサポートしたら上手くやれると思います!」


 柚来さんってこんな声も出せたんだ……。柚来さんの声は教室での笑い声と同じ大きさだったけど、重さが全然違った。真剣な声だった。


 正直、こんなふうに自分の意見を真っ直ぐ言えるところは羨ましくて嫌いだ。


(庇ってくれてるってことは本心では1人じゃ淋しいってことなのかな……私もああは言ったけどやっぱり柚来さんと一緒がいいって思っちゃってるし)


 と、考えていると嬉々さんが両手をふる。


「ああいや、私達もね?本音では戦わせたくないって感じだったの。でもね、確かに柚来ちゃんが言いたいこともわかるよ。と、言うわけで!」


(あ、いつもの嬉々さんに戻った)


 普段のテンションに戻った嬉々さんは何処からかホワイトボードを取り出し、そこに文字を書く。


「「……なるほど」」


 書かれた内容はこうだった。


 まず柚来さんが変身する。例えば私が見た火鬼や柚来さんと白が見た小鬼とやらはできるだけ柚来さんが対処する。もしも前の敵より強ければ私は即参戦。


 確かに、前出合った程度なら一人でも大丈夫そうだけど……。


「もしも、真城さんが変身するまでの間に急に不意打ちで私がやられちゃったらどうすればいいですか?」


「うん。一応私はこの店をやりながらそっちの状況も見ておくから、そういう場合は基本的に私から逃げる指示を出すと思う。不意打ちとはいえ私の奇術師《Magician》!を一撃で倒す相手なんて、リミッター外した機械《Maschine》でも勝てないだろうし」


「まぁそもそもそんな敵に出会ったら二人がかりでも逃げれるかどうかって感じでしたね。改めて考えるとやば〜」


 苦い顔をして軽口を叩く柚来さん。危機感が無いのか、虚勢を張ってるのか……。柚来さんの性格的に虚勢っぽいけど。


「ま、そういうわけで今日は解散!あともちろん戦ってもらうのはあくまで貴女達に危険が及ぶ時だけだからね!別の場所の戦闘は地獄のみんなに任せなさいっ!」


「「はーい」」


 かくして。


 柚来さんと仲直り?して、試練を受け、無事(ギリギリ)合格しましたとさ。

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