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144・後悔の念



―――ユカリがここから去って、数分後。




「うおぉぉぉおぉおおっ!!なんで試合をやると言ってしまったんだぁぁぁぁあ、俺ぇぇぇええええっ!!」



熱が冷めて冷静になったサクヤは、とんでもない約束をしてしまったと叫声を荒らげめちゃくちゃ後悔する。


あれほど貴族どもとは一切関わらないと、この間誓ったばっかりだったのにぃぃぃぃいいっ!


「......ハァ。この性格のせいで、いっつもあっちの世界で勇者仲間や一緒に戦った仲間達にも愚痴や説教を食らっていたっけ......」



◇◇◇◇◇



「貴方いつもはあれこれそれって悩み倒すくせに、自分の欲求が振り切ると即決しますわよね!そのせいで危うく死んじゃう所だったんですがっ!」


「おいサクヤ!お前が即決したせいで、ドラゴンを討伐する羽目になっちまったじゃんかよっ!どうすんのさぁぁぁあっ!?」


「......ふう、また巻き込まれた。いい加減...ぶっても...良いよね?いいよね...ボコボコにしても...いいよ.....ね??」


「アハハハハ!欲求の為なら優柔不断も吹き飛びおるかっ!おぬしはホント、人間らしいのうっ!!」


あ、師匠だけは褒めてくれたな。


い、いや、ディスられているのか?


ま、まあいい。


――ともかくね、


「あのフィギュアは欲しかったんだよ~っ!即決するぐらいにさぁぁあっ!!」


ここにあっちの世界の仲間達がいたら、きっと「その性格、全然治ってねぇな!」と、怒り呆れ、そして苦笑顔を向けられるんだろうなとサクヤは苦笑いをこぼす。


「......試合の件、本当どうしようっかな?」


陰キャラはさ、


目立つ目立たない以前に、


勝ち組で陽キャラのエリート様を満足させる道具になんぞには、成り下がりたくないのよ。


......こういうのはどうだろうか?


「ビギナーズラックの様に見せ掛けて、他の選手を全員纏めて最初の一撃でKOするってのは?」


どうせ見栄を張るべく、上級冒険者を大金でスカウトしているのだろうし、それを一瞬で叩き伏せれば俺の心もスッキリする。


それにこの試合は賭け事みたいな事も行われるだろうから、


その賭け率が暴落し、そのせいで慌てふためくエリートどもの憐れな姿を見ながら心の中で「ザマァ♪」と、せせら笑うのも一興だ。


――――ハッ!


「い、いや駄目だ!駄目駄目っ!目立つ駄目絶対っ!!」


もしそんな事をしたら、確実に四大貴族の連中やこのイベントに集まって来たエリートどもから、良い目も悪い目もつけられてしまう。


「それに最悪、フィギュアの件がオジャンになってしまう可能性があるやもしれん......」


俺は首を左右に大きく振り、自分の出した案を引っ込める。


「契約書を見る限り、別に負けても問題はないみたいだしさ。なので適当に試合を進めて相手を追い込み、そしてエリートどもが「もしかして賭け事に負けてしまうのではっ!?」......という、あいつらの不安顔を十分にニヤニヤした笑顔で堪能した後、負けた振りをするってのが一番安泰の策かな?」


俺はフィギュアの為、フィギュアの為だからと心を強引に納得する。


......がしかし。


「だけどなぁ~。陰キャラのちっぽけなプライドが、エリートどもの前で無様な姿は見せたくないって叫んでいるんだよなぁ~」


あいつらエリートどもの「くくく。下賎で下級な市民なんぞ、やはりこの程度か。無様無様ぁ~本当に無様だなぁ~っ!くっははははは~♪」という、下の人間を最大限に馬鹿にした顔を見るのは不愉快極まりない。


それはマジで耐え難い屈辱だ。


ぎぬぬぬぬぬぬぅぅうっ!!


先程フィギュアの為と心を無理矢理に納得させたが、しかしその直後。あっちの世界のエリートどもが見せていた、人をとことん小馬鹿にした下卑た顔でのニチャリ顔が頭の中にポンポンと浮かんできてしまい、そんなエリートどもの見せ物なんぞにはなりたくないという怒りが再燃してくる。


「ぎぬぬぅぅぅぐぅぬぬぅぅうっ!!フ、フィギュアの為ぇ、フィギュアの為ぇぇ、フィギュアの為ぇぇえ......ぇえええっ!!」


抑える事の難しいエリートどもに対する、怒りで荒ぶる心を何とか落ち着かせるよう、報酬であるフィギュアを頭の中に再び思い浮かべながら、これを頂く為と何度も口にし、エリートどもへの怒れる心を必死に抑え込む。


......ゼェ。


......ゼェ。


......ゼェ。


「こ、これ以上エリートどもの事を、あれだこれだと考えるのもうやめよう......」


これ以上はストレスが溜まって身体に悪い。


「...と言う訳で早くお家に帰って、この荒ぶる気持ちをマイエンジェル成美にハグする事で沈下させよう.........」


俺は抑え込んだ貴族やエリートへの怒りを、成美と思いっきりハグする事で消し去るべく急ぎ家路を駆けるのだった。


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