この世界の生存方法
陽「おはよう夜桜ちゃん」
夜「……良く寝れるね」
陽菜という少女を受け入れた夜桜は、普段はしないことを行ったせいか、疲れからそのまま冷たい地べたの上で寝てしまい、起きたら陽菜という少女も横で寝ていた。そんなに陽菜に対して夜桜は呆れていた
夜「昨日も言ったけど、ここで生きる為には、誰かを殺して奪い取る以外に生き残る道はないから」
陽「分かってる!」
夜「はぁ~」
夜(分かってたらここで寝れる訳無いはずなんだけどね)
陽菜の態度から夜桜は言ってることを一切理解していないと思った
陽「夜桜ちゃん今日はどうするの?」
夜「ここについての説明と案内」
陽「昨日説明しなかった?」
夜「大雑把にした説明して無いから」
陽「なるほど!」
夜「じゃあ説明するね」
陽「はい!夜桜ちゃん先生」
夜「先生.........」
夜「まぁ良いや」
夜桜は近くにあった紙とペンを取って説明を始めた
夜「まず、誰かを殺した所で誰からも何も言われない」
陽「犯罪やりたい放題ってことですか?」
夜「まぁそういうこと」
夜「って言っても、ここにもルールがあるからそれだけ守ればいい」
陽「ルールがあったところで守るの?」
夜「半々ぐらい」
陽「意外と半分ぐらいは守るんだ~」
陽菜は意外と秩序が保たれていることに少し驚いた
夜「ルールがあることで自分も守れるから、意外と守る人は多い」
夜「後はルールを守らないと複数の組織を敵に回すからね」
陽「組織を敵に回す?」
夜「今からルール説明するから聞けばわかるよ」
夜「ルール1つ目7歳以下の子供を殺したらダメ」
夜「理由は、メリットが少ないから」
陽「メリットが少ないってどういうこと?」
夜「殺したところで、何も食べられないから」
陽「食べられないから殺さないってどういうこと?」
陽菜は夜桜の発言から最悪の可能性を考えてしまい、脳が理解を拒み聞き返した
夜「詳しく説明すると、ここで人を殺す理由は交換材料か食料かだから」
夜「交換材料の方はルールで説明するから一旦無視して」
陽「わかった…」
自分の最悪な可能性が当たっているとわかり覚悟を決めた
夜「この世界って基本的に食べ物が手に入らないから、口に入るなら何でも食べるの、それが人でも」
陽「この世界の食料って人なの?」
夜「人以外にも、土、石、砂利、泥、コンクリート、鉄筋、電線、排泄物とかも食べるよ」
陽「ちょっと待って!」
陽「全部食べ物じゃないんだけど!」
陽「もっと普通の食べ物って無いの!」
陽菜は人を食べる覚悟を決めたがそれ以上にまともな食べ物が一切ないことに驚いた
夜「あるにはあるけど」
夜「手に入れるのが難しいから」
陽「何で?」
夜「逆に聞くけど殺し合いの世界で、どうやってまともな食べ物作るの?」
陽「確かに…」
陽菜は夜桜の説明に納得するしかなかった
夜「ルール2つ目が、病院、販売店の半径5m範囲内での戦闘禁止及び居住禁止」
陽「病院と販売店あるの!」
荒れた世界にまともな施設があることに陽菜は驚いた
夜「あって無いような物だけど」
陽「どう言こと?」
夜「まず病院は、生きてさえいれば、どんな状態であろうと治してくれる」
陽「えっ凄」
夜「凄いけど問題があるの」
夜「代金の代わりに医者の人体実験に協力しないといけない」
陽「えっでも治して貰えるんだよね」
夜「臓器が無くても、頭が取れても、息して無くても、下半身無くても、生きてさえいれば完璧に治してもらえる」
陽「もう魔法じゃん」
この世界の医療が、元の世界より遥かに発展していることに陽菜は驚いた
夜「だから、人体実験されても治して貰えるんだけど、麻酔なんて便利なものはないから、痛みに耐える必要があるの」
陽「えっと、どんな人体実験されるの」
夜「知らない」
陽「何で?」
夜「私、大きな怪我したことないから」
陽「意外と怪我しないんだ」
陽菜はこの世界が思ったよりも安全だと考えた
夜「私は使ったことないけど、人体実験加味してもどんな状態だとしても万全な状態に戻してくれるから使った方がいいよ」
夜「そもそもここ以外に病院ないから使うしかないんだけどね」
陽「わかった!」
夜「次に販売店だけど、ここでならまともな食べ物が手に入る」
陽「まともな食べ物を手に入れるのは難しいって言ってなかった?」
陽菜は夜桜の発言が最初の発言と矛盾していることを指摘した
夜「買うのが難しいの」
陽「買うのが難しいって?」
夜「だいたい、リンゴ、パン、米、麺が売ってるんだけど、買う条件が難しいの」
陽「条件って?」
夜「陽菜が居た世界でいうところのお金が必要なんだけどそのお金の入手方法が難しいの」
陽「お金とは別の物が通貨になってるってこと?」
夜「そう」
陽「何が通貨になってるの?」
夜「部位別で異ななるけど」
