155・生徒会長
「なぁ、そこのキミ。ちょっと聞いていいか?」
サクヤが近くにいた男子生徒の肩をポンポンと叩く。
「ん?」
「何であいつ、エクトス学園に行かないんだ?そんなにも輝かしい経歴の持ち主ならさ、エクトス学園から是非とも通ってくれってオファーがあるんじゃねぇの?」
そして少し気になった事を男子生徒にサクヤが訊ねる。
「ああそれか。それはだな、ほらあいつの周りに見えるだろ、三人の女子生徒がさ?」
男子生徒が響堂の左右にいる三人の女子生徒を指差す。
「......三人の女子生徒?」
ふむふむ。よく見れば、優イケメンにピッタリくっついている三人の女子生徒がいるな?
左に金髪コギャル風の女性、その横に金持ちお嬢様って感じの女性。
そして右に紫髪のツインテールの女性。
全員美人&可愛い。
「あの三人って、響堂の冒険パーティメンバーなんだよ」
「なぁあっ!?あ、あの美人&可愛い勢の全員がかっ!?」
さ、流石は輝かしい経歴を持つ優イケメンだな......ハーレムパーティを常にはべらせてご自慢ってか。
――チッ!
俺は心の中で大きな舌打ちを打つ。
「あの三人があいつの冒険パーティメンバーってのは良く分かった。で、それとあいつがエクトス学園に通っていない理由とどう関係があるんだ?」
「響堂の奴がこの学校に来た理由が、あの三人のパーティメンバーなんだよ。三人の中にツインテールの髪型の子がいるだろう?」
「ツインテール?ああ、はいはい。あいつの右側にいる紫髪の女子生徒だよね?」
俺は表情がツンツンした、紫色の髪を左右に束ねている女子生徒に目を移す。
「そうそうあの子だよ。あの子が響堂の奴がこの学校に通う理由だよ。何でもあのツインテールの子が家の都合上とやらでエクトス学園に通えなくなったらしくてな。んで、それを聞いた響堂が『お前だけを置いて他の学校になんて通えるかっ!』...とか言い出して、他のパーティメンバーと共にこの学校に通う事となったらしい」
「へぇ~。斜に構えた性格っぽいのに、意外に義に熱い奴なんだな、あいつ?」
どう見ても都合の悪くなった女は、ポイポイッと捨てそうなタイプなのに。
「まあもっとも、あいつのその義の熱さは女性限定みたいだけどなぁ!」
「みたいじゃなく、そうみたいだぞ。だって響堂が活躍する動画でそんな感じの言葉を吐いていたしな!」
「ああ。俺も似たような感じのインタビューを見たぜ。インタビューであいつ、男は僕に近寄らないようにとばかりの言葉を堂々と吐露ってたよ!」
「響堂の野郎。あの子じゃなく男性のメンバーだったら、確実にひとつも同情なんぞもせず、そいつを見捨てて残りの女性メンバーと一緒にエクトス学園に通ってんじゃねぇか?」
「だろうな。あいつの活躍する動画やインタビューを見るに、百パーの確率でそうだと思うぞ。普通の学校でも頑張れよ~てな感じでな♪」
周囲の男子生徒達が響堂の分かりやすい性格に談笑し合い、それぞれが苦笑をこぼす。
「やっぱりあの優イケメン。見た目通り、女性には義理堅くて優しく。男性にはおざなり&無下に扱うタイプだったか......」
クソッ!一瞬でもお前に感動した俺の気持ちを返せやっ!!
響堂の奴を「結局見た目通りの、女大好きイケメンハーレム野郎かよっ!」という、眉に力の入った眼力で睨む様に見ていると、
「おおっ!そこにいたのか、響堂とその仲間達よっ!随分と探したぞっ!」
体育館らしき建物の中から部下らしい男女を引き連れ、凛々しい顔立ちの女性が現れた。
そしてキラキラと煌めくロングヘアを靡かせながら、響堂の下へと近付いて行く。
「ちょっとあんた!そこで止まりなっ!」
「わたくし達の響堂に一体何のご用でしょうか?」
「......それ以上近付いたら攻撃するわよっ!」
突如現れた女性が響堂に近付かせないよう、響堂の冒険パーティメンバーが女性の前に立ち塞がる。
「こらこら。あかり、穂花、里弥。美人さんにその態度は失礼だろう!戦闘体勢を解いて解いて!」
しかし響堂がそんな冒険パーティメンバーを、爽やかスマイルを浮かべながら止める。
「うちのパーティメンバーが大変申し訳ございません。それで自分に何のご用でしょうか.....見た感じ、この学校の上級生の様ですが?」
「おっとすまん。自己紹介がまだだったな。コホン!私はこの学校で生徒会長をやらせてもらっている、胡桃沢芽依という者だ!」
自分の名を聞いてくる響堂に目の前の女性が咳払いを軽くすると、真面目な面持ちで自分の自己紹介をする。




