12. 夢の条件
こんにちは、亀です。
今日のこわっぱは、空の布地を両手に称え、走っては跳ねてを繰り返しております。なんとも賑やかでございます。
………。
ん?音が消えましたか?
見るとこわっぱは床にうつぶせ、静かに横たわっておるのです。
どうした、こわっぱ。
やはりこわっぱは身動きせず。私の頭は真っ白です!
母君、母君…。
私の声は届きません。
ああ、みなさま。こういうとき、一体どうしたらいいのでしょう。
肩をたたくのはどうかですって?では肩の代わりに水草を揺らしてみせましょう。
起きないではありませんか!
声をかけるのはどうかですって?それなら声の代わりに石で音を出しましょう。
起きないではありませんか!
近くで様子を見るべきですって?それならヒーターにのぼって水槽をでましょう。
出ればそこは慣れぬ床で。けれどできうる限りにジタバタと、四肢を動かし、私は湊太に近づきます。
大丈夫か、湊太!
湊太の目はきつく閉じていて。なるほど、これでは私を見ることはできません。
見てくれ、湊太!
私は湊太の横にゆき、顔に手で触れるのです。しかし頬は濡れども湊太は起きず。
湊太!
精一杯の力をもって、私は頬を叩くのです。私の手が痛めども、かなたは返事をしやしません。
かなた!
声をかけても反応はなし。
いくら言葉が違えども、通じていたではなかったのか。
かなた!かなた!かなた!
有らん限りで叫びます。
ともに、そらにゆくのだろう!?
ずっと、ともにいるのだろう!?
ーーーー
「んん。あれ、クリュー?」
とろりと目が開かれれば、そこには私が映っており。
張り詰めた糸がプツンと切れれば、私の身体は床にペタリと崩れるのです。
「あ。いっしょにそらとべたね。」
視線を辿って足元をみれば、空の布地を踏んでいて。
そんなことより、身体は平気か。
不安で顔を覗き込むも、目元を擦るその様は、朝によく見る光景です。
にこにこ笑う湊太をみて、私の心に浮かびます。
私の夢は、湊太とともに。
たとえ夢が叶っても、あなたが隣にいないんじゃ、ちっともうれしくないんだよ。
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本作はこれにて完結です。
お読みいただきありがとうございました。




