海賊の宝の持ち主との戦い!
「俺の財宝を欲しがる奴は誰だ…?」
宝箱に近づくと、恐ろしく低い声が聞こえる…勿論自分達の声ではない。
「渡さない、我が財宝を!呪われろ!墓荒らしに呪いあれ!肉を失い我が手足になれ!我はガオウ!この墓の主である!」
ズズズと地面からスケルトンが現れる…ダンジョン内で戦ったスケルトンより、大型の骨で巨剣を持っていて、錆びては居るが、リーダーさんと同じ様なプレートアーマーを装備している。
ガオウは明らかに宝の持ち主だが、海賊のくせに重武装しているんだな…海に落ちたら溺死するぞ…いや、溺死しなかったから、ダンジョンの奥底で埋葬されてるのか…。
「断る、こんな場所で労働なんて、死んでもゴメンだな、レンナさんそのアースキーで埋葬してあげたら?」
リーダーが杖を振るうと、自分達の武器に白い清らかなオーラを発し始める。
「ちょっとリーダー、お兄ちゃんのアースキーは埋葬用じゃないよ!火を焚べる用だよ!」
「いや、そういう設定とか考えてないぞ、行くよフェル!」
「はい、パワーアップ!スピードアップ!エレメントブースト!」
ユリのボケに突っ込みつつ、アースキーで攻撃を始めるが、ガオウの持つ、巨剣で受け止められて弾かれる。
「ワイドエイジング」
ガオウの手から放たれた波動を浴びてしまう、すると視界がグン!と高くなり、違和感を感じる。
「うわ!?レンナさんが大きくなりました!?」
「え、なにこれプラス効果?」
てっきり麻痺なり毒なりしてくると思ったら、体が子供から大人に成長していた。
細く引き締まった手足と肉体、胸の成長は当たり前だがしておらず、リアルの自分と同じ身長になっていた、水着も大きくなってるのはゲームの都合だろう。
フェルも目を丸くしている。
「ガキを虐める趣味はない、その姿で死ね!」
「もしかして舐めてるというやつか?」
成長した体なら、アースキーを羽のように片手でぶん回せそうだ、アドバンテージを与えた事に後悔させてやる!
「ちょっとリーダー回復は!?老化治す薬高いからケチりたいのに!」
「……クリ、ふが…鎧重い…」
背後からユリ達の声が聞こえる…二人の声が枯れている?年寄りな感じに聞こえるが…自分が大人になってるから多分二人はガオウの波動で老化状態なんだろう…。
なぜ自分だけ大人になるだけで済んでるかは分からないが、今は二人に頼れない。
ガオウと睨み合ってる手前、後ろは向けないし、老人状態のユリはちょっと見てみたいような見てみたくないような…。
というかこういう時回復アイテムケチるなよユリ…。
「これで二人の力は封じたまずは貴様からだ!」
「なめるな!」
片手でアースキーを振るい、ガオウに攻撃する。
大人の自分ならもう一つアースキーが欲しくなるがないものねだりは仕方ない、槍のようにアースキーをガオウに向かって、連続で突き刺す。
しかし鎧に阻まれて、鎧に露出している骨は巨剣によってガードされて殆どダメージを与えられない。
「クリア!」
「よしなおった!おまたせ成長したお姉ちゃん!クソボス死ね!アサルトピアース!」
凄い勢いで自分の隣を走り抜けるユリ、ユリはレンフェルソードを鋭くガオウの鎧に突き刺して、ガオウを吹き飛ばした!
ガオウは大きく後退するが、壁に激突なせずに止まる…あの一撃をくらっても、鎧にヒビすら入ってないのはマジか…あの鎧硬すぎるだろ。
「ぐう…剣一つでこれほどの威力とは…だが普通の一撃では我は倒せんぞ…」
「あ、しまった…クリアでリーダーの聖属性付与も消えてる」
「まったく、すぐに突っ込むなユリ!聖属性のエンチャントし直すから待ってろ!」
リーダーさんが再びユリに補助魔法をかけ始める。
その間に、まだエンチャントが切れていない自分がガオウに攻撃を仕掛ける。
「フェル、雷だ!」
「わかりました!」
強固な金属鎧に守られてるなら、電気を流せばダメージを与えられるはずだ!
「舐めるな!子供が!スリープブレード!」
ガオウが紫の色を纏った巨剣を何度も振り回し、攻撃してくる。
成長して攻撃が当たりやすくなっている、触れたら状態異常で一気にやられると思い、踏み込みにくい、じわじわ前に出てくる為、当たらないようにバックステップで回避する。
「アクアシールド!」
急なアクアシールドが展開されたが、フェルの考えはわかった、共鳴の効果でバチバチに音を発する、雷を纏ったアースキーをアクアシールドに叩きつけて、雷を纏った水をガオウに飛ばす!
「ぐうぅ!」
「そこだ!」
雷を纏った水を浴びて怯む、武器の振り回しも止まった為、大きく踏み込んでアースキーを何度も叩きつける、金属鎧とアースキーがぶつかる度に、バチバチと雷がガオウにダメージを与える。
「舐めるな!パワーブレイク!」
「ぐう!?」
雷で痺れる体を動かして、巨剣ではなく腕で自分を殴り飛ばしてくる、大きく吹き飛ばされたが、ユリに受け止めてくれたお陰で、壁に激突するのをまぬがれた…。
「助かったユリ…」
「こっちも時間かかってごめん!次は挟み撃ちでいくよ!」
ばしゃりと回復薬をかけられる、自分のHPバーがすぐさま満タンになり、殴られた際に増えたマイナスの状態異常と大人になった際についたアイコンが消滅する。
すると体は元の子供の姿に戻った。
「デバフをかける!一気に攻めるぞ!」
リーダーさんが前を出て、ガオウの巨剣をナイフで受け流しながら、杖を振って何かしらの魔法をかけている…ガオウの鎧が目に見えてボロボロになり、動きが鈍る…。
チャンスなのは目に見えた。
「クイックステップからのアサルトピアース!」
「アースキー!」
「アナライズエンド!」
それぞれ必殺技と思われる技や魔法を放つ…ユリは、高速で相手の反対側に回り込み、強烈の突き刺し攻撃!
自分のは武器の名前でただの突き刺しだが、共鳴の効果で強烈な雷を流し込む!
リーダーさんはどんな技かな分からない…ただナイフがムチのように伸びて、ガロウの頭を貫いたように見えた…。
「くう…ふざけるな…この俺が…」
宝の持ち主、ガロウはボロボロになり、崩れ落ちた。