表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんでもやります!? よろず同好会  作者: 岩戸 勇太
けんだま同好会のゆくえ
3/67

同好会の統合

 固まる怪獣フィギュアの女の子に、メモ帳の女の子は、思いっきり抱きついていった。

「こら! バカ! アホ! 離れなさい!」

「ああぁ~ん、もっと罵倒してください~」

 いきなり俺の部室に入ってきた二人は、唐突にケンカを始める。

 古い紙を持ってきた小柄な女の子は、俺の隣に座ってそれを観戦し始めた。

「両倒れ……両倒れ……私の呪いで二人とも倒れるがいいわ……」

 なんか、この子怖いんだけど……

 抱えている古い紙をこっそりと横から見てみると……『呪』『裁』『罪』などといった、暗い文字ばかりがびっしりと書いてあった。

「その紙は一体何ですか……」

 俺はその子の事を横目で見て、目線を送りながら言った。彼女の事を直視するのは正直怖い……

「呪いの書……これを使えば、恨んだ奴を殺す事ができる」

 ニヤリと笑ったその子の笑顔に、俺は恐怖を覚えた。

「あの二人が死ねば、敵が減る」

 敵……? 

 俺はイマイチこの状況を飲み込めていない。この子にとって、この二人は何かの敵であるのだろうか?

 そこで、さらに部屋のドアが開けられる。

「みんな揃っていたか」

 無遠慮にドアを開けて入ってきたのは、俺の頼みの綱であった東屋である。

 辺りを見回した東屋は、言い出した。

「UMA同好会、『日和田 砂彩』(ひよた さあや)、心霊同好会、『水川 魅成』(みずかわ みな)UFO同好会『円 見空』(まどか みそら)そして、けんだま同好会の『南 慶次』(みなみ よしつぐ)。今日より、四つの同好会を統合して、『よろず同好会』とすることにした」

 東屋は、それから詳しい説明を始める。

 この四つの同好会は、設立当初より、活動らしい活動をしていない。そのため、同好会達を一つにまとめて、再スタートをしてもらう。

 今は七月。三ヵ月後には文化祭がある。この文化祭で活動の成果を見せて欲しい。成果が認められない場合は、こんどこそ、この同好会を廃部にする。

 それが校長と教頭の結論であった。

「聞けば聞くほど……かなりガケっぷちな条件を提示されてるな……」

 俺が呻くようにして言う。そうすると、東屋は言う。

「これでも、かなりゴネたんだ」

 まあそうだろう……この同好会の惨状を見れば、これでもかなりの温情措置といえる。

「最後に伝える。『よろず同好会』という名前は、俺が考えた仮の名前だ。名前を変えたいというのなら一週間以内に申し出てくれ」

 東屋がそこまで言うと、怪獣フィギュアを持ってきた女の子。日和田ひよた 砂彩さあやが声を上げた。

「この部の名前は、『新UMA同好会』にして!」

 それに負けじと、メモ帳の女の子円まどか 見空みそらが言い出す。

「いいえ! ここは『UFO同好会&愉快な仲間達』で!」

 さらに俺の隣の呪いの書の女の子水川みずかわ 魅成みなも言う。

「心霊同好会とその贄達」

 三人が、東屋に詰め寄っていき、東屋はモミクチャにされていく。

 あの、普段からクールな東屋も、辟易しているようだ。

「とにかく、みんなで話し合った後、文書にして出してくれ」

 それだけ言い捨てると、東屋は逃げるようにして部室から出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