第24話 エピローグ
アリスは目を覚まして、寝間着のまま顔を洗いに部屋を出る。そして共用スペースのリビングを横切った時、見知らぬ人物がソファに座っているのを見て、アリスは驚いて跳ね上がる。
「えっ!? だ、誰ですか!?」
「失礼ね」
美しい青髪と水面のように澄んだ青い瞳の女性が呆れたように声を出す。
「え? その声、姉ですか?」
「姉はやめて。マーガレットでいいわ」
「分かりました」
「ほら、早く着替えなさい」
「はい」
アリスはすぐに洗面所に行って顔を洗う。そして部屋に戻って制服に着替える。クシで髪を整えてリビングに戻る。
「それじゃあ、食堂に行きましょうか」
◯
マーガレットと食堂に向かうとほんの小さなざわめきが生まれた。
マーガレットはそれを無視して朝食を食べる。
そこへ明るい声がアリスへとかけられる。
「アリスだ。おはよう」
声の主はエリセだった。
エリセは近くテーブル席に着く。
「エリセ、ゆっくりと歩きなさいよ」
エリセの姉、シャーナが後から現れた。
「あんたね……えっ!? マーガレット!?」
シャーナはマーガレットを見て驚く。
「ごきげんよう。相変わらず元気ね」
「べ、別に元気というわけでは……それよりどうして?」
シャーナはエリセ側のテーブル席に着きながらマーガレットへ質問する。
「そろそろ授業を受けないと思ってね」
「このタイミングで?」
「タイミング? そういえば昨日から何やら騒々しかったわね」
「……まあ、色々あってね」
「色々……そういえばケイネス先生が何者かにやられたと聞いたけど?」
「うん。そうらしいね」
「噂だと生徒の可能性も高いとか?」
「生徒? そんな生徒いる?」
「貴女は何か知ってる?」
マーガレットはアリスに聞く。当事者であるアリスは問われてビクッとする。
「いえ、私は何も」
アリスは首を横に振って否定する。
「そちらの子は?」
マーガレットは青い双眸をエリセに向けて聞く。
「エリセじゃないよ」
「ちょっ、バカ」
まるで普段は何がやっているような言い方でシャーナは焦った。
「ねえ、シャーナは何するの? 早く決めてよ」
「ああ、はいはい。ええと……パンケーキでいいや」
エリセにメニュー表を渡されたシャーナは特に考えずに選んだ。ウェイトレスにメニューを伝えて、シャーナは再度マーガレットに向けて声をかける。
「アストリアも喜ぶでしょうね」
「どうかしら」
◯
学園には姉妹バラバラで登校することになった。
『姉妹だからって、一緒に登校する必要はないでしょ』
とマーガレットは告げた。
そしてアリスは先に部屋を出て、学園に向かう。
寮の外、春のそよ風がアリスを撫でる。
ひと騒動に巻き込まれて大変な目にあったが、きちんと片付けた。
けれど、まだ目的は終わっていない。
ハイエマン嬢との仲はもう修復するには難しい。今はジェラルド嬢に近づいて魔女リズベルトの件を深く調べることに専念しようとアリスは考えている。
「おーい」
校舎前でスーザン達に声をかけられた。
「おはよう」
「二人共おはよう」
「今日はどんな授業なんだろうな」
スーザンが楽しそうに言う。
「恥はかかないようにね」
「それはセレンでしょ? 魔法で恥をかかないようにねー」
ニッシシとスーザンは笑う。
「うるさい!」
フンッとセレンは顔を逸らす。
「私でよければ教えるよ」
「ああ、ありがとうアリス」
セレンはアリスに抱きつく。
「ずるーい。私にも教えてよ」
スーザンも抱きついてきた。
「うん。教えるから二人共離れて。暑いよー」
春の暖かい日差しと友人二人の温もりにアリスは困った声を出す。




