マッハ、別キャラに出くわす
うぷ……。
食いすぎた。
結局、あれからチャーハン5杯食べてしまった。
FBWでは、食べ物アイテムを使用すると、戦闘数回分か、一定時間ステータスが上がる。
あと25回分の戦闘で、攻撃力が50増える。
やったね。
こういったドーピングアイテムは重複するから、よく色んなアイテムを重ねて使っていたものだが、これ、体感型だときついな。
幸い、時間経過で効果が切れるわけでもないし、もう宿に行って寝よう。
うぷっ……。
受注広場に出て、宿に向けて歩いていると、PT募集の声が聞こえてきた。
「砂漠の大迷宮に挑まんとする勇士よ、集え。
現在、剣、聖、楽。応募なくとも出発する」
砂漠PTか。
腹ごなしにちょうどいい……とは言えないだろうが、PTバランスは良さそうだし、参加するかな。
「よっ! オレ、マッハ! 入れてくんねぇか?」
「む。闘士殿か。承知」
なんだこの武士みたいな奴は。女剣士か。
ん……。
なんか既視感が。
じろ~~~~~~。
女剣士をよ~く観察してみる。
吊り上がった目。
腰まである艶やかな黒髪。
日に焼けた褐色の肌。
「な、なんだ? 落ち着かんな。
マッハとやら、何か用か?」
「ん? あ、いや、え~っとさ。
ごめん、名前聞いていい?」
「名は疾うに捨てた。今の私は只の剣士だ」
「ん~、なになに? マッハくんってば、東方さんに一目惚れかなぁ?
あ、ちなみにあたしはアン。アンちゃんって呼んでね♪」
ポロリン♪
と、ハープをかき鳴らしながらツッコミを入れる楽師のアンちゃん。
「自分、プリウスです。忘れていいです。うす」
聖職者らしきプリウスも、独特の挨拶をしてくる。
モンクも聖職者っちゃあ聖職者だわなあ。
文句なしに。モンクだけに。
たたかう聖職者(物理)か。
「お……おう! オレ、闘士のマッハ!
速さじゃ負ける気しねえぜ!」
慣れ親しんだロールプレイで、無難に自己紹介を済ませる。
それぞれ個性的なんだけど……って、俺はそんなことを問題にしてるんじゃない。
東方さんというあだ名。そして、名は捨てた、と。
さらにあの漢字の多い喋り方。
まさか、いやまさかそんな。
俺は背中に冷たい汗が流れるのを感じながら、女剣士をさらに見つめる。
異様に喉が渇き、思わず生つばを飲み込んだ。
確かめなければ。
俺は意を決して、女剣士の詳細を見た。
東方剣士
上級剣士 LV89
HP 3140/3140
SP 1186/1186
腕力 760
体力 98
敏捷 98
知力 98
精神 98
スキル 星光 月光 陽光 月照
うわああ……。
まじか。
間違いない。
彼女は俺が創ったFBWのキャラクターのうちの1人。
東方剣士だ。