第6話 お風呂
私たちは結局日が沈むまで遊んでいました。ブランコを飽きるまでした後は追いかけっこをして走り回っていました。
「ハァ……ハァ……こんなに走ったのはいつ以来かしら。楽しかったわ。」
「流石……ルーシィです。凄い運動量ですね。」
「何かあった時は自分自身で身を守れる様にと父上に武術を習っていたからね。でも、こんなに走ったのは久しぶり。楽しかったわ。」
「楽しんで頂いて光栄です。あー、服も髪もぐしゃぐしゃですね。」
私とルーシィ様の服を見ると至る所埃まみれの土まみれでした。髪も乱れていました。
「お屋敷に戻りましょうか。」
「そうね。シャワーでも浴びたいわ。」
そうして私が先に屋敷に戻ろうとすると急にルーシィ様は私の手を握りました。
「一緒に帰りましょう。」
「ですが。こんな形で戻ったら屋敷の者が驚かれます。私が先に戻り準備させた方が……」
「いいから。一緒に帰りましょう……ね?」
ルーシィ様の視線の圧力に負けた私は一緒に帰るのでした。
屋敷に戻ると侍女の方々がすぐに集まってきました。まぁこんなに汚れているのですから仕方ありません。すぐにお風呂を沸かしてくれるそうなので私たちはそのまま脱衣所へと連れて行かれるのでした。
「皆さんよく働くわね。」
「ええ、少数しか雇っていませんから。」
「あらなぜ?」
「私と両親3人だけでしたら10人足らずの侍女で足りるからです。指揮系統も簡略化出来ますし、多いとサボる方やスパイの方も紛れ込みやすくなります。」
「それなら私が増えたからまた増やすのかしら?」
「たぶんですが増やさないと思います。客人が来られた時の為にしっかりと臨時の方を用意しています。」
「そうなのね。流石は軍師様。よく考えていらっしゃる。」
納得した感じのルーシィ様。話していると侍女がやってくる。
「お待たせしました。お風呂のご用意が出来ました。」
「ありがとうございます。ルーシィ様お先にどうぞ。」
「えっ?せっかくだし2人で入りましょうよ。」
「えっ?いやダメですよ!流石にお客様と同じお風呂に入るなど……」
「あら、そのお客様が一緒に入りましょうと言ってるのよ。入らないと無礼ではなくて?」
暴論の様な気がしました。しかし侍女からも勧められてしまった為、一緒に入る事にしました。そして何やら侍女はルーシィ様からお駄賃を貰っていました……
「ふぅーん……」
「な、なんですか?」
ルーシィ様はなぜか私の体を見てきます。というより観察という方が正しい気がします。
「リアって意外と胸があるわね。」
「そ、そんな事は……」
「それは嫌味かしら〜?」
「きゃーー!」
いきなりこめかみをグリグリとしてくるルーシィ様に私は悲鳴を上げる事しか出来ませんでした。ルーシィ様のも慎ましくて良いと思うのですがそんな事を言えばまた何をされるか分かったものではないので黙っておく事にします。
「座って。髪洗ってあげるわ。」
「そんな恐れ多い……」
「いいから!こう見えて上手いのよ。」
既にシャワーを持たれていたので私は座る事にしました。
「やっぱりいい髪ね。ちゃんと手入れされてるわ。」
「ありがとうございます。」
褒められるとやっぱり嬉しいものです。そうして泡をながしてもらいました。
「では、今度は私がルーシィを洗う番ですね!」
「えっ……そうね。お願いしようかしら。」
私とルーシィ様は洗う洗われるの立場を入れ替わります。
「ルーシィの髪も綺麗ですね。傷んでる箇所もありません。」
「ありがとう。なかなか上手いじゃない。」
「ありがとうございます。」
少し緊張しますが、上手いと言われたので自信を持って洗う事が出来ました。シャワーを浴びた後は部屋着に着替えて夕食でした。父上と母上も同席で今日の話をしました。
「あのブランコはおじ様が作ったのですか?」
「ああ、随分昔の話でですね。リアは極度の人見知りだったものですから私が作ってあげたのです。この庭でなら好きなだけ遊べるからとね。」
「お優しいのですね。私の父上はそんな事はなく厳しい方でしたので羨ましいですわ。」
「そうなのですか、フィール侯爵様はよく貴女の話をしていましたよ。よく出来た娘だと。」
「そうなのですか?初耳です。」
父上と話してたルーシィ様を見ると少し頬を赤らめていました。どうやら照れてる様です。これはたぶん貴重な事だと思う私でした。そして我が家に馴染んでるルーシィ様の凄さを思い知る私でした。
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