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中の人、異世界プレイを楽しむことにする

明けましておめでとうございます。


本年も、なりきりえくすちぇんじを宜しくお願いいたします。

 目が覚めた。


 簡素なベッドのみが置かれている。

 生活感のない、木製の部屋。

「冒険者の仮宿」だ。


 眠りにつく前と同様、東方剣士として、俺は目覚めた。


「結局、ここは夢じゃなかったってことか……」


 夢ではなく、異世界、らしい。しかも俺が創り出した。

 夢どころか、現実。

 否、俺の夢が現実となった世界。


 敵の死体がゲームのように消えたり、背景の作り込みが甘い部分があったりしているのに誰も気にしていなかったのは、そもそもがそういう風にできあがった世界だからなんだな。

 これまでは夢だから、で全て片付けていたが、そうすると、単純に俺の想像力不足か。


 ……ま、あの自称『俺よりも高次な存在のボク』による、夢のお告げを全面的に信じるならば、だが。


 色々と、不可思議な世界に迷い込んでしまったことだけは確かだが、こういう場合に、いくつかのパターンが考えられる。






 パターンその①


 夢オチ。

 なんだかんだでやっぱり全部俺の夢の場合。

 何をどうあがいても、仕方がない。

 夢から覚めるのに特定の手順を踏む必要があったりもするが、今のところ手がかりはない。






 パターンその②


『高次な存在のボク』の話がすべて真実。

 もうしばらくは、この世界で楽しめるらしい。

 きっとまた夢で会えるだろう。今は楽しめ。






 パターンその③


『高次な存在のボク』が悪。むしろラスボス。

 言われた通り行動していると、取り返しのつかないことになりかねない。






 大まかに言って、この3パターンか。


 とりあえず、だ。



 俺は、この世界を楽しみたい。

 ただ、『高次な存在のボク』の話を鵜呑みにして、なんにも考えずにいるのは危険だ。


 高次な存在、というのは手強い。



 例えば、2次元 対 3次元



 シムシリーズで考えよう。


 市長の一存で原発を建てたり取り壊したり、道路をすべてつぶして鉄道に代えて渋滞問題を解決したり、自分の好きなように街作りがしたりできるゲームだ。

 城を建てたり、コンビニチェーンを展開したりといった多くの箱庭系派生ゲームを生んだ、シムシリーズ。


 その中に、アリの巣を運営して、人間の住む家を乗っ取るゲームがある。

 最近では勇者になる代わりにドラゴンや魔王になってダンジョンを運営するゲームなんかも出ているが、スーパーファミコンの時代に、アリに注目した画期的なゲームだ。

 プレイヤーは黒アリの巣を運営する。

 同一マップにはライバルとなる赤アリがいるから、負けないように発展していかなければならない。

 赤アリは強い。

 ま、ヒアリも強いしな。


 で、このゲーム、シナリオモードだと色々なところで巣作りをするのだが、まず家の庭だと、家人が度々芝刈り機を使ってくる。

 芝刈り機の音が聞こえてきたら、絶対に巣の中に入らなければならない。

 地面の上にいれば、ひとたまりもなく巻き込まれてしまう。

 そんなデンジャラスゾーン、庭を突破して、家の中に侵入できても、危険だらけだ。

 ペットの猫や人間に、成す術もなく踏みつぶされてしまう。


 その他、道路では車や自転車に轢かれるし、お祭り会場ではメンコに潰されたりと、まさに踏んだり蹴ったりだ。



 この時、アリである身では、人間そのものを認識できない。

 認識できるのは、足跡や、音だけ。

 突然足跡ができて、味方が潰れる。


 2次元では3次元の存在を正確に認識できないのだ。



 次に、3次元 対 4次元。



 3次元は、たて、よこ、たかさ、の空間だ。

 4次元は、それに加えて、時間の概念が入るといわれている。たしか。


 過去に戻って自分の母ちゃんといい雰囲気になりかけるも、何とか父ちゃん(覗き魔)と母ちゃんをくっつけようと悪戦苦闘する有名な映画があるが、2次元の存在にとって、空間を自由に移動できる3次元の存在に太刀打ちできないように、過去・現在・未来を好きに移動できるような存在には対抗できない。


 アリが人間そのものを認識できなかったように、現在のみに生きる身では、過去や未来を変えられても、認識できないだろう。


 ただ、救いもある。


『高次な存在』=神

 と定義しがちだが、アリは無数にいるし、人間も無数にいる。


 平面に生きるアリにとって、人間は『高次な存在』かも知れないが、唯一神ではないし、思惑ひとつでアリを絶滅させたりもできない。


 同じように考えれば、3次元に生きる俺にとって、『高次なボク』みたいな存在も無数にいると思ったら、そこまで恐れる必要はなさそうだ。


 そう。

 なんなら、2次元の存在でも、4次元にすら対抗できる者がいるくらいなのだ。


 そう。

 あの、半熟者な英雄ならば!



 よんよんよよん♪

 よんよよん♪

 よんよんよよん♪

 よんよよん♪


 ほんだらへんだらどがびがふんだ♪

 ほんだらへんだらどがびがふん♪



 ……。


 それで、これからどうするか、だが。


 情報を集めよう。


 基本的にはこの世界を楽しみながら、『高次なボク』について、誰か知っていることがないか情報を集める。


 そのためには、いろいろとやってみないとな。

 その過程で何か知れたらいいし、また夢で会えるようなこともあるかも知れないし。


 それでまた、判断すればいいか。



 決まった。



 まずは、自分の意志で元の世界に戻れるかどうかや、東方剣士とマッハの物資を確認したり、俺が作り出した他のキャラはいるのかどうか、この辺から始めていくか。


 どのパターンでも、やることは同じだな。

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