EPSODE:020 [だ、誰だコイツッ。最初のプロットにこんな奴居なかったぞ!?]
ハイッ復唱。
だ、誰だコイツッ。最初のプロットにこんな奴居なかったぞ!?
こんな事って本当にあるんですね。手が勝手に動きました。
・・・今後の展開どうしよう……
一応砂はある程度集まったのだが、まだ少し心許ない。
まあ、書くスペースが無くなれば一旦砂を均せばいいか。
私は砂を集めるのを止め、砂を均等に均した。
そして、指で文字を書いていく。
・・・やはり、知らない文字がすらすらと書ける。
原因を探す為にも、一回自分のステータスを隅から隅までキチンと見てみるか。
私はこっちの世界の言葉で、『こんにちは。お前が手帳を書いていたメイドか?』と書き、メイド服スケルトンに見せた。
骨メイドは最初はなかなか近づこうとしなかったので、文字通り首根っこを掴んで砂に書いた文字を見せた。
最初は困惑していた骨メイドだったが、それが文字だと分かると驚いた表情を見せた。
しかし、骨だけでも表情はある程度分かるものなんだな。
私はまだ驚いている骨メイドを見てそう思った。
私が催促するように砂を指さすと、骨メイドは文字を書いていった。
『はい。そうです』
やはりか。まあそうじゃなかったらおかしいよな。
『しかし、何故それを知っているのですか?』
私はその質問に、さっき取った手帳を見せて返答する。
『悪いけど中身は見せてもらった。お前達がこうなった経緯もな』
骨メイドは咄嗟に手帳を取ろうとしてくるが、特にこれには価値を感じないので、抵抗せずに渡す。
すると、骨メイドはその手帳を両手で大切そうに抱え、こちらを咎めるように睨んでくる。
私はそんな視線に微塵も反応せず、更に砂に書いていく。
『私の名前はユウ。お前の名前は?』
流石に骨メイドじゃ長いし言いにくい。早く名前教えろ。
『私の名前は……名前、は………分かりません…』
はぁ?
『何?お前ふざけてんの?それとも言いたくないの?』
私のこの文字と手に持ったナイフを見た途端、骨メイドは慌て始め、急いで文字を書いていく。
『ごめんなさい。思い出せないんです。何故か記憶が所々虫食いみたいに抜けていて……』
チッ、使えねーな。
まあ良い。この世界の情報が貰えればそれだけでいい。
『じゃあお前、仮称フェルな。お前何か情報持ってるか?例えば魔法の使い方とか』
骨メイド改めフェルは何か言いたそうな顔をしたが、結局何も言わずに砂に書いていく。
『知っていますが、何故そのようなことを聞くのですか?常識ですよ?』
『私は気がついたらここに居てな。自分のことは何一つ覚えていない』
この設定で進めていこう。無駄に情報を渡すことはないし。
『そうなんですね…不躾にすみませんでした。魔法はスキルの《魔力感知》が無いと使えません。このスキルは魔力が感知出来ると自然と習得出来ますよ』
なんか……敬語を使われるのは新鮮だな。あんな敬語とか使わないどころか平気で罵倒してくる奴等とは違うな。
しかし、《魔力感知》か。確か《魔闘法》を使った時に獲得したような……
じゃあ私はもう魔法を使えるのか!?
急いで《闇魔法》のスキルを《鑑定》する。
『闇魔法:闇を操る魔法。LVが上がるに連れて使用可能な魔法が増える。
LV1:闇球』
キタコレッ!!遂に私にも遠距離攻撃手段が!?
「《闇球》」
早速使おうとしてみると、魔力が込められていく。
手には勝手に魔法陣が作られていって、何か、おそらくは魔力が自分の中からそれに流し込んでいる感覚がある。
ほうほう、こうして威力を調節するのか。威力は魔法攻撃力と込めた魔力で決まるらしい。
これぐらいで良いか。
私は闇球を撃とうとする。
が、慌てたようにフェルが前に出てきて、両腕を振って制止してくる。
忘れていた。ここは部屋のような場所で、密室だ。ここに魔法を撃ち込めばどうなるかは馬鹿でも分かる。
これは多分、あのクソローブが後半に使ってきたものだろう。つまり当たれば少し爆発する。流石にダイナマイトみたいな規模ではなかったが、ここで撃てば部屋の中は大惨事になる。
生憎この部屋をあまり壊したくはない。何故ならば、この部屋には実験器具や本等、様々な物が置かれており、これは今後の役に立つと思ったからだ。
フェルも焦っている私を見て、止める事は出来ないと察すると直ぐに周囲を見渡し、ある一点をを指差した。
そこは私が通ってきた通路で、確かにそこに撃てば私達に被害は無いだろう。
私は慎重に角度を調整し、途中の通路の壁に当たらないようにする。
よし。Fire!!
私は闇球を撃った。闇球は一直線に通路を抜けていき、見えなくなって2、3秒すると少しの衝撃と共に小さい爆発音が響いてきた。
・・・解決したな。
私はジト目で見てくるフェルを無視し、ハハハッと笑う。
フェルの目線は完全にヤバい奴を見る目で、1歩どころか何歩も後ずさりやがった。
私、悪く、ない。
初めての対話が砂で文字を書くという。シュールだね^^
因みに特に意味はありませんが、肥料の英名ってFertilizerらしいですよ。特に意味はありませんが。
10/22:魔法の使用時の表現を変更しました。




