海賊の宝を求めてダンジョン突入!
戦闘後、船長NPCから感謝の言葉を受け取った自分達は、船内でユリが回収した海賊のお宝を3等分していた。
「なんというか、敵の数の割にしょぼいな…」
海賊船のお宝はショボかった…分けた結果、それぞれが手に入れたのは、ある程度の回復アイテムと少しのお金だった。
「まあ、最初の標的だったんだろうね、この船」
「クエストの目的は宝の地図だ、そこに期待しようぜ」
ユリ、リーダーさんがそれぞれ反応を示す。
「しかしユリは良く一人で戦えたな…こっちはリーダーさんが海賊の注目を集めてなかったら、やばかったよ…」
「こっちはバフがしっかりあったのと、狭い船内に入り込めば、1対1を繰り返すだけだから、比較的に楽だったよ」
なるほど…1対10と1対1×10回じゃ、ぜんぜん違うからな…範囲攻撃できる人なら前者でいいと思うが、自分みたいに単体攻撃がメインな身としては、後者の方がありがたい…フェルのリジェネレートも持久戦向けだからな…。
「所で4人で船内に居ていいのか?また海賊襲来とか警戒しなくていいのか?」
「船員のNPCがいるから、問題ないよお兄ちゃん、それに誰でも見える位置にいるNPCから受けられるクエストだし、酷い不意打ちはないと思うよ」
「そうだと良いんだが…」
内心警戒していると、船長NPCが話しかけてきた、宝の地図の所に来たけど、危険な匂いがするから強い君達に探索して欲しいとのこと。
「お、ついたか…ボスかな?それともダンジョンかな?」
そう言って、船の外に向かうリーダーさんについていく。
船を降り立った先には洞窟の入口だけがあり、先の見えない暗闇が見えていた。
「フェル、ライトをお願いして良い?」
「はい、ライト!」
自分の頭上に光の玉が現れ、洞窟を照らす…。
「オールサーチ!」
リーダーさんの声が響き渡ると、リーダーさんから波動が放たれる。
「む、小規模ながらもダンジョンになってるのか」
「敵数とトラップは?」
「敵の反応は少ない、トラップはそこそこある」
「魔法一つで全部わかるの…?」
「あはは、最強探索スキルだよ…まあ、これは強すぎてナーフされた結果、MPを割合で9割消し飛ぶから、かなり燃費は悪いよ」
リーダーさんとユリのやり取りをぽかーんと見る。
それをみたリーダーさんがMP回復薬を飲んでからスキルの説明してくれた。
「あ、もしかして自力で探索したかった?」
「その気持ちはあるけど、ある力に頼らず、自力で探索して、フェルを怪我させる訳にはいかないよ」
自分が痛い思いするのはいいけど、フェルにそんな思いはさせたくない。
「なら私がフェルを預かるから、お兄ちゃんが先行する?リーダーが居れば、最悪死にはしないでしょ」
「俺をなんでも出来る舞台装置と思うなユリ…即死保護なら出来るけど…ファイナルターミナル」
リーダーの魔法が自分を包む、なんか名前からして強そうだ。
「これでHPがゼロになると、HPが1回復して3秒無敵になる付与魔法をかけたよ、それで隊列は前からレンナさん、ユリとフェルさん、俺でいいんだな?」
「えーといいのか?二人共?自分が先行して?」
「お兄ちゃんは初めての夏イベントでしょ?なら楽しい思い出作りに協力するのが、先行者の役目だからね」
「まあ、ユリの普段の無茶振りに比べたら、このくらいは可愛いものだよ」
そう聞くとユリとリーダーさんは笑顔で答えた。
「あの、ユリの無茶振りて、どんなのですか?」
「例えば大量の敵のヘイトを稼ぐから守ってくれとか、明日以内に衣装を…痛!?」
「その代わり色々と情報集めてるんだから、Win-Winでしょ?」
自分の胸ポケットから離脱して、ユリの肩に乗ったフェルの質問に、愚痴るように答えるリーダーさんと、リーダーさんにの足を踏むように攻撃するユリ…これは仲がいいというやつなのかな?
「えーと、それじゃあダンジョンに入っていい?」
そう聞くとユリとリーダーさんが頷いたので、自分はダンジョンに足を踏み入れた。