みんなのダンジョン2 "硝子ダンジョン"
瑞樹は、俺たちの中で1番早くからダンジョンを持っている。
中学の頃にはもうダンジョン持ちだったようで、
表示された職業を見た瞬間、絶対やりたい!と思ったらしい。
中学生がやりたいって思う職業には思えないんだけどな?
うちの兄貴のように、ダンジョンに炉があるらしい。
でも炉ダンジョンじゃなくて、硝子ダンジョン。
1階層には、炉があって、硝子工房がある。
というか1階層しかないらしい。
兄貴のダンジョンよりもかなり広いんだろう。
で、面白いのが切子エリア、ぴーどろエリアとかに分かれていて、それぞれに炉があるらしい。
専用の炉らしい。
全国を回って、硝子の工芸品を勉強してきてたな。
江戸切子とか薩摩切子とかって言ってたぞ。
俺は姉貴の結婚の祝いに黄色と緑の切子のペアグラスを作ってもらったぞ。
綺麗な色だぞ。
その色にしたのは完全に俺の好みだけどな。
まだまだだって言ってたけど、かなり綺麗で姉貴たちも喜んでた。
今度は津軽のぴーどろを勉強しに行くんだとさ。
「それで、どんな魔物が出るんだ?」
「いや、それがさ…わかんないんだよ」
はっ?
「わかんないってなんだ?」
「いや、俺さ?ダンジョンに入って硝子工房でしか作業したことないんだよ」
マジで言ってんのか?
それって魔物を倒してないってことか?
「今までアラートは?」
「出たことないんだけど…」
マジかよ!?
そんなダンジョンあんの!?
でも、瑞樹はレベル1とかじゃないよな?
ステータス
[名前] 古賀瑞樹
[年齢] 23歳
[職業] 硝子職人
[レベル] 22
[魔力] 10,648
[体力] 15,972
[スキル] バランス、センス、青の手、魔法の手、魔力操作
[ダンジョン] 硝子ダンジョン
だよな。
レベル22ってことは、魔物を結構倒してるはずなんだがなぁ。
瑞樹は魔物を倒した自覚なし。
どうなってんだ?
とりあえず潜ってみるか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
兄貴の工房は、草原にポツンとある感じだけど、瑞樹の工房は違うな。
奥に山…山脈?があるし、川が流れている。
そこに工房がある。
見たところ魔物がいるようには、確かに見えない。
けどさ、【察知】と【魔力感知】で探ってみたら、この辺りいったいどころか階層全体に反応が広がっているんだよな。
なんだ!?
【鑑定】
ケイシャーダ
ガラスの材料の珪砂の魔物。
一粒一粒が極弱の魔物。
マジか!
硝子作れば、魔物倒してることになるのか!
弱いから経験値が少なくて、レベルがそこまで高くないんだな。
たぶん。
【鑑定】
ソーダハイーナ
ガラスの材料の炭酸ナトリウムの魔物。
一粒一粒が極弱の魔物。
【鑑定】
セッカイセキン
ガラスの材料の炭酸カルシウムの魔物。
一粒一粒が極弱の魔物。
そりゃ自覚もなく魔物を倒してるわけだ。
瑞樹は硝子を製造してるだけだもんな。
他に強い魔物の気配はないな。
俺が潜る必要はなさそうだけど…。
でも、魔石は出ないのか?
それなら瑞樹の炉の火はどうやって維持してるんだ?
兄貴の炉は魔石喰いだぞ?
燃費悪いぞ?
まさか…?
この粒魔物は炉の中で魔石をドロップしてたりするのか?
それなら納得いくな。
けど、瑞樹の収入にならなくねぇ?
あっ、兄貴もか。
他に何かないのか?
川の中とか山とかに。
魔物の気配?魔力は感じないけど、採取出来るものはないのか?
川を【鑑定】してみるか。
【鑑定】
キレーナ川
一級河川上位相当の水質
キレーナ山脈から流れる良質な水
ついでにキレーナ山脈も【鑑定】してみるか。
【鑑定】
キレーナ山脈
手の入っていない金山
川に流れ出す砂金でも一粒数万円の価値
埋蔵量は不明
おおーい!
マジかよ。
あの山脈って金山なのかよ!
今って、金のレートっていくらだよ!?
あんまり掘って市場に出すのは、得策じゃないだろうな。
他のみんなとも相談じゃね?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「瑞樹、お前毎日弱い魔物を倒してたみたいだぞ?」
「はい?俺、魔物と戦ったことないぞ?」
そりゃ戦ったことはないだろうよ。
「ガラスに使う材料あんじゃん?」
「珪砂とかソーダ灰とか石灰石のことか?」
「そう、それが魔物だったぞ」
はぁぁぁぁ!?!?って、瑞樹は盛大に叫んでいる。
ってか、他のみんなも叫んでるけど。
まぁ、その気持ちもわかるけどな。
「あれって魔物だったのか!?」
俺が頷くと、
「通りでレベルアップするわけだよなぁ。なんでレベルアップするのか謎だったんだよな」
瑞樹は、納得したようだった。
「後さ、奥に山脈あるじゃん?」
「あー、すっげぇー遠くにあるヤツ?」
「そう、それって金山だった」
「「「「はぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」」」」
はい、また盛大な"はぁぁ!?"をもらいました。
「金山ってマジ?」
大和が目を見開いて聞いてくる。
「マジ」
「なんでわかったんだ?」
あれ?みんな俺がまだ【鑑定】スキル持ってるのは知ってるよな?
「【鑑定】したから?」
「いやだから、なんで山を【鑑定】したのかって聞いてんの」
一彩にアホかと突っ込まれる。
あぁ、そういうこと?
「いや、ガラスの素材が魔物だったから、
瑞樹は魔石の買取出来ないよなー、
他になんかないのかなーって思って、
川とかになんかないかと思って、
川を【鑑定】したら、山から流れる水は上質って出たから、
山を【鑑定】したんだよ」
「そしたら、金山だったと?」
その通りなので、頷いた。
「もしかして俺って、億万長者!?」
瑞樹の感想は正しいかもだけどさ?
「でもさ、安易に大量に表に出せなくねぇか?」
「俺も聡史の意見に同意だな」
と、大和の同意に続いて俺も頷く。
「なんでだよっ!」
夢の億万長者だぞ!?って、瑞樹が食ってかかる。
「だって、大量に出したら値崩れするんじゃねぇの?そしたら億万長者はムリだろ?」
ガックリした瑞樹に、みんながポンポンと肩を叩く。
「川に流れてくる砂金でも数万円とかになるらしいから、そのくらいにしておけ?」
恨めしそうに俺を見んなやっ!
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
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