陽「部位別?」
陽菜は夜桜の言葉の意味がわからず首を傾げた
夜「販売店の一角に換金場があって、そこにいる人に死体といううか、人体の一部を渡せばコインに替えてくれるの」
夜「それで買うってわけ」
陽「死体が通貨になってるってこと!」
夜「そういうこと」
陽「………」
陽菜は夜桜の話を聞いて絶句して言葉を失っていた
夜「死体が通貨になってるから、販売店まで死体を運ばないといけないのがめんどくさいんだよね~」
陽「そういう問題じゃないような気がするんだけど…」
陽「人を殺して何かを得るって……」
この世界の事を理解しているつもりだったが、改めて人を殺さないと生きていけないことに、陽菜は落ち込んだ
夜「何かを得るには何を捨てないといけないんだよ」
夜「ここは綺麗事で生きられる世界じゃないから、生きたいのなら人を殺すしかないよ」
そんな陽菜に対して夜桜はいつもと変わらない口調で言った
陽「人を殺さなくても得られる方法ってないの?」
夜「殺さず奪うって方法もあるけど…」
夜「ただ、物を奪える相手を殺さない理由ないし、奪うにしても戦闘は避けられないから奪えるようになった時点で相手は瀕死だろうし、仮に瀕死の相手を見逃しても周りの人間がどちにしろ殺すからどちにろ相手は死ぬだろね」
陽菜は少し考えた後、自分の考えを夜桜に提示した
陽「例えば、交渉して物々交換するとかは?」
夜「……この世界の殺し合いを真正面からの殺し合いだと思ってる?」
陽「違うの?」
陽「敵が見えたら襲いかかるんじゃないの?」
夜「例えば狩猟をやっている人がイノシシヤ熊の目の前に出てきてから撃つと思う?」
陽「撃たない」
夜「ならどうやって撃つ?」
陽「茂みに隠れて相手が気付いてない時に撃つ」
夜「この世界はそれと同じだよ」
夜「気付かれる前に殺すが基本だよ」
夜「だから基本的にブービートラップを設置して相手が引っ掛かったら殺すのが普通だね」
夜「だから交渉するのは不可能だよ」
陽「確かに」
陽「わざわざ敵の前に現れて自分を危険にさらす理由ないしね」
夜「分かったら次のルール説明するね」
夜「ルール3つ目軍事が攻めてきた時に奪った物は早い者勝ち」
陽「ここじゃ当たり前ことじゃないの?」
夜「もう少し詳しく言うと、誰かが奪った物を奪ってはいけないってこと」
陽「軍事が攻めて来た時だけ?」
夜「そう」
夜「理由は単純に、組織同士の争いを避けるため」
陽「組織同士の争いを避けるって……、互いに殺そうとして居るのに?」
陽菜は少しこの世界の構造に疑問を覚えた
夜「そう」
夜「この世界って、絶妙なバランスで維持されているから、その均衡を保つ為に禁止になってる」
陽「なるほど」
夜「ルール4つ目安全地帯での殺し禁止」
夜「理由は先と同じ」
夜「安全地帯を作ることで、組織に属せなかった人達が死なないようにするため」
陽「安全地帯ってどこ?」
夜「病院や販売店の敷地内と人が多く集まっている場所」
陽「人が多く集まっている場所?」
夜「死にたくない人達が安全地帯に集まるからね」
夜「まぁ、組織の支配領域の可能性もあるけど」
陽「安全地帯と間違えて入ったら死ぬじゃん!」
夜「まぁ、間違えないように気を付けるしかないよ」
陽「結局どこにいても危険じゃんか~」
安全地帯の明確な見分け方がないことを知りもしもの場合は運にかけるしか無いと知って落ち込んだ
夜「一応ここも安全地帯だよ」
陽「えっ何で?」
夜「私の支配地域の最奥だから誰も入ってこない」
陽「支配領域だからって入って来ないものなの?」
夜「理由説明するために5つ目のルール言うね」
夜「ルール5他人の支配地域に殺し窃盗以外の目的で入ってはいけない」
陽「安全の意味が全くわからない」
夜桜の言ってる意味が理解出来ず首を傾げた
夜「私、基本的に持ち歩いているから、わざわざ私の支配領域に入って、こんな奥地まで来るメリットがないってこと」
陽「なるほど」
夜「ここのルールはこの5つだけ」
陽「もし破ったらどうなるの?」
夜「この世界にある全ての組織を敵に回すことになる」
陽「何で敵に回すことになるの?」
夜「組織に属している人達からすると今の均衡状態が最も自分達の生存率が上がるから、その均衡を乱す人達を殺そうとするってこと」
陽「だから販売店や病院がまともに運営できるんだ」
夜「そう」
夜「だからそのルールだけは守った方がいいよ」
陽「分かったけど」
陽「いくら何でも命の価値が軽過ぎない」
夜「そうでもしないと生きて行けないから」
陽「元の世界みたいに甘くないってことね」
陽菜はこの世界のルールを知り運命を受け入れようとした
夜「そう」
夜「次は、私の支配領域と病院の場所案内するから、死なないようについてきてね」
そう言った夜桜は少し微笑んで見えた




