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Topsy Turvy WORLDs  作者: JAVELIN
序章:[An Fantasy With Encounter]
50/52

EPISODE:050 [フェルの進化]

祝50話。


ちょっと話のテンポを上げましょうか。(n回目)

 カツ。カツ。カツ。


 私以外誰もいない暗い通路に、靴が立てる音が響き渡ります。


 反応する者は当然ながら誰もおらず、静寂に包まれていました。


 しかし、そんな雰囲気とは裏腹に、私の心の内は不安と恐怖、…そして確かな怒りでごちゃ混ぜになっていました。


 ユウ。あの不死者の女。その本性は邪悪で傲慢。自分の思い通りのままにいかないとキレて、相手にはそれを許さない性格破綻者。


 そのくせして、その場その場で考えているとしか思えない短絡的な思考をしていると思えば、思慮深い一面を見せることも……、あったでしょうか?


 …しかし、戦闘となればあれほど頼りになる存在は他にはいません。

 類い希なる戦闘のセンス。相手の情報や動きを見極める洞察力。得た情報から瞬時に最適解を見つけ出す頭脳。まだまだありますが、そのどれもが英雄を彷彿とさせます。



 そんな頼もしい存在が今隣にいない。


 1人でいることによる孤独感に不安が更に高まります。



 それに、私はあの女が怖いです。


 女の迎撃の魔法が私の横を通り抜けた時、私は自分が人に討伐される魔物だということに初めて実感を持ちました。



 その後の事はあまり覚えていません。

 ただ、覚えているのは、ユウが足止めをするために途中で残ったことと、私はあの女が怖くて、来た道を振り返りもせずに戻っていったことです。



 今は、もう冷静になりました。


 冷静になって考えていると、沸々と怒りが湧いてきます。あの時、最後まで何もする事が出来なかった自分が腹立たしい。



 力がいる。


 そう思い、目を閉じて自分の中に集中すると浮かび上がる言葉。



[進化しますか?]



 実は、数日前には進化自体は出来るようになっていました。


 ただ、ユウの奴が罠を踏みまくって獲物をおびき寄せる作業を確立させていた頃のことだったので、言うことが出来ませんでした。


 魔物は進化の最中が一番無防備だと言われています。

 そして、ユウは私が進化をしていても魔物を引き寄せて戦闘をするでしょう。なので安全面を考慮して、邪魔されずに進化出来る場所が見つかるまで、進化をしてこなかったのです。


 視線を先に向けると、細長い通路が見えます。

 肩幅が丁度入る位の幅で、ほんの少しだけ、懐かしい。



 もう、こんなに登ってきていたのですね。


 私は躊躇い無くその通路に入りました。


 もし違っていたら、という考えもありましたが、通路を抜けて更に進み、その先の謎の研究室に辿り着くと、その考えが杞憂だという事が分かりました。


 でも、この研究室はいったい何なのでしょうか?


 普通、魔窟(ダンジョン)内の物は、魔窟が生成した物や元々あった物以外は時間経過で魔窟に吸収されてしまいます。

 現に倒されて死体に戻ったゴルドンさん達の体はもう消えてしまいました。


 ですが、この研究室は残っています。…カレア様の死体も。


 魔窟が生成したのか、そもそも魔窟が発生した頃から有ったのか、それとも、何か特殊な細工が施されているのか…。


 まあ、今考えても仕方がない事ですね。


 今大事なのは、この場所が安全だということ。そして、進化するのにもってこいの場所だということです。


 片隅に置かれていた椅子を引っ張り出して、それに座ります。



 …それでは、進化していきましょうか。















__________________________________________________________________________














……知らない天井。


リスポーンすると、私はまた暗い通路にいた。


(Another)(World)(Traveler)のリスポーン仕様はこんな感じ。


・死亡するとデスペナルティが付き、自らのレベルが10下がる。レベルが9以下の場合は、足りない分スキルのレベルが下がる。

・リスポーンする場所は、プレイヤーが設定したリスポーン地点で、最大で2個まで。設定していない場合は、最初にスポーンした場所の付近にランダムにスポーンする。

・リスポーン地点の環境が一定以上破壊された場合、リスポーン地点としての機能を失う。

・身に付けていた装備品や持ち物は、基本的には無くならずにそのままの状態で一緒にリスポーンする。

・しかし、その希少度(レアリティ)に応じて、装備品や持ち物は一定確率で死んだ場所にドロップする。希少度が高い物ほどその確率は低くなる。



これによって、私の今のレベルは5になり、今いる場所はポラナト大迷墓の最初に湧いた階層の何処かだ。



ああ、私の数日分の苦労が水の泡に…。


まあ、フェルとの合流地点が近いだけまだましとするか。


もう到着しているか分からないが、早めに行くとするか。



ん?君は…、動く死体(ゾンビ)君じゃないか!?

私の為に現れてくれたんだね!!


早速経験値になれやァッ。





不死者(アンデッド)共を、駆逐してやる!しながら徘徊していると、やっとあの研究室に続くほっそい通路を見つけた。


見つけ出すのに思ったよりも時間を掛けてしまい、レベルが1上がって6になったほどだ。


そこを通り抜けて広間に出ると、私は自分の存在を知らしめる為に槍の石突きを床に数回叩きつけた。



…何か奥で動いたな。


どうやら奥の研究室に誰か居るようだ。そしてそれはこの広間と研究室の間の通路に出てきた。


《暗視》で闇を見通すと、メイド服を着た骸骨人(スケルトン)が見える。


フェルか。思ったよりも早かったな。


(おう・元気・だった・…・か・?)


フェルの姿にどことなく違和感を感じる。何故か見えずらい?


(心配・しました・生きて・いた・の・です・ね・良かっ・…)



近づいて来たフェルの首根っこを掴み、壁の篝火の近くまで引き摺って行くとその原因が分かった。



フェルの骨が黒くなっている。所々ぼかしたようになっていて、あまり綺麗な黒ではなかった。


お前いつの間に火葬()()れたんだ?

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