冬ダンジョン
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「リッカ、早野さんからアラート出ちゃったから急ぎで来て欲しいって、連絡来てるんだけど、行けるか?」
ハヤノさんは、30歳くらいのお兄さんだ。
デスクワークは得意だけど、運動が苦手なんだって。
反射神経を母親のお腹に忘れて来たんだって言っちゃうくらいの運動音痴らしい。
だから、ダンジョンに自分で潜るのは諦めたらしい。
そんなハヤノさんは、俺を指名して依頼してくれる。
「いつ?」
「今日、これから」
「今日!?」
いきなりだな。
せめてもう少し前に連絡入れといてくれれば…。
そうこぼしたら、昴義兄も苦笑いで、
「明日から出張で海外なんだって、まさかアラートが出るとは思ってなったみたいだな」
なるほど。
そういうことなら、行くよ。
「わかった、行くよ」
「すまんな」
「これから行くって連絡しておいて」
昴義兄は頷いて、連絡を取り始めてくれた。
さてと、戦闘服に着替えて行って来ますかね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まいどー!なんでも屋です」
ハヤノさんが、玄関を開けてバツの悪そうな顔をしている。
「リッカくん、ごめん。至急とかで依頼して」
「明日から出張で海外なら仕方ないですよ」
「出張の準備とかで、依頼出す余裕もなくて…」
そんなに忙しいのか。
「出張はどのくらいの期間ですか?」
「1ヶ月から2ヶ月の間くらいの予定だ」
うーむ。
今日魔物をガッツリ討伐しておけば、ギリギリ保つか?
「それなら、アラートが出た階層だけじゃなくて全階層回りましょうか?」
「そうしてくれるか?」
その方がいいでしょ?
「出張中にアラート出たら困りますもんね」
ハヤノさんは、苦笑いだ。
「アラートが出ない事を祈るしかないな。全階層の分はちゃんと請求してくれ」
俺が頷くと、ハヤノさんはホッとした顔をした。
とりあえずタイマーを3時間にセットした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ハヤノさんのダンジョンは冬ダンジョン。
全3階層。
冬が旬の食材が手に入るぞ。
まずは1階層だな。
冬ダンジョンの中は、雪原が広がってる。
普通に寒い。
姉貴の戦闘服は、耐寒もエンチャントされている。
別の戦闘服には、耐熱がエンチャントされてるのもあるぞ。
この階層の魔物は、スノーバグ。
北国で雪が降り始める前の時期に飛ぶ雪虫ってヤツのドデカいバージョンだ。
50センチくらいあるぞ。
このスノーバグを倒すと、キャベツ、白菜、大根のどれかをドロップする。
市販のものより一回りくらい大きくて、味も濃くて美味い。
スノーバグは顔に張り付いて窒息させようとするぞ。
イヤな虫だな。
見た目はもふもふのぬいぐるみっぽいのにな…。
おー、かなり飛んでるな。
でも、アラートは3階層だったはずなんだけど?
近づかれる前に、とりあえず倒すか。
【サンダーボルト】
喰らっとけ!
バリバリすごい音がして、どんどんドロップへと変化する。
何度か【サンダーボルト】で攻撃したら、【索敵】に反応がなくなった。
全部倒したっぽいな。
散らばってた魔石を集めたら50個以上あったぞ?
次に行くか。
2階層は、スノーマン。
要するに雪だるまだな。
動き回るのとその場から絶対に動かないのがいるぞ。
動く方は、手足がついてるけどな。
ドロップするのは、ミカン、レモン、リンゴ。
【ファイヤーボール】をぶつけてやったら溶けるぞ。
【ファイヤーウォール】で囲ってやるのも簡単だけどな。
勝手に溶けてドロップ化してくれるからな。
ドロップする個数はバラバラで、リンゴ1個の時もあれば、ミカン100個の時もある。
法則みたいのは見つけられていない。
倒した雪だるまは36体のようだな。
魔石がそれだけあるからな。
で、今回の本命の階層だな。
アラートの出た3階層。
ここの魔物は、アイススノーマン。
氷だるま。
うわー。
これはアラート出るな。
むしろ出ない方がおかしい。
【索敵】で、100体は軽く確認出来た。
ここのドロップは寒ぶりに寒さば。
1匹まるまるドロップする。
これは、倒してドロップさせるしかねぇな。
美味いんだよ。
ハヤノさんのとこの寒ぶり寒さば!
以前、ハヤノさんにお裾分けをもらったことがある。
今回はこれだけいるなら、買取後に家用にも購入出来るだろう!
アイススノーマンを倒すには、火属性の攻撃ではちょっと足りない。
なので、炎属性で攻撃する。
【フレイムランス】とか【ブレイズアロー】とかかな。
直線上に何体かいれば、串刺みたいに1発で複数体倒せたりする。
火よりも威力は段違いに強いぞ。
魔力も多く使うけどな!
寒ぶり40に寒さば68。
うん、いいね!
ハヤノさんにドロップと魔石の個数を伝えたら、固まっていた。
過去一で多かったからな。
「全部買取で大丈夫ですか?」
明日から海外出張ってことは、食材が手元にあってもこまるよな?と思って確認したら、
「リッカくん、緊急対応のお礼に何かいりませんか?」
ハヤノさんがそんなことを言う。
えっ?マジで?
「いやいやいや、買取すればハヤノさんの収入になるんですよ!?」
俺は欲しければ、なんでも屋の社員割で買えばいいし。
「いや、今回のお礼なので是非!!」
そこまで言うなら…。
「レモンをいくつかお願い出来ますか?」
「レモンですか?」
「はい。ハヤノさんのところのレモンは美味しいんですよ?」
酸味は爽やかだし、酸っぱいだけじゃなくてほんのり甘さを感じるんだよ。
ハヤノさんはなぜか少し考えて、メモを取り始めた。
どうした?
「では、これをリッカくんに。他はすべて買取でお願いします」
渡されたメモを見て驚いた。
レモン10個。
ミカン20個。
寒ぶり2匹。
寒さば5匹。
と書かれていた。
「イヤイヤこんなにもらえないですよ」
「気持ちなのでもらってください」
いやでもなぁ。
俺が渋っていると、ハヤノさんが、
「出張から帰って来たらまた依頼するのは、決定なので賄賂…は言葉が悪いな…お裾分けってことでお願いします」
あんまり断るのも失礼かなと思って、結局受け取ってしまった。
ハヤノさんの笑顔に負けました…。
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トーヤのテンションがあがります(笑)
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