終わらぬ戦場、そして正門の影
巨大な骸骨の拳が空を切る。
その一撃は校舎の壁を抉り、砂煙が視界を白く染めた。
「くそっ、まだ動くのか……!」
郷原が吐き捨てながら地を蹴る。真紅のオーラを纏った拳が、骸骨の膝に炸裂した。轟音とともに巨体が傾く。しかし倒れない。
上空から久我の声が降ってきた。
「理人、左に飛べ!」
瞬間、雷槍が青白い軌跡を描いて落下する。骸骨の頭部に直撃した閃光が爆ぜ、周囲に衝撃波が広がった。
黒瀬は炎のマグナムを構えながら、崩れかけた骸骨を見据える。
(急所はどこだ……)
巨体が揺れる。その胸の中心に、微かに光る核のようなものが見えた。
「藤堂、今だ!」
藤堂はすでに動いていた。地面に手を当て、魔法陣を展開する。
「ウォーターバスター」
水龍が骸骨の足元から噴き上がり、巨体を宙に浮かせる。
黒瀬は跳躍した。炎を凝縮させ、銃口を胸の核へと向ける。
呼吸を止める。世界が静まる。
引き金を引いた。
灼熱の一発が核を貫いた瞬間——巨大な骸骨は音もなく、砂のように崩れ落ちた。
グラウンドに静寂が戻る。
「……終わったか」
郷原が膝に手をつきながら息を吐いた。久我が屋上から飛び降り、着地と同時に雷槍を消す。
「派手にやったな」久我が口角を上げた。「まあ、俺たちには余裕だったけど」
「どこがだよ」郷原が即座に返す。
藤堂は無言で立ち上がり、グラウンド全体を見渡した。残った骸骨の数を確認する。もう動くものはいない。
「ひとまず、終わりだ」
黒瀬は息をつき、マグナムを解除しようとした。
その瞬間だった。
全身に、電流が走った。
(——この感覚)
体が反射的に正門の方向を向く。骸骨たちの無機質な気配とは全く違う。人間的で、鋭く、冷たい殺気。
そしてそれは——どこかで感じたことがある。
記憶が蘇る。3日前の教室。転校生が自分の席へと歩いてきた瞬間。全身が凍りついたあの感覚と、全く同じものだった。
「……なあ、お前ら」
黒瀬の声に、3人が振り向く。
「正門に、何かいる」
4人の視線が、一斉に正門へと向いた。




