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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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それぞれの場所へ-1


サマーティーの家を出発したミンキュ・マリー・ジョージはザルア諸国・ポリアン目指して直行…と思いきや、先頭を歩くミンキュが向かったのはとある民家。勢いよく扉をノックする。…いや叩く。

心配する2人を尻目に扉が開かれる。


「なに〜…こんっな朝っぱらから…急病?」


扉から出てきたのは寝起きで、髪もボサボサ。

ランジェリーに薄いレースのガウンを羽織る女性ミリョウ。マリーはその刺激的な姿に照れてしまい、アワアワ視線の置き場に困り果て、ジョージはなにも感じないのか、嫌悪の眼差しを送る。しかし2人ともミリョウの言葉に驚くことになる。


「って…卯月??どうしたの?」

「??卯月?…ドクターあんたミンキュのこと知ってるのか?」

「ドクターミリョウはレルエナ帝国一の医者だよ。」


ミンキュの一言は更にみんなを驚かす。

それもそうだ。こんな僻地にいる破廉恥な女がオーランソでトップの医者だと言うのだから…


「朝から褒めてもらえるのはいいけど、なんなの?」

「旅に同行して。」


「は?!」「はい?」「え〜??!」


3人の声が同時に響く。


「ミンキュちゃ〜ん!なんでこの人〜?この人レルエナの人でしょ〜??」

「大丈夫。ドクターはレルエナから解雇になってる。それに旅の同行はこっちにもそっちにも得しかないはず。」


黙り込むミリョウ。


「まぁ確かに…俺らどう考えても攻撃しかできないもんな…治療のできるドクターがいればこっちはかなり得だな。でもミンキュ…ドクターは何が得なんだ?」


「各地を安全に歩ける。」


ジョージとマリーはミンキュの言うことを理解できないでいたが、ミリョウはその言葉に納得をする。各地にレルエナの悪事を広める旅。いつどこで殺されるかわからない。守りはいくつあっても足りない。ただで護衛がつくのはありがたいことにこの上ないのだ。


「わかった…」


悩んだ末にミリョウは了承し、ジョージとマリーは訳もわからないまま、同行者を迎え入れた。


「で…どこに行くの?」

「ポリアン」

「ポリアン??あそこはあまり医学者いないわね…」

「行かないとかは無しだよ。ドクター。」


ミンキュの鋭い睨みと力まれる拳の凄みに負けるミリョウ。すぐに先ほどの言葉を撤回した。

そうして、4人はポリアンへ向かう。

今回はポリアンに向かうと言うことなので、露出だらけのミリョウも全身白いタイツを着込みその上からいつもの服を着ている。医者なミリョウは3人にももう少し着込むよう指示を出したので、出発の前に服屋で服を買い込んだ。といってもマリーとジョージは雪山を登った時に冬服を買っていたのでミンキュだけが買うことに。


ポリアンまでの道のりはさほど離れてはいない。けれど鎖国状態に近いポリアンは許可書なしでは列車には乗れない。もちろん許可書などは無いので、マグールで地道に向かうしか無い。お金の節約ということで、三体のマグールを借りる。ジョージの後ろにすかさず並ぶミリョウにジョージの冷たいツッコミが飛ぶ。


「冗談なのにつれないわ〜」

「いや…ドクター。目がマジだったよ…」


ジョージの前にはミンキュが乗り、手綱を手にポリアンへと向かう。流石に北国だけあってまだ冬になっていないというのに、近づけば近づくほどに雪がちらつく。


ポリアンは国境沿いに強力な結界を張っており、ザルアでなければ入ることはできない。向かったところでどうやって潜入するか問題になるが、今は内戦状態。混乱は起こしやすいだろうとミンキュは言った。

マグールの足でもポリアンまでは1日半はかかる。適当なタイミングで村か街を見つけて、泊まるしかなかった。太陽の光も遮られ、空は灰色。そして、雪がちらつく。ジョージは腕に視線を落とし、時間を確認する。もうかれこれ昼の3時になろうとしていた。まだ行けると判断し、ぶっ通しで進んだ。言ってもポリアンまでは山を越えれば到着する。

しかし少し走ると、天候は荒れだす。

風が強く、雪が辺りを白く包み込む。

これ以上は流石に先には進むことはできなかった。近くにある街を探し、道を引き返すことになる。街に着く頃には空は暗闇に染まっていた。先ほどの荒れ狂った吹雪が嘘のように空には星々が輝いている。

