EPISODE:055 [遭遇の予感]
やっとテストが終わった。
完徹2回マ?
めっちゃ待たせてごめんなさい。
さて、どこに行こうか。
このダンジョンからは、ナルハヤで立ち去りたい。
しかし、あの女に殺された所為で、私の防具はボロ布の初期装備だけ。露出が激しく、とても人前で着れるような代物ではない。
出来れば金属鎧。無ければ、革鎧でも可。
防具を見つける為に、鍛冶屋や衛兵の詰め所に行きたい。
あと外套も欲しい。
ログアウトする前の検証で分かったのだが、光が布とかで遮られて肌に一切当たらなかったら、ダメージは入らなかった。
いや、実際の所、ダメージは入っていた。
光を遮っていたのにもかかわらず、ダメージが入っていたので、不思議に思って詳しく調べてみると、その原因は光の熱によるものだった。
どうやら、太陽等の強い光由来の物は全て駄目らしい。『熱』さえも。
だから貫通してスリップダメージが入っていたのか。
うーん。クソ設定。
しかし、そんなクソゲーにも救済措置は有った。それが外套だ。
フード型で、少し大きめの物を着れば光は大分遮ることが出来る。更には、追加で数枚着ると熱も遮断出来る。
唯一の欠点は、見た目がゴリゴリの不審者になってしまう事だが、昼間でも行動する事が出来るのはこれ以上無い利点だ。
それぐらいは目を瞑ろう。
となると、行くべきは衛兵の詰め所的な所だな。街の門の所に有るかな。
今の所、知っていると思われる人物に聞いてみよう。
(フェル・お前・衛兵・騎士・の・詰め所・知ら・ない・?)
(覚えて・おり・ません)
か~ら~の~?
(ですが・街・と・外・を・繋ぐ・門・に・小さな・駐在所・みたい・な・物・も・有り・ました)
(そこ・なら・ば・或い・は)
今ので出てくる事って有るんだ。
じゃあ、そこに向けて出発しよう。
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数日後。
家と家の間、いわゆる裏路地の十字路に私達は立っていた。
前は行き止まり。右の方も行き止まりで、左の方は道が大量の墓によって塞がっている。
……何度見た光景か。チッ。
門にある駐在所に行くのは簡単な事では無かった。
墓が所々密集して道を塞いでいるのだ。その所為でこの王都(?)は巨大な迷路と化していた。
表通りは足の踏み場が無い程、生えている墓で埋め尽くされていて、進むことは出来なかった。
墓と墓の間には、なんで居るのかがよく分からん不死者が詰まっていて、誤ってこいつ等を踏むと、足を掴んで引きずり込もうとして来るのでたちが悪い。
そんな訳でちょっと裏路地に逸れてみたのが運の尽き、こうして見事に迷ってしまったのだ。
それもこれも全部、裏路地のクセに一丁前に有る墓の壁が悪い。それが無ければ絶対に迷うことは無かったろう。
……いっそ、高い所から周囲を見渡すことが出来た……、あ、家の屋根の上に乗れば良いか。
私は妙案を思いついたので、それを実行する為に左の道へと行き、墓の壁に手と足を掛けた。
墓が密集して、海に有るテトラポットみたいになっている墓壁は、それ故に昇りやすく、数分で昇り切ることが出来た。
次はフェルの番だ。
私は持って上がって来た縄をハルバードに括り付け、それを先頭に地面へと下ろしていった。
(ハルバード・の・鎌・に・荷物・を・引っ掛け・ろ・引き・上げる)
フェルは荷物を背中から下ろして、縄で簡単に一纏めにした後でハルバードに引っ掛ける。
それを確認すると、私は引き上げ始めた。
………。なんか、意外と重いな、これ。
荷物を引き上げ、脇に置いてから再度下を覗いてみると、フェルは上ろうともしておらず、こちらを見上げていた。
(何・して・ん・の・?・昇って・こい)
(引っ・張り・上げ・て・ください)
あー…。確かにその服じゃ無理か。
……めんどくせえナァ。
^再度縄を下に垂らしたら、フェルが掴まるのを確認してロープを引っ張る。
フェルは種族が《骸骨人》なので、思ったよりも軽かった。
確か、骨の体重に対する割合が10%前後だった筈なので、今のフェルは5kg程度と考えたが、あいつを抱えて逃げた時はそれよりも遥かに重かった。
魔力的な何かが関係しているのか?
屋根に手が掛かる位までフェルを引っ張り上げると、その片手を掴んで一気に引き上げた。
(所々・屋根・が・痛んで・いる・落ち・ん・な・よ)
ハルバードの石突きを支えにして屋根の三角の頂点に立ち、其処から周囲の状況を確認する。
そして、目的の場所を見つけた。
がむしゃらに進んでいたのだが、思ったよりも方向は合っていたようだ。
あそこが外門か。
遠くに高さ10メートルほどの巨大な門が見える。
その周辺には、街に入るための手続きをするような場所や、詰め所的な物も見えた。
しかし、それとは別に変わった物も見える。
門の周辺を囲むようにして、土の壁が築かれていた。それは明らかに人為的な物だった。
何より、壁の上には月光を反射させて輝く、動く物体が何体か居た。
あれが何なのか、予想はつくが、一応近付いて見てみるか。
私はフェルに状況を伝えながら、その場所に向かうべく、向こう側に降りる準備を始めた。




