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世界の入り口

二人が瓦礫だらけの道を歩いている時、ふと陽菜は言った


「死なないようにって……夜桜ちゃんの近くにいれば、ルールを守れば死なないんじゃないの?」

「なんで、そう思うの?」


夜桜は、陽菜の夜桜が居れば死なないと言う発言に違和感を覚えた


「えっ、だって夜桜ちゃんここでは最強なんでしょ?」

「私が最強だったら何で襲われないの?」

「だったら、最強の夜桜ちゃんに手を出すやつなんていないんでしょ?」


陽菜は、その世界には相応しくない、キラキラとした目で夜桜を見つめていた


「………マジで言ってる?」

「違うの?」


そんな陽菜に対して夜桜は、呆れはしていたが冷徹な目をしていた


「私が広大な範囲を一人で占領しているってことは、私一人を殺せばその土地が手に入るってことだよ」

「だから?」


陽菜は夜桜の言ってる意味がよくわからず頭を傾げていた


「時間をかけて大勢の人間を殺さずに、不意打ちでもなんでも一人の人間を殺せば、簡単にこの世界で最も広い土地が手に入る、こんな人間誰だって狙うでしょ」

「確かに、てことは……」


陽菜は夜桜の意味を理解し喜びの表情をしていたが、直ぐに青ざめた


「夜桜ちゃんと一緒にいる私ってかなり危ないってこと?」

「だから死なないように気を付けてって言ってるの」

「嘘でしょ!」

「嘘つく理由があるの?」

「この世界に訳もわからずいて、目が覚めたら夜桜ちゃんに拘束されて死にかけて、殺されずに済んだと思ったら、次の日にはそれ以上の死ぬ可能性が襲いかかって来たんだよ!」


陽菜は歩くのを止めてその場でジタバタと駄々をこねる子供のように暴れ泣きじゃくった


「1回は生き残ったんだから恐れることはないでしょ?」

「そりゃ夜桜ちゃんにはなんとか殺されずに済んだけどさ~」


陽菜は一通り暴れた後、涙をぬぐいながら立ち上がった


「いや、そうじゃなくて私の支配領域外で1回は生き残ったんだから大丈夫でしょ?」

「何の話?」

「この世界に入るには、外の世界のゴミの処理場の一角から下に落下してランダムな10ヵ所に着地するけど、一番近い地点でも私の支配領域から100キロは離れてるから、しばらく私の支配領域外にはいた筈だよ」

「夜桜ちゃんに拘束される前の記憶は家族でピクニック来てた記憶しかないけど?」

「そういえばそうだったね」

(確かに私が拘束した時も虐待や洗脳での古傷はあったけど、新しい傷は一つもなかった、てことは戦闘せずにここまでこれたってこと、あり得るの?)


夜桜は陽菜の違和感に考え込んでいた


「建物や瓦礫が急になくなった!」


二人がしばらく歩いていたら、陽菜が突然大きな声をあげながら駆け出し手を広げていたそこは、地面のコンクリートが割れて地面の土が見える所はあるが、空は晴天で瓦礫や建物が一切無い開けた明るい場所に到着した


「思ったより時間はかからなかったな」

「ってことは支配領域外ってこと!」


陽菜は先ほどまで明るい無邪気にはしゃいでいたが、夜桜の言葉で一気に青ざめた


「いや、まだ先だけど」

「なんだ~」


夜桜の言葉に陽菜は安堵し尻を地面についた


「なら時間がかからなかったってどういうことなの?」

「さっきまでの所は四方八方を建物に囲まれていて太陽で時間が把握しにくいし、建物に敵が潜んでいたら不意打ちされる可能性があったから、やっと安全な場所までこれたってこと」

「じゃあなに、さっきまでめっちゃ危険な所で騒いでたってことなの!」


陽菜は夜桜から聞いた新事実に驚き、夜桜の目と鼻の先まで詰め寄り問いただした


「仮に向こうで言ってたら、騒いで鬱陶しかっただろうし、そもそも私の支配領域の建物があるところまで来たのって陽菜が初めてだし」

「そうなの?」

「私を殺すなら支配領域外で予め罠を仕掛けた方が殺しやすいし、敵陣地に自ら乗り込む危険を冒すやつはなかなかいないからね」


陽菜は説明を聞いて納得した顔を見せた


「あと、ここからは走って行くから」

「わかった!」

「じゃあ背中に乗って」


夜桜はしゃがみ陽菜が背中に乗りやすいようにした


「えっ、なに、どいうこと!」

「いいから早く乗って」


陽菜は夜桜の突然の行いに驚いていたが、夜桜に急かされた為、恐る恐る夜桜の背中に乗った


「じゃあ走るから舌噛まないように」


そういうと夜桜は徐々にスピードを上げながら走りだし、トップスピードは時速200キロにも達していた。

陽菜は初めは驚いていたが、スピードが上がるにつれて風圧により目を開けるのもきつくなり、余裕もなくなった。陽菜は振り落とされないように、しがみ付くのでやっとになっていた


「速さに慣れてきたら何でもいいから喋ってね」

「喋ってねって、そんな余裕あんまり無いんだけど!」

「喋れるのね……」


夜桜がトップスピードになってから5分が経ち、まだ慣れていないだろうと思いながら、陽菜に話しかけた夜桜だったが予想に反して陽菜が話せたことに少し驚いていた


「ていうか何で夜桜ちゃんが背負って走ってるの?」

「ここから支配領域外までかなり距離あるから、陽菜と歩いてたら何日かかるか分からないからね」

「そんなに遠いの?」

「だいたい、100キロぐらいある」

「遠くない!」


陽菜は落ちないように気を付けながら、喋っていたが支配領域外の距離の遠さに驚き夜桜から手を離してしまい落ちることを覚悟し目を瞑った


「何やってんの?」


陽菜は目を瞑り落ちたと思い覚悟してたが、待てど暮らせど衝撃は来ず代わりに夜桜の呆れた声が聞こえた。恐る恐る目を開けると密着度は先ほどよりかは減っているものの、夜桜の身体からは特に離れてなかった


「えっ、なんでどういうこと?」


陽菜は手を離したにも関わらず夜桜から一切離れていないことに理解が追い付かなかった


「どうしたの?」

「いや、なんで手を離したのに私落ちてないの?」

「なんでって……」

「えっ、いや、だって、あっ!」


陽菜は動揺しながら周りを見渡したら、夜桜が片手を使って、陽菜が落ちないように支えていたことに気が付いた。


「夜桜ちゃんが支えてくれてたの!」

「いや、私が支えてなかったらトップスピードになった時点で落ちてるから」

「しがみ付いて無いと落ちると思ってた!」

「陽菜程度の握力ならしがみ付いても直ぐに振り落とされるよ」


陽菜は夜桜が自分を落ちないように支えてくれていたことに、喜び、笑顔のまま夜桜にまたしがみ付いた


「あと、もうすぐ支配領域外に出るから覚悟してね」

「うん!」


陽菜は夜桜が自分が落ちないように守ってくれていた為、支配領域外に出ると分かっても笑顔のままだった

まだある?

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