第69話 罠だらけの敵地
昼の中央貿易都市にて
ロウとカゲは二人で酒の買い出しに来ていた。
「これ樽ごと買うので、少し安くならんかの?」
「いや~。これめったに入らない酒なんだよね。いくらロウさんでもちょっと・・・」
「これも買うからのう。どうじゃ?安くしてくれんか?年寄りからの頼みじゃ」
ロウは老いぼれの振りで値下げ交渉をしていた。カゲは日差しがきついので、ロウの影の中に隠れていた。
「わかりましたよ。安くしときますので、お届け先はいつもの武器屋でいいですか?」
「本当かの。ありがたいのう。長く生きとくもんじゃ」
こうしていつもロウは年寄りという武器を使って、安く買い物をしていた。
「じゃあ、お任せしたぞ。わしは散歩でもして帰るかの~」
ロウは人が少ない方へどんどん歩みを進めていく。
「ロウ様。これは・・・」
「カゲ。黙っておれ。先ほどからつけられておるんじゃ。かなりの気配を消しているようじゃが、数が多い。人が多い所では被害が出る」
「私が主になんとかピンチを伝えますか?そろそろ帰ってくる頃ですが?」
「そこまでせんでも、大丈夫じゃ。わしとカゲがいるんじゃぞ。小僧なんか呼んだ日には何を言われるかわかったもんじゃない」
ロウは人が少ない所に進んでいく。だが、それと同時に後ろからの気配が増えていった。
「襲え」どこからか声が聞こえた。
ロウは振り返ると、数百はいるであろう、冒険者たちが一斉に襲って来た。
「数だけは立派じゃのう」
ロウは落ち着いて構えを取ると、一人ずつ的確に急所をついて、吹き飛ばしていく。
「まあ、これくらいは耐えなければ、脅威にならない。爆ぜろ」
謎の男の声とともに、ロウに迫っていた冒険者たちが爆発した。ものすごい煙が中央貿易都市に発生した。
― ディスカラーでは ―
ヒメが食器を片付けていたが、滑らして食器を割ってしまった。「ああ、買ったばかりの食器なのにやっちゃった」
データは部屋から出ると、オニのいる冷凍室に静かに歩んでいった。「オーニさん、こ~ちら手の鳴る方へぇ♪」データはごきげんそうだ。
― 中央貿易都市では ―
ロウは爆発を受けて、ダメージを負った。ボロボロになった体を、カゲが急いで運んでいた。ロウは腹部からかなりの出血をしていた。
「ロウ様。お体は大丈夫ですか?」カゲは不安そうだ。
「落ち着くんじゃ。敵はまだどこかにおる。油断するでない。こんな傷魔力で抑えれば大丈夫じゃ」
ロウが言うことはわかるが、カゲはロウの体が心配であった。なんとか逃げ切らないと庇いながら戦うのはきつい。
「襲え」どこからか再び声が聞こえた。
ロウとカゲは囲まれてしまった。
「カゲ。わしを置いて逃げるんじゃ。数が多すぎる」
「申し訳ございません。逃げれる状況ではありません。少し待っていてください」
カゲは一人立ち上がると、迫る敵に自分から向かっていった。
「シャドージョイント」
カゲは敵の影の中に入り込むと、影と影を繋いで、大きな影にした。
「シャドーグラップ」
一瞬にして、敵を影で拘束した。
「照らせ」地図を見ながら合図を出した。
謎の合図とともに複数の建物の屋根にいた敵が鏡を使って、光がカゲを照らす。
「まずい。力が・・・」
敵を拘束していた影が無くなり、再び二人を襲いだす。
「爆ぜろ」
再び大きな爆発が中央貿易都市に起きた。
ロウは傷だらけになりながら、カゲを引き連れ、逃げていた。おかしい、なぜここまで隠れている場所が筒抜けなのか。カゲの対策までしっかりされていた。もしかして、手配書を作っていた奴か。だとしたら、逃げられるわけがない。
ロウは道が広い場所に来ていた。これなら、カゲは戦えないが、敵が見つかるかもしれない。
「少しは考えているようだな。ロウとかいうじいさんは。だが、こいつなら・・・」
ロウは血を流しすぎたのか立っているのがやっとになっていた。
ロウの前には仮面を付け、黒いローブを纏った謎の人物がいた。
「まるで小僧のようじゃわい」
ロウは自分を奮い立たせ、足を広く取り、力強く踏み込んだ。
仮面の人物は一瞬で間合いを詰めて、殴り掛かって来る。ロウは待っていたとばかりに、両手を前に構えて、反射の能力で反撃を狙う。
だが、クロとは違い、目の前で消え、ロウは下を見ると、強力な蹴りが顎の骨を砕く。宙に浮いたロウを、飛んで地面にけり落とす。
ロウは地面に強く叩きつけられても、意識を保っていた。まだ、触れれば、どうにかできるかもしれないと考えていた。残り少ない力で仮面の人物を触ろうとする。
「これでどうじゃ」
ロウは触れることが出来ずに、顔を思い切り、蹴り飛ばされてしまう。
仮面の人物はさらに追い詰めようと、踏み込んだ瞬間、視線を上に向けると、ウィッチが魔法を杖に溜めて、落ちてきた。
「吹き飛ぶのだ」
ウィッチの魔法は腹部を貫き、倒れこんだ。
クロはロウに近寄り、声をかけた。
「おい、じじい。生きてるか?」
「こ・・・。ゴホッ」
「主。私がいながら申し訳ございません」ロウの影から現れ、申し訳なさそうに謝る。
「謝んな。カゲ。ウィッチとじじい運んで治療しろ。ヒメならなんとかできるだろ」
「主は?」
「このまま逃がしてくれねえだろ」
クロは瞬時に状況を察していた。カゲの力が使えない状況。ロウのケガが深刻な状況。まだ、敵が隠れて様子を見ている状況。
「行けカゲ」クロは命令をした。
カゲは獣の姿になると、ロウを背中に乗せ、道中のウィッチも乗せていった。
「隠れてねえで出て来いよ。相手してやる」クロは呼びかけた。
建物の影から見たことがない人物が出てきた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
カゲの能力は光に弱いってのはわかると思いますが、
ロウの能力作中に入れるの忘れていました。
手で触れてた攻撃を跳ね返す。弱点が触れないと跳ね返せないって
途中で書くの忘れてました。
次回もお楽しみに




