第67話 女人村 前編
クロはここ数日、黒の国でキチョウに振り回されていた。ドーニャは和服や和装が嫌いらしく、それが原因で黒と白の国に分裂し、重犯罪を黒の国、軽犯罪を白の国に分けて、司法を行っているという。
キチョウはドーニャを人形のようにかわいがり、着物をとにかく色々と着せ替えていた。着物がいやだとわかったらわかったで、洋服を手配し、今度は洋服の着せ替えが始まってしまった。
クロは洋服運びに付き合わされ、帰ろうにも帰れずにいたが、ドーニャが隙を見て、白の国に帰ったので、落ち着きを取り戻した。
クロはロックとキチョウに別れを告げ、ディスカラーに帰ることにした。帰ったら、久しぶりにロウの飯でもたらふく食べて寝よう。
ディスカラーの酒場に帰ると、ロウとウィッチがいた。
「マスター。やっと帰って来たのだ」ウィッチは相変わらず元気だ。
「ああ、やっと帰って来れた。ロウ~。飯~」
「このバカもんがー!!いつまで遊び呆けてるんじゃ」ロウは初っ端から怒っていた。
「なんでそんなに怒ってるんだよ」
「お前自分の嫁が手配書出されて、呑気にしておれるか!!!」
「マスター。ヒメの手配書が出されてから、ロウは心配でしょうがないのだ」ウィッチは耳元でこっそり教えてくれた。
「あのな。じじい、俺だって遊んでたわけじゃないんだけど」
「言い訳すんじゃない!!!お前さんの手配書までなら許すが、か弱いヒメが狙われては、こっちも大変なんじゃぞ」
「俺なら狙われてもいいのか?なあ、ウィッチ?」
「まあ、マスターは変態罪で死刑でもいいのだ。ロリコン罪で死刑になるべきなのだ」
「わしもそれに対しては思うことがあるんじゃ。この変態が!!!」
「人の趣味に文句言うなよ」
「まあ、自覚しとるならよいのじゃ、小僧、ウィッチと買い物に行ってくるんじゃ」
「は~い。行ってくるのだ」
「いやいや、一人でいけるだろうが」
「ウィッチは寄り道が長いからのぅ。小僧、お前がしっかり連れて帰るんじゃ」
「子守じゃねえか。じじいが代わりに行けばいいだろ?」
「わしはこれからカゲと酒の仕入れじゃ。代わりに行ってもええんじゃぞ。交渉もあるから、こっちの方が帰って来れなくなるぞ」
このくそじじい。最初からウィッチとしか行かせる選択肢しかねえじゃねえかよ。文句言って疲れるだけか。早く終わらせよ。
クロとウィッチは中央貿易都市からウィッチの杖に乗り、飛んで向かう。晴れているから空の散歩はいい気分だ。
「なあ、場所は近くなのか?」
「1時間も飛べば着くのだ」
「意外とかかるな。何買うんだ?」
「ロックレルっていう。スパイスの葉なのだ。なんでも乾いた土地で育つ植物で、採ってから乾燥も出来るから、グレーゾーンで作られることが多いって聞いたのだ。あとは中央貿易都市で買うと途中業者?とかいう人が入るから値段が高くなるのだ」ウィッチはどこかで覚えたことを満足げに言う。
「確かにな。この距離を運ぶと、金はかかるな」
「そうなのだ。だから、節約のため、直接行って買うのだ」
「転移の扉作った方が、早いんじゃねえの?」
「それは前に断られたのだ。空き家がないって言われたのだ。せっかくの営業活動が~」
「はいはい。よく頑張りました。そんなに人多いのか?」
「小さい村なのだ。女子供たくさんいるのだ。そういえば男の人は見たことないのだ」
「男がいないってことは、外に出かけてるってことだろ。さすがに女子供で生活はきびしいじゃねえか」
「さすが、マスター。ただのロリコンじゃないのだ」
「このアホ。俺はロリコンじゃねえ。ヒメは同じ歳だ」
「でも、知らない人から見たら、幼女連れて、イチャイチャしてる変態なのだ。うちのようなお姉さんだったら、文句言われないのだ」
「バカに興味ねえ」
「ひどいのだ~」
そうこう話している間に村が見えてきた。小さい村だ。家の数が少ない。だから、借りれる家がないのか。
ウィッチに案内されて、村の中に入る。乾いた風に香草の香りが混じっている。ウィッチはご機嫌そうに子供たちが走り回っているのを見て、ご機嫌だ。ウィッチの話通り、女子供しか見当たらない。クロは不審に思った。村の女は妊娠しているのか、お腹が大きい。だが、問題は表情だ。これから子供が生まれるのに、女たちは表情が暗い。
