炎の宝珠-4
<彷徨い森>。
それは磁場が乱れ、旅人の行きたい場所を狂わす森。一説では、森の妖精たちが、旅人をからかっているといわれている。妖精など本当にいるのか疑わしいが、この森を見ていると、本当にいるんじゃないだろうか?と思えてくる。秋の柔らかな日差し。緑と茶が混ざる葉は風で揺れる。地面には木の実が少し落ちたりしている。
けれどそんな安らぎの場はキシュにはどうでもよかった。怒り爆発である。
「からかってるどころじゃないわよ!何日間も歩かされた挙句、なんで行きたい場所と逆の方向に行かされてるのよ!」
かなり苛立っている。
「俺に当たるなよー!」
「当たってない!」
この際地べたでダダをこねてやりたいほどである。
たぶん1人だったらしていたのに、今はサマーティーがいるせいでできない!!苛立ちは知らぬ間にサマーティーに向けられていた。
「まぁまぁ、出口がないわけじゃないんだからいいじゃん。ちょっと遠回りするだけと思えばさ!なっ!」
どうにかキシュの機嫌を治そうと優しくなだめるも、機嫌は変わりそうにない。2人のお腹がなった。
「お腹減った…」
キシュは辺りを見回す。動きの鈍そうな猪に角が生えたジーと言う温厚な動物を見つけた。キシュはジーを指差す。サマーティーは首を傾げる。
「え?」
「あれ食べましょう。」
「え??」
「あんただったら一撃で仕留めれるでしょ?出来るだけ一撃で倒して。」
「できるけど…え?あれどうやって食べんの?」
「捌くに決まってんでしょ。」
「え???」
「え?え?ばっか言ってないで!早くしとめてきてよ!!」
鬼のような形相のキシュに慌ててジーを仕留めにサマーティーは向かった。ジーは抵抗する間もなくし止めることが出来た。きっと成獣になる前だったにちがいない。少し小振りだ。
「あのー。倒してきたよ。」
「ありがと。」
キシュは、戦闘で使うナイフとは別のナイフを鞄から取り出し、手際良く皮を履いで、捌きはじめた。サマーティーはその隣で怯えながら火を炊いた。はじめて肉をバラしてるのをみたのだ。当然だ。肉をバラすのは精肉屋の仕事なのだから。
一方キシュは無心に黙々と捌き、心を落ち着かせる。
捌き終わると鞄から二本の串を取りだし、肉を刺して火の近くに刺す。
「なんでそんなサバイバルなの?」
「小さい頃から父さんに叩き込まれてるのよ。いついかなる時でも、生きていけるようにって…。」
「そうだったんだ…」
彼女の父親…グビドは鋭い瞳、鋭い耳を持ち優れた身体能力を持つマキナと呼ばれる人種。確かに彼はサマーティーが見ても屈強なサバイバルな人だ。確かに彼なら娘に生きる術は教えていそう…。サマーティーはグビドを少し恨んで感謝した。複雑だ。少したくましすぎる。
肉の焼けるいい香りがしだす。
キシュは鞄から、塩を取り出しふりかけ、サマーティーに差し出した。その肉の旨さに感激した。
小振りだったせいで全て食べてしまった
「ふー!!食べたー!寝るっ!」
「え?もう??今日の…」
「あー。もう無理無理。お休みなさい。」
サマーティーの言葉を遮り、横になる。
少し呆れるサマーティー。今日起こったことを少し話したかった…キシュをちらりと見ると気持ち良さそうに眠っている。相当疲れたのだろう。
「…何もされないって思ってんのか…。案外呑気だな…」
髪に触れるとはたかれた。
「え…起きてる?おーい」
返事は返ってこない。まさか…無意識?
つい笑いが漏れる。
「おやすみ」
火を囲んで2人は眠りにつく。
今日はいろいろあった。虫と闘ったり、遺跡を逃げたり。あれは何だったのだろうか?あの宝石には何の価値があるんだろうか?キシュはゆっくりとやってくる眠気に身を任せる。
鳥のさえずりで目覚めた。隣にいるはずのサマーティーがいない。慌ててサマーティーを呼んだ。向こうからサマーティーが木の実を摘んでやってきた。
「おはよキシュ。そんなに俺がいなくて淋しかった♡??」
蹴りがサマーティーの足を襲う。
「うわわわ!」
おもいっきり後ろへしりもちをつく。手に持っていた木の実がこぼれる。キシユが呆れて木の実をひろった。
「んなわけないじゃない!!あんたねー。食糧とってきてくれるのは嬉しいんだけど、こんな危険な場所1人でウロウロしないでよ。はぐれるじゃない。」
「ご安心あれ。ちゃんと木に印つけてあるから♡」
小さなナイフを取り出し見せつける。それをみてキシュは呆れた返事で返した。
サマーティーが拾ってきた木の実を食べる。水分を多く含んでいる果実が多い。喉と腹が満たされる
「さ。行くわよ。」
「妖精の気まぐれがない事を祈ろう」




