EPISODE:057 [フラグフラグフラグ〜、フラグを建てーると〜]
第一騎士団→護剣騎士団
第二騎士団→審問騎士団
第三騎士団→討魔騎士団
に変更しました。
「くわぁぁ~~~。……ねっむ…。」
今手に持っている光属性の魔道具が無ければ、常人ならば一寸先も見えないこの暗闇の中、呑気な声が静寂を切り裂けずに消えていった。
その声がした方向を見てみると、眠そうに目を擦りながらあちこちを適当に見張っている茶髪の男が見えた。
その足取りは危なっかしく、その上、魔法師達が創った土壁の淵の近くを歩いてやってくるため、いつ落ちてしまうか気が気でない。
部下の名前はエリック。我らがオルトレーン王国討魔騎士団に最近入隊し、第三師団エラース分隊に配属された期待の新人だ。
とは言っても、実際は才能にかまけて努力を怠っている青二才なのだが。
しかし、今はそんな事は置いておいて、エリックに叱責を飛ばす。
「エリックっ!魔境内で気を抜くなと何度も言っているだろう?お前は何時になったら学ぶんだ!!」
「班長の言う通りだ。まったく、そのままじゃいつかポックリ逝っちまうぞ?」
俺の隣でケルトがやれやれと手を振りながら言う。
俺達が溜め息をつく一方で、エリックは怒声に顔を顰めて、耳に手を当てながら意見を言ってくる。
「しかし班長〜。何も無さ過ぎて暇で仕方ないですよ。ここ1週間で《骸骨人》の群れが2回だけですよ?」
「何だ、お前は死にたいのか?何も無いだなんて、良い事じゃないか」
ケルトの言う通りだ。俺は一人頷く。
「でも、何も無さ過ぎるのもまた問題なんだよね」
《気配感知》にも引っ掛からずに急に後ろから声がして、持っている槍に力が入る。
しかし、聞き馴染みのある声にすぐに正体が分かった。
「ラズリー、イタズラをするのは辞めてくれ……。いつか間違って斬り兼ねない」
振り向いて苦言を呈したが、本人はどこ吹く風で自慢の赤髪を弄っており、反省している様子は無い。
「レンドを信じているから。気付いてくれるって」
…そういう事では無いのだがな。
というか、
「班長と呼べと言っているだろう…。それで、一緒に偵察に行っていたモリスとネイルはどうした?」
「彼らなら休憩で内側で休んでいるわ。それと、偵察だけど、《動く死体》系統の魔物を1回も見なかったわ。明らかに変だった。多分だけど《異常個体》よ」
ラズリーの言葉に俺とケルトは押し黙る。
ただ1人、どういう事か理解していないエリックは、頭に疑問符を浮かべて聞いてくる。
「《異常個体》って何なんです?」
「ああ…、エリックは農村の出だから知らないのか」
ケルトはそう納得し、エリックに説明をする。
「《異常個体》はそのまんまの意味で、他と違って異常な行動をとる魔物の事を指すんだ。例えば、通常とは異なるものを食す《偏食個体》、好戦的な《狂争獣》、賢い《知能もち》などがいる」
「えと、じゃあ今回の場合はどれなんですか?」
エリックのその質問に俺達は一斉に渋い顔をする。
「それが分からんのだ。同族さえ攻撃する《狂争獣》にしては、《動く死体》だけが数を減らしているのが腑に落ちない」
「これは調査隊が組まれるわね。あーあ、折角のサボれる当たりの交代配属地なのにな~」
ラズリーが両手を首の後ろに回して面倒臭そうに嘆く。
それを聞いたエリックは、どうにか面倒事を避けようと俺達の予測に意見してくる。
「ほ、ほら、あの《腐肉漁る腐塊》が食べちゃったんじゃないですか!?あの化け物って《動く死体》も食べますよねえ!!」
「普通に《骸骨人》も吸収するし、なんなら《浮遊霊》も食おうとして家食ってたぞ」
ケルトが良い笑顔で、無慈悲にもエリックの希望を潰す。
エリックは絶望した表情をしたが、また何か希望を見つけたようで口を開く。
「でも、《不死者》なら陽光で焼け死にますよね。わざわざ探さなくても良いんじゃ……」
「そこが厄介何だけどね…。《不死者》って何でか知らないけど、進化する度に賢くなっていくのよ。だから高位の《不死者》は殆ど《異常個体》といっても過言じゃ無いわ」
「でも、低位の《不死者》なr……
「2、3回進化したならば、赤ん坊の知能くらいはある。殆ど獣と変わらんが、自分を滅するものは避けるだろうな」
「………」
ラズリーの説明の穴を見つけたと言わんばかりに喜色ばんだエリックだったが、俺の補足の言葉で再び撃沈された。
流石に可哀想だと思ったのか、ケルトはエリックに慰めの言葉を掛ける。
「おい、元気出せよエリック。お前、《鑑定》を持ってるから調査隊には確実に入れられるけど、そんな希少なスキル持ちを危険な場所に置く訳ないだろ?みんなに守られながら進むんだから心配無いって。
それに、この迷宮内にはあの新進気鋭のBランク冒険者、『双煌』のルキアだっているんだ。戦力的にも問題無い。(……まあ、依頼を受けてくれるかどうかは別として)」
ケルトの言葉に気を取り直したのか、エリックは立ち上がって言う。
「そうですよね。それに、ラズリーさんが偶然出会わなかっただけって可能性も有りますし!」
それは無いだろうな。
「それじゃっ、念の為、本当に出会わなかっただけなのか確かめる為に、また偵察しに行ってくるね」
ラズリーはそう言いながら内側の方へ走り去っていった
ケルトとエリックも、本来の壁上の巡回へと戻っていく。
話し相手が居なくなった俺は少し欠けた月を見上げる。
しかし、《異常個体》か……。何事もなければ最良なんだがな。
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ソレは、生まれた時から常に自らを襲う飢えに苦しんでいた。
クルシイ…、クルシイ……。ハラガヘッタ。
フラフラとおぼつかない足取りで歩いていると、目の前に偶然、瀕死の食い物があった。
辺り一帯がガラス状になっており、その食い物も酷く焼け焦げているが、最早そんなことを気にしていられる程、ソレに気力は無かった。
貪ル。貪ル。貪ル。
アア、旨カッタ。
………腹ガ減ッタッ。
しかし、ソレは満たされなかった。
腹ガ減ッタ…。……腹ガ減ッタッ。減ッタ…減ッタ、腹ガ、減ッタッッッ。
ソレは周囲を見回すと、他にも食い物があることに気が付いた。
アア、旨ソウダナ…。
食い過ぎたが故に姿形、種族さえ変わっても、ソレを襲う飢餓が無くなることはなく、それどころか飢えは増すばかりだった。
ソレは、ジタバタと四肢を滅茶苦茶に振り回す食い物の頭を掴んで、一息に握り潰した。食い物は頭を潰された途端に脱力し、体をピクピクと痙攣させる。
ソレは何回も見た光景を気にすることはなく、食い物を貪り始める。
食い物を食べ終えるが、ソレの飢えが満たされることは無かった。
アア、アアアア、腹ガ減ッタッ。腹ガ減ッタ腹ガ減ッタ腹ガ減ッタ腹ガ減ッタ腹ガ減ッタ腹ガ減ッタ。
本当二、腹ガ、減ッタ