泊まれそうな宿を探し街を歩く。


「なんなんだ…。今までのあの荒れた天気…」

「…結界?」


ボソリとマリーが呟いたが、その声はミンキュの宿を見つけた声で掻き消された。


宿の部屋は一部屋しかなかったが、ジョージなら問題ないという全会一致で借りることに。

手続きをして、部屋の扉に鍵を差し込もうとした時だ。マリーになんとも言えない違和感が飛び込んでくる。


「ダメ!!離れて!!」


咄嗟に声が飛び出す。驚く3人はすぐに間合いをとる。流石にジョージ、ミンキュは軍人だけあって素早い。それ以上に驚くのはミリョウだ。医者だというのに、2人に劣らない動きを見せた。それには流石にジョージも驚く。


「ドクター…お前何者だ?」


その問いかけに軽くウィンクをしてただの医者よと答える。手の内が見えない状態に少しイラつくジョージ。そんな様子を見て楽しそうなミリョウ。


「マリーさん…?何があるの?どうしたの?」


間合いを取ったものの、何も起こらない状態を不審に思うミンキュ。マリーは困り果てている。


「微量なんだけど…魔力を感じる。この部屋から。ひた隠してる…」

「どうする?ここで待っていても何も起こらないぞ。」

「とにかく…部屋に入ろう…。こういう時防御魔法で保険かけときたいけど…」

「あんた達、誰もそういう類の魔法となえれないの?」

「ドクター…。残念ながらいない。」

「とにかく、ドクターは1番最後に構えろ。俺とミンキュで扉を開けて盾になる。」


ジョージのその言葉にみんなが同意する。

マリーの胸は異様にドキドキしている。この緊張がなんなのか自分でもわからなかった。


鍵を差し込む


ジョージの左手がゆっくりと扉を開ける。そして半分まで開いた時、何も起こらないことを確認して、槍で思い切り扉を押し上けた。


なんの変哲も無い部屋が広がるだけ。

2つのセミダブルのベッドと長ソファ。

優しく光る照明。


恐れていたものは何もない。


「マリー。まだ感じるか?」


マリーも戸惑っていた。


「マリーさんの勘違い??」


ミンキュも集中して気配を探すが、何も感じることができなかった。

けれどもまだ緊張しているマリー。


– いる。


はっきりとわかった。けれども姿を見れない。たしかにこの部屋に何かがいる。

焦りと恐怖がマリーを襲う。


ふとミンキュの言葉が思い出される。


暗殺


ポリアンに近いここで自分の命を奪いに来ているものがいる。確実に…


「あなた疲れているんじゃない?大丈夫??」


真っ青なマリーに心配するミリョウの手が伸びる。


勢いよく払いのけ強く睨みつけるマリーの視線。


「な…?なに???」

「あなた…違う。」

「は?」


呆気にとられるみんな。


「どうしたの??マリーさん??」

「みんな離れて。この人はミリョウさんじゃない。」

「?!」


強い眼差し。それは適当な言葉でないことを物語る。初めは驚いていたミリョウも、突然お腹を抱えて笑いだした。


「ははっ…!これは本物だよ!クュオ!」


突然のミリョウの言葉に何が何だかわからないジョージとミンキュ。

1人冷静なマリー。


「あなたは何者??ミリョウさんはどこ?」

「…え?あ!私…」


そう言って左の手を顔に当て、するすると下に下ろしてゆく。現れた顔はミリョウとは似ても似つかない。

凛とした流れるような細く大きな瞳。


顔が全て現れたと同時に姿が変わる。

ワンレンショートの黒いストレートヘアー。全身が黒く、露出のないポリアンの軍服で包んでいる。


「私はセーヘンドよ。」

「セーヘンドさん…。ミリョウさんは??」


セーヘンドはにっこり笑ってロッドを一振りすると突如とミリョウが床に座り込んで現れた。

目をパチパチとして何が起こったのかわかっていない様子。


ミリョウの無事を確認したマリーはセーヘンドに近寄る。


「何が目的なの?私の命??」


と唐突に投げかけられる質問に今度はセーヘンドが目をパチパチさせる。


「まぁそうと言えばそうなのかも知れないわね…」


その言葉に緊張の糸が張られる。

皆身構える。


「セーヘンド。やめろ。」


低い声に笑って謝るセーヘンド。

声は部屋の奥から聞こえた。セーヘンドにばかり気を取られていた。後ろを振り向くとそこには長身の男性が立っていた。




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