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無限スキル使いの男〜クソザコだけど幼女と世界を救います〜  作者: ちゃこる
遥かなる旅の始まり【エフォートビレッジ編】
12/63

俺氏と熱血青年と円滑な仕事

「へえ〜二人ともスキル持ちなんだ」


「そういうあなたは全スキル持ってるんですよね!どういうことなんでしょう…」


「私はあまり酷使しませんけどね」


「ミオ!二人とも旅に誘っちゃいなよ!」


おっと、そう言えば今日は共に旅に出てくれる人を探すんだった。


「二人とも、俺達主に王都に向かって旅をしてるんだけど、ついてくる気、ない?」


いつになく真剣になってしまった。

パーティーメンバーはできるだけ増やしておくのがRPGの基本だ。


「う〜ん。お言葉はありがたいんすけど、僕には厳しい親がいるので、難しいですね」


少し残念そうに(うつむ)く姿から、本当はついてきたいのだろうと察する。


「私も。この村でやらなきゃいけないことがあるので」


2人共に断られてしまった。


「ちょっとちょっと!あたしこのままミオと二人だなんて耐えられないよ!」


「なんだと?この俺のどこが不服だというんだ」


いつもの小喧嘩が始まりそうになった。

すると、レアドが自分の家系について語った。


「ミオウさん。フイッシュ家は僕が継がないといけません。しかし、周りからはそれに足る器がないだ何だ言われて辛かったんです。だから、最近は鍛錬所に通って、鍛えてるんです。昔からの夢である、騎士、いや、王都直属騎士になるために!」


俺たちは喧嘩を止めて、真剣に話を聞くことにした。


「でも、やっぱり父に止められて…。僕、本当は王都への旅に行きたいんです!」


俺たちはどうしたらいいかわからなかった。

フイッシュ家というと、エフォートビレッジでは知らない人がいないほどの名家らしい。

それほどまでに大きな家柄では、俺達にどうしようもない。


「レアドさん。わたくしもお手伝いしましょうか?」


唐突に切り出したリトーに驚きを隠せないでいるとともに、その作戦を尋ねる。


「そう…題して…」


ゴクリ…


「レアドさんを王都への旅へ連れ出そう作戦よ!」


ーーー


いつもの部屋のいつもの布団の中で、フィリアと少しだけ話す。


「なあ。レアドさん、可哀想だよな」


「ね。フイッシュ家っていうのは知らなかったけど、聞くところによると、相当な名家みたいだし、リトーがいうように簡単にはいかないと思うわ」


全くの同感だった。

その後リトーから聞いた作戦は作戦と呼ぶにはあまりにも大胆、かつ捻りのないものだった。


「みんなで家に押しかける、はなぁ〜」


バカ丸出しの作戦に、思わずため息が漏れた。


ーーー


「今日も仕事、頑張るか〜」


いつもの現場につき、背伸びをして気持ちを整える。

と、今日は新人が来たようだ。


「レアド・フイッシュ!十八歳です!一生懸命みなさんの仕事を援護しますので!よろしくお願いします!」


まさかのレアドだった。

周りの人々も突然の名家の(せがれ)の参加に目を丸くした。


「おいおい、名家の坊ちゃんがどうしたんだよ」


「さあ、金持ちの気まぐれじゃねえか?」


と、様々な声が聞こえてきた。

レアドはこっちに向かって歩いてきた。


「今日からよろしくお願いしますね!ミオウ先輩!」


俺は不覚にも戦慄してしまった。


ーーー


「はぁ!体動かして働くっていいですね!」


レアドは、俺たちと同じ、大敵を倒す仕事に就いた。

レアドのスキルは『空間交換(チェンジ)』、レベル30である。

彼のスキルは、自分が指した空間と、対象の空間を交換できるというもので、スキル体制のない昆虫型の敵は、石と臓器の空間を交換されて、あっけなくやられてしまった。

しかし、レアドも体力を消耗するので、俺の高速詠唱による口の乾きは二倍になった。


「フィリアさんまじ強いっす!感服です!」


とても好青年なのだが…


「ミオウさん!こっち頼みます!」


なのだが…


元引きこもりの俺にはウザイくらい清々しいやつだった。


ーーー


「レアドはどうしてここに?」


仕事が終わり、サン・インに戻る途中で質問攻めした。


「父に頼み込んで、なんとか肉体系の職場につかせてもらったんです。普段は学校に通っていますが、今日は休みなので、臨時です」


頼もしい限りではあったが、レアドの家のことが心配だ。


「家、平気なの?」


「はい!土下座して頼みましたけどね。どうにかして王都にいきたいなぁ」


彼の顔を見て、どうしても彼を連れていきたくなった。

王都への旅には、必要な存在となるだろう。


「頑張ろう。俺達は外壁工事が終了したら、すぐにこの村を発つ。それまでに話をつけてくれよ」


「はい!」


俺達はいいコンビになれそうだ。

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