生徒会の参加
「第一回よろず同好会料理大会。まずは、各選手の用意をしてきた材料から見ていきましょう」
けっこうしっかりとした解説をする東屋。
それに、カメラマンをする架名が、三人の用意した材料を、一つ一つ写していった。
「砂彩選手。にんじん、じゃがいも……これらの材料を見るとカレーですか?」
どこで培ってきたんだ? そのスキル……? 滑舌はっきり、アナウンスを続けて場をつなぎ続ける語呂力。本物のアナウンサーのようである。
東屋のすぐ前には、砂彩の買ってきた材料が、アップで映される。
この映像を撮っているのが架名だ。
砂彩は昨日の作戦通りに、カレーを作るつもりらしい。
見空はオムライス。魅成は親子丼とトン汁といったところだ。やはり、料理に慣れている魅成らしく、千円で材料ギリギリまで用意をしてきたらしい。
東屋が言うには、調理開始は五分後。それに、従う必要があるのか?
まあ、三人はそれに従って、時間まで待つつもりらしいので何も言わないが……
その時間を使って、架名が三人の事を順番に撮影していくようだ。
魅成の事を映し始める。
「魅成ちゃん、こんにちは。自信のほどはどう?」
魅成は、胸の前で小さな手を握り、握りこぶしを作った。
「おや? 魅成。今日は気合たっぷりですね」
「架名。応援して」
「もちろん。私は魅成の事を応援します」
コクリと小さく頷く魅成。魅成と架名は、意外にも、友人同士らしい。
奏多先輩と見空や、魅成と架名。俺と東屋。意外にも、このよろず同好会は生徒会とつながりが強いようである。
俺は、料理勝負をするとは言っていない。もしかしたら、東屋が、料理勝負の事を嗅ぎつけたのも、誰かから漏れたからかもしれないな。
「架名に、私が教えた」
映像の中の魅成はそう言った。俺は、遠くに見える、カメラを見つめる魅成と、テレビ画面に見える魅成の姿を交互に見やる。
なぜ読まれたんだ……? 映像越しにも、俺の考えは魅成に読まれるのか……もしかしたら、お互いが地球の裏側にいたとしても、俺は下手なことを考える事ができないかもしれない。
とにかく、魅成が、架名に教えたのがこのバカ騒ぎの原因らしい。
なんというか……意外な友人関係だな……
「そろそろ、試合が始まります。各選手準備をしてください」
そしたら、奏多先輩は、舞台の裏側に向かっていった。
そして、嫌がる美色の事を引っ張って、ステージの裏から出てきたのだ。
美空の衣装は、キャンペーンガールのような水着姿で、それを恥ずかしがっているようにして体を隠しながら出てきた。
実況席でマイカメラの用意を始める東屋に、カメラを美色に向ける架名。
美色が、奏多先輩に支えられながら、ステージの上に立つと、手に持ったプラカードを掲げた。あと、体を震えさせながら言う。
「みんな、全力でがんばってね……優勝者には、私からのご褒美のチューをあげちゃうぞ……」
言わされている……かなり言わされている……
美空はそれだけ言うと、その場でプラカードで体を隠してうずくまってしまった。
架名の姿を見ると、鼻からボタボタと血を流している。どす黒い血の塊が制服にかかっているが、大丈夫なのだろうか?
「なんですか? ジロジロ見ないでください」
俺の方を見ながら言う架名。
こいつは、自分のエロ根性を隠す時だけ、やたらと無表情になるようだ。