スパイスの販売店まで着いた。ここの販売員も妊娠している。「いつもの頼むのだ」ウィッチは明るく頼む。
「はい。少々お待ちください」明るく振舞おうとしているが、目が笑っていない。
ウィッチは店にいる子供たちと遊んでいる。クロは店の中を見渡す。なんか掌サイズの剣が飾られている。
「お待たせしました。これいつものロックレルです」
「ありがとうなのだ。行くのだ。マスター」ウィッチは子供たちに挨拶をする。
「なあ、あの剣ってなんだ?」クロは飾ってある剣を指さした。
「ああ、これ知らないんですね。グレーゾーンでは信仰の証として、剣を飾っているんです。聞いたことないですか?『黄の国を照らす太陽が闇に覆われた時、真の王が誕生する』みんな新しい王の誕生を待っているんです」
「なんか聞いたことあるのだ。でも、今の王ではダメなのだ?」ウィッチが話に入って来た。
「それは・・・」女は黙ってしまった。
「くだらねえ」クロは暴言を吐いた。
「なんてこと言うのだ。信じるのはいいことなのだ」
「祈るだけか」
「!?」女は何も言えない。
「止めるのだ。マスター。どうしたのだ?」
「私だってどうにかしたい」女は泣きだした。
「どうゆうことなのだ?」
「この村に男は1人だ。違うか?」
「はい。もうわかっているんですね」
女は話をしてくれた。この村は1人のマッドロールという男によって、若くきれいな女が連れてこられたのである。
最初だけは女たちにも番号が付けられて、名前が呼ばれていた。最初がイチと呼ばれた女だった。イチは同じ境遇の女たちを励まし、精神的支柱であった。村はどんどん女たちが連れてこられた、もちろん不満に思わないわけがない。逃げ出す計画を立てる者もいたが、イチは止めに入った。
イチが止めるのも無理もない。マッドの能力は百発百中。どれだけ離れても、的に当てられる能力。そのせいで犯されれば、一回で妊娠する。産まれた子供には必ず狙いをつけて、逃げようものなら、子供と共に殺される。産まれた子が、男の子なら将来危険な存在になるとして、その場で殺害した。
イチは耐えるように言ったのだ。「必ず私があいつを殺す」一部の人間に殺人計画を伝えていた。だが、計画は失敗に終わった。
そこからが地獄だった。イチと計画をしていた女たちの子どもがマッドロールの家の前に縛られ、いたぶりながらの処刑が行われた。まずは子供が標的になった、すぐに死なないように、手足にナイフを狙い当てていく。その叫び声で母親が止めに入るが、ナイフが飛んで行く。母親は自らの体でナイフを受け止めたが、マッドロールの笑い声とともに、亡くなっていった。
イチは最後まで残され、お前のせいだ。とマッドロールの言葉で生きる希望を捨てて、処刑された。そこから女達は名前では呼ばれなくなり、ただの子供を産む女として、村での生活が待っていた。逃げることも出来ない。ただ、子供が産まれたら、また、犯され、妊娠する日々。この地獄から抜けたいとは、考えられなくなっていた。
クロとウィッチは話を聞いて、クロは寝ていた。ウィッチは泣いていた。
「許せないのだ。うちがみんなを助けるのだ」ウィッチは怒っていた。
そんな中、村で一番大きな建物では、マッドロールと思われる全裸の男が女を犯していた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回カゲの過去以来ぐらいに差別的で暴力的な話を書いた気がします。
こんな感じの方向性の話にしようかなと思って、書いていたんですが、書いてると脱線して、他の路線に行きますね。
このあとからはジョンドゥの正体について書いていくので、書きたいこととは脱線。
読んでいる人達はジョンドゥの正体もうバレてますかね。
わかりにくくしたつもりではあるんですが、こいつがそうなんだってなってほしいです。
こう書いてるってことはもう名前が出て来ているキャラです。
また次回女人村後編楽しみにしてください。




