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第一話

 ——今から約数千年前。

 原初の神々によって、1つの世界が生まれた。後に「中央世界」と呼ばれるその世界に、神々はまず、大地を作った。それでもなお余った部分はそれぞれ、「空」や「海」となった。そこから更に、様々な種族が作られた。最初に世界を管理する神々、その神々に仕える天使……そして最後には人間。やがて精霊によって魔力が、一部の神々によって霊力が生み出され、人間がそれらを利用する術を作った。現在にも引き継がれているその技術をそれぞれ、「魔術」,「霊術」と呼ぶ。その力は絶大で、僅か数十年で文明を発展させた。しかし、人間の文明が発展するにつれて、他の種族の住む場所が無くなっていった。その様子を見た原初の神々は、中央世界の周りにいくつもの世界を生み出し、そこに住まわせた。それから更に時が経ち、神々のかわりに人間が世界を管理するようになった頃、それぞれの世界は集い、やがて1つの世界のようになった。この世界群を人々は「虚構世界」と呼んだ。



「——というのが、現在有力な説だ。忘れないようにな。」

 そう言って黒板に図を書きながら、先生が授業を進めていく。……こんな神話みたいな話でも、私の世界では当たり前の歴史であるらしい。まぁ、もちろん神代の様子なんて誰も見たことがないわけだから、実際の創世の様子がどんなものかなんて知る由もないけど。

「ふわぁ〜···」

 ふと眠気に襲われて欠伸が出る。……歴史の授業はいつもなんとなく退屈に感じる。興味がないというよりも、あまりにも昔のことなので実感が湧かないから。確かに学んだ方がいいんだろうけど、正直いきなり「原初の神」とか言われても……とすら思う。本当にいるのかな、神様なんて。

「おい、竹崎。ぼーっとしてないでちゃんと聞け。」

「は、はい。」

 あまりにも外を眺めすぎて怒られてしまった。……取り敢えずノートだけでも書かないと。テスト勉強ができなくなってしまう。

 ——それから数時間後。

「ふぅ〜···やっと終わった。」

 長い時間、教室で座っていたから少し身体が痛いような気もする。あとで、少しマッサージでもしようかな。

「マナ〜!」

 そんなことを考えていたら、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ってみると……。

「一緒に帰ろ〜!」

 同じシェアハウスに住んでいる子達が走ってきた。

 ……ほんの数年前から私はシェアハウスを設立して、幼馴染達と一緒に暮らしている。一人暮らしをしても良かったのだが、どうも知らない場所で孤独に生きるのは耐えられなかった。

「うん、帰ろっか!」

「なんか今日、暗くない?」

「えー、そうかな?」

「また先生に怒られた?」

「……。」

「図星なんだ……。」

 そんな他愛のない会話を交わしながら、いつもの帰り道を下っていく。私達が住んでいるシェアハウスは少し離れた郊外にある。だから、帰るのにも少し時間がかかる。……その分、みんなと話す時間が長くなるから、私にとっては嬉しいことでもあるんだけどね。

「そういえば、最近なんか人が行方不明になる事件多いらしいね?」

「あー私も聞いたよ!あれでしょ?全然痕跡とかも残ってないから、警察の人も苦労してるって。」

「怖いね……シェアハウスだったからある意味良かったよ。一人で行動することが少ないし。」

「確かにね!」

「へぇ〜そうなんだ。」

「なんかマナ、反応薄くない?」

「そんなことないよ〜」

「いや、返事軽っ」

 私の返事がよほど面白かったのか、どっと笑いが起きた。……私は至ってまじめに返したつもりだったんだけどなー···。

 それからまた暫く他愛のない話をしているうちに見慣れた家が近づいてきた。毎回家を見るたびになんとも言えない安心感が湧いてくる。……うん。やっぱりいいな、帰る場所があるって。

「ほら〜早く入ろ?マナ」

「……うん」

 ——改めて自己紹介しよう。私は竹崎マナ。今年で16歳になる学生。そして……。

 この世界では大して珍しくもない〈異能力〉を持つ能力者の一人。少なくともこの時の私はそう信じていた。

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