けんだま同好会のゆくえ
「東屋の奴は上手くやってるかな……上手くやらない姿なんて、想像できないけど……」
小学一年生の頃、趣味でけんだまを始めてみて、見事にその楽しさに惹かれた。
そして、『中学に上がったら部活を作るぞ』と、夢を持ち続けていたのだ。
だが、この趣味を持っている人間など、周りにはいないという事に気付いたのが中学一年になってからである。部活を作るのに、5人の部員を集める必要があると聞き、友人達を中心に、仲間を探し回った。
だが、一人もけんだまをやっている者などおらず、同好会を作るために、友人に無理矢理入部届けにサインをさせて、今のけんだま同好会がある。
元々は掃除道具を仕舞う倉庫であったが、部室として一つの部屋を与えられる。
だが、活動といっても何をやればいいのか分からず、部屋で一人でけんだまを使って遊んでいるだけであった。
そんな状態であるから、設立から三ヶ月で部活の解散を命じられ、生徒会長をしている幼馴染の東屋に、泣きついたという事だ。
日当たりの悪い、暗い部室といえど、ここは自分の城である。簡単に手放す気など当然ない。
この、けんだま同好会の部長である南 慶次は、東屋が上手くこの城を守ってくれる事を願いながら、不安な時間を過ごしているのだ。
そこに、トントン……と、ドアが叩かれる音が聞こえる。
「……うっ……」
声にならない悲鳴を上げた慶次。
このタイミングで人が入ってくるという事は、東屋であろう。校長と教頭の判決の結果を伝えに来たのだ。
だが、返事も聞かないうちに、ドアを開けたのは、一人の女の子だった。
「ここが、これからの私の部室?」
手に、怪獣のフィギュアを持ったその女の子は、ズカズカとけんだま同好会の部室に入り込み、壁に面して置いてあるテーブルにフィギュアを置いた。
「まあ、こんなところかな?」
その女の子は、慶次の事など気に止めずに、持ってきたフィギュアを飾り始める。
「ちょっと待て! 一体何の用だよ!」
「聞いてないの? ここは、私のUMA同好会の部室になったの」
「聞いてねぇよ!」
東屋は上手くやったんじゃないのか……? この女の部室になるって事は、ついにけんだま同好会は廃部か……?
慶次がそこまで考えたところ、またドアが開けられる。
「ここが私の新しい部室」
そう言いながら、古びた紙をいくつも抱えた女の子が入ってきた。
「私の部室に何の用よ!」
怪獣フィギュアを持ってきた女の子は、その子に食ってかかった。
「今日からここは私の部室」
相手の剣幕にも押されず、その子は言った。小柄な体型であるのもかかわらず肝がすわっているようである。
怪獣フィギュアの娘が、小柄な娘に、じっ……と睨みをきかせているところ、元気よくドアが開けられた。
「はいはーい! はじめましてーあなたたちが他の同好会の人ですかぁ?」
エンピツにメモ帳を持った女の子が入ってきたのだ。
「私の部室に何をしにきたのよ!」
怪獣フィギュアの女の子が、その子に挨拶代わりとばかりに罵声を浴びせる。
「キャー! 女王様タイプ! こんな女子がこの学校に存在をしていたとは!」
その言葉を聞いて、怪獣フィギュアの女の子の背中に悪寒が走った。




