第46話 「プライドを折られた暴れ鹿」
俺に片角を刈り取られたオリハルコンディアーは、目を血走らせていた。
「おいおい、大切な角が無くなったことは同情するがこれが自然ってやつだろうに。そんな目で見られても困るなぁ!」
今までお前はこの山での絶対的強者だったのだろう。だから、傷つけられただけでキレるし冷静さを欠くことになる。
そんな自惚れた鹿には更に威厳を捨てさせよう。
「ほら、こいよ」
『キョオオオオン!!』
オリハルコンディアーは存外、知能が高いのだろう。俺が挑発するために指を曲げて攻撃を促すと、意図を理解して頭に血が昇った状態で突っ込んできた。
「扱いやすい馬鹿め」
ただ俺を殺すためだけに直進してくるオリハルコンディアーを跳躍することで前に避け、外法の大鎌を残りの角に引っ掛ける。
勢いをそのままに、全力で自分の方へと引くともう一本の角も綺麗に狩り取ることに成功した。
オリハルコンディアーは自分の角が切られたことを理解したのか、先ほどとは違いその場で立ち尽くすように静かに止まる。
『キョ......』
「ほれ、もうお前は角を全て失った。どうするんだ?このまま何もしないのなら、あとは首を狩るだけだぞ」
怒りか悲しみか。その場で小刻みに震えるオリハルコンディアーの背中に語り掛けた。
このまま何もすることなく立っているだけなら、そのまま首を刎ねる。
だが、それでも抗ってくるのなら......。
『ギョオオオオオ!!!!』
オリハルコンディアーは全身から魔力を放出し、バチバチという音を鳴らしながら雷の魔力を纏い始めた。
雷の魔力は徐々に角の方へと集まっていき、新しい角を形作っていく。
元々生えていた角とは違い、途中から枝分かれした木の枝のような形状へと変化していた。
「おお、ご立派な角だな。それをこのまま切るのは難しそうだ」
『ブルルルル!!!』
――これまで抑えていた闘争本能を解放しよう。
「眠れる魂よ、我に力を貸せ。『ウッドドラゴン・ソウル』」
暴魂喰の魔鉱鎧から黒ずんだ緑の蒸気が放出し、身体全てを覆ったあとにどんどん膨張していく。
その大きさはオリハルコンディアーと同程度。
『ガアアアアアア!!!』
喉から発せられた凄まじい咆哮とともに纏わりついた蒸気を吹き飛ばすと、なかから鎧に包まれた黒き龍が顕現した。
あの時木龍の夢のなかで俺が変化した姿のまま、少し小さくした姿。
怒れる獣と本能に従い、戦うのならこの姿が相応しい。
『来い!!!』
『ブアアアア!!!』
雷に身を包むオリハルコンディアーが俺に向かって突進を開始した。
ただその速さはこれまでとは比にならない程。
生身で受ければ確実に貫かれていただろう。
――ただ、今の俺は龍だ。
龍の鱗がこの程度で砕けるはずがない。
俺は正面からオリハルコンディアーの突進を受け止め、両角を腕で掴む。
『聖樹植生』
木龍の魂が反応することで、普段よりも太く大量の聖樹が地面から生えてオリハルコンディアーを縛っていく。
雷を放出して聖樹を破壊しようと試みているが、表面が少し焦げ付くだけで破壊することは出来ていない。
『さあ、覚悟を決めろ。龍の爪がお前の命を刈り取る』
地面を揺らしながら、もはや抵抗することも出来なくなったオリハルコンディアーの目の前に立った。
まだ怒りと闘志が収まっていない黄金の鹿を見つめながら、ゆっくりと腕を上げて見せつけるように大鎌の形をした爪に魔力を集中させていく。
もはや死という運命から逃れられないということを理解させるように。そして、もう残された未来は無いと知らせるように。
『龍爪』
『ギョオオオオオ!!??』
俺の爪がオリハルコンディアーの首を切り落とした。
地面に落ちた首と胴からから血が溢れ、綺麗な草原を赤に染めていく。
魔力を散らした俺は元の身体に戻って死体の前で目を瞑った。
「さようなら、哀れで生きることに忠実な大鹿よ」
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ここまでで一度、「大鎌が魅せるは貴方の最期」の更新を停止とさせていただきます。
理由としては森を出るところまでのプロットを考えた状態で始めたため、コラプト編が上手く書けなかったこと。
どうしても自分で面白い展開に向かわせることが出来なかったことが理由です。
このまま続けるよりも一度停止させ、文章力が付いたあとにリメイクしたいという判断をしました。
この小説をこれまで応援してくださった方には申し訳無いのですがご理解いただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次は設定をしっかりと固めた上で新作を書こうと思っていますので、その際はよろしくお願いします。
改めて、ここまで読んでくださりありがとうございました!




