156・生徒会の交渉ごと
「ほう、生徒会...ですか?もしかして僕の事を生徒会に勧誘しに来たんですか?」
「正直それもしたい所ではあるのだが、しかし今回の用は別件だ。おい平坂、例の物を!」
「はい、会長!」
胡桃沢会長が生徒会仲間の一人に声を描けると、左側にいた平坂と呼ばれた男子生徒が一枚の紙を手渡す。
「私の用事はこれだ!」
そして平坂から受け取ったその紙を響堂に手渡す。
「ふむふむ、なるほど。他校との交流戦...ですか?そして僕をこの学校の代表選手に選びたいと?」
「ああ、そういう事だ。それでどうだろうか?」
「僕としては美しい女性の頼み。ならば即オッケーをしたいところなのですが、しかし残念ながら僕はR二十ランキングに備えて色々と忙しい身なのですよ。なので申し訳ございませんが、その依頼はお断りさせていただきます」
「キミが忙しいのは分かった。だがあえて無理を承知でもう一度頼む。そこをなんとかならないだろうか?」
「すいません、胡桃沢さん」
「どうしても駄目か?」
「本当に申し訳ありません。先程申し上げたR二十ランキングに加えて、数ヶ月後までは僕達のパーティランクをワンランク上げたいんですよ。ですからそれらの特訓や訓練に取られる時間で手一杯なんです......なので、大変心苦しいのですがお断りをさせてもらいます!」
胡桃沢会長は手を合わせ、上目遣いのポーズで響堂に数回嘆願をするが、しかしそれでも響堂は丁重にお断りの言葉を口にする。
「ったくよぉ~。いい加減諦めろってば、ロングヘア女!生徒会長だか何だが知らねぇけどよ、マジしつこいってぇの!雄馬が駄目だっつってんだから、素直に引っ込めつぅのっ!」
「雄馬さんは各ギルドから冒険者として期待されているんですよ。そんな雄馬さんが、こんな低レベルの学芸会みたいなものに構っている暇はないのです!」
「俗物が!ユーマの栄光へのロードを邪魔をするんじゃないわよっ!」
響堂の冒険パーティメンバーのあかりが頭がガシガシ掻きながら、穂花は黒いオーラの見え隠れするニッコリ笑顔で、そして里弥が人差し指を前にビシッと突き出し、胡桃沢会長に向かって不満と文句を次々と発していく。
そんな響堂のパーティメンバー三人に対し、
「き、貴様らぁぁあ!会長に対して何て口の聞き方をするのだっ!」
胡桃沢会長の右側にいた女子生徒が、怒りの形相で先程の発言をふざけるなと言わんばかりに叫声を上げる。
「いくらC級冒険者のパーティメンバーといえど、会長に対してのその暴言と態度は看過出来んぞ!貴様らは我が学校の生徒なのだ!ならば四の五言わず、黙って会長の言う事を――――」
「――――道下っ!!」
道下と呼ばれた女子生徒が更に怒りのボルテージを加速させた口調で、響堂の冒険パーティメンバーの胡桃沢会長に対する態度や言動を糾弾しようとするが、しかし胡桃沢会長が道下の腕をガシッと掴み、それ以上は言うなという表情で道下を止める。
そして圧のある鋭い目線で睨み、
「お前のその言い種こそ看過出来んぞ、道下!我々生徒会は過剰で強引で暴挙な行為は絶対にしない!ましてや、上から目線での頼みごとなんぞしてみろ!生徒会は暴君として生徒達の心に刻まれてしまうだろうがっ!」
窘める様にそう言い放つ。
「くっ!し、しかし会長!」
「クドイ!お前のそれは生徒会の...私の本意ではないと言っているのだっ!」
圧ある注意をされても食い下がらない道下に、更に圧の乗った鋭い目線で胡桃沢会長が道下を叱咤する。
「で、出過ぎた真似を!た、大変申し訳ございませんでした、会長っ!」
やっと自分の間違いに気付いた道下が謝罪の言葉を口にし、そして胡桃沢会長の後ろに慌てて下がって行く。
「響堂もキミ達もすまなかったな!こいつには後で改めて注意しておくので、どうか許してやってほしい!」
胡桃沢会長が響堂に頭を深く下げる。
「頭を上げて下さい、胡桃沢さん。僕は別に気にしていませんから。でもまぁ...もしこれがそちらの男性だったなら、話は別だったかもしれませんでしたけどねぇ、くくく♪」
響堂がそう言った後、ニコリと微笑んで胡桃沢会長の左側にいる男子生徒...平坂に目線を向ける。
「それでは皆さん。僕達はそろそろ体育館の中に移動したいので、この辺で失礼させていただきますね。さぁ行くぞ、みんな!」
響堂が胡桃沢会長と周囲の女子生徒達に一礼すると、体育館の中に向かって歩いて行く。
「あ、待ってよ雄馬~!」
「では皆さん、ご機嫌よう♪」
「ふん。命拾いしたわね、ポニーテール女とロング髪女っ!」
響堂の冒険パーティメンバーも、周囲の生徒達や生徒会長達にそう言葉を告げると、先に行く響堂の後を付いて行く。




