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159・胡桃沢会長再び


「くぅうう。やっと、入学の挨拶が終わったぜぇぇぇえっ!!」


サクヤは疲れた身体をほぐす様にグッと両腕を天に突き出す。


「......さてっと。あの優イケメンの暴走と校長の長~~~い挨拶のせいで、滅入った心と身体の疲れもそこそこ取れたし、そろそろ教室に戻るとしますか!......あ、でも教室に戻る時間までには、まだちょっとばかり余裕があるな?」


サクヤは時計を見る。


「よし。なら少し遠回りに通路を歩いて教室に戻ろうかな」


サクヤはそう決断すると、自分の教室へ続く通路の逆に身体を向けて歩く。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あれは......中庭か?」


結果広いな。


「......ん?中庭の少し奥に見えるあの建物は何だろ?」


かなり立派な作りの建物だけど?


「一体何の建物だろう、あれ?」


少し離れた場所に見える建物が気になったサクヤは、それを確かめるべく建物へと近付いて行く。


建物に向かう通路をしばらく移動していると、


「......おや?こんな所に生徒が?キミ、どうしてこんな所にいるんだい?」


近くにあった校舎の出入り口から、ロングヘアを靡かせる女子生徒が現れ、サクヤに声を掛ける。


「うへ!?あ、あなたは胡桃沢会長っ!?」


「......その袖のライン色、新入生みたいだが?新入生は教室に移動せよとアナウンスしたと思うんだが?」


胡桃沢会長は訝しむ表情で、サクヤを見る。


「え、えっと......ですね。きょ、教室に戻るまでには、まだ時間の余裕があったので、その時間を使って色々見学しようかなと思い、移動していたところ......です」


胡桃沢会長の訝しむ表情に、サクヤは緊張の入り混ざった口調で、何故自分がここにいるのかその理由を説明していく。


「ほほう、見学を...ねぇ?どれどれ......キミが向かおうとしている先にあるのは......なぁぁぁぁあっ!?も、もも、もしかしてキミッ!?部活に興味があるのかいっ!?」


胡桃沢会長の訝しむ表情が一変し、瞳がキラキラと輝く。


「はあ!?ぶ、部活っ!?あれって部活の建物だったのか!」


「で、どうなんだい?部活への入部を希望しているのかい?」


「い、いえいえいえっ!ただの興味心だけで、べ、別に部活とかには入部も興味も全くありませんっ!?」


大慌ての口調で、サクヤは胡桃沢の問いを否定する。


「そ、そっか。それは残念至極だ。『ダンジョン探索部』に興味があってあの建物に行こうとしていると思ったよ......」


「―――はぁぁあっ!?」


サクヤの否定の言葉に、胡桃沢会長は落ち込む様にガッカリと項垂れる。


そんなガッカリする胡桃沢会長を他所に、


「ダ、ダンジョン探索部ぅぅぅうっ!?な、なな、何故この学校にそんな部活があるんですかぁぁぁああっ!?」


普通の学校にダンジョン関連の部活があると聞かされたサクヤは、目を大きく見開いて喫驚してしまう。


「ん?何をそんなに驚いているんだい、キミは?大小の差はあるけれども、ダンジョン関連の部活なんてどこの学校にも普通に存在するぞ?」


ダンジョン関連の部活がある事で驚いているサクヤに、胡桃沢会長が困惑と驚きの混ざった表情を浮かべる。


「......マ、マジでか!?成美の奴から授業で冒険系の授業はあるよとは聞いてはいたけれど、まさかダンジョンに関連した部活まであるとは......っ!」


戦いに関連するものから離れた普通の生活をしたかった俺は、ショックでその場にガクッと崩れ落ちる。


「な、何だ、その絶望した顔は!?そ、そこまで嫌だったのかい!?学校にダンジョン関連の部活がある事がっ!?」


ビックリするくらいに落ち込むサクヤを見て、胡桃沢会長が何でだという表情で戸惑う。


「そりゃ嫌ですよっ!だってこの学校では戦いの生活からなるべく身を離して、穏便で平穏な高校生活を謳歌しようとしていたんですからっ!」


「......なるほどな。そういった事情があるのならば致し方がない――――んん?い、今キミ『戦いの生活からなるべく身を離して』とか言わなかったかい?ひ、ひょっとしてキミ?せ、戦闘の経験者なのかっ!?」


「―――はうっ!?し、し、しまったぁぁぁああっ!?」


サクヤは『ヤベ!つい口が滑った!?』と、慌てて口を両手で塞ぐ。


そしてこの場にいたら危険だと直感したサクヤは、


「ち、ちち、違いますよっ!く、胡桃沢会長の聞き間違いですっ!そ、そう!聞き間違いっ!おっと、いっけな~~い!そろそろ教室に戻る時間だぁ~~っ!で、では胡桃沢会長っ!お、俺はこの辺で失礼させていただきま―――」


「―――ふふふ。逃がしはせんぞ、新入生っ!」


「なっ!?は、速いっ!?」


胡桃沢会長に苦しい言い訳をした後、急ぎこの場を去ろうとしたその瞬間、胡桃沢会長がいつの間にかサクヤの背後に立っており、そしてニヤリと口角を上げた表情でサクヤの両肩をガッシリと掴んだ。


「さあっ!答えたまえ、新入生っ!キミは戦闘の経験者、もしくはダンジョン関連の経験者なのかい!?そうなんだろっ!!」


「だ、だから違いますってばっ!さ、さっきのは言葉の綾で、戦いの介入しない学校生活をしたかったのにっていう意味で言ったんですよっ!」


再度苦しい言い訳をしつつ、何とかこの場から逃げ出そうとするが、


「ふふふ。おいおいどこへ行こうとしているのだ、新入生?まだ話は終わってはいないぞ♪」


しかし胡桃沢会長が絶対に逃がさないぞとばかりに、サクヤの身体に両手を回して抱き付き、そして力強くギュッと抱き締める。


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