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39歳の平凡な中小企業(さつまいも生産・販売)の社長!農業スキルで異世界無双!  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第69話:氷の大地産・冷やし焼き芋

「ツトム。アイリスへの愛してる発言と、アイラ様への口移しの件……まだ何一つ解決してないから。こちらのツトムに対する処罰は後でたっぷり申し伝えるわね」


 ルカが氷点下の笑顔で告げる。


(私だって……私だって、愛してるとも言われてないし、口移しなんてされてないのに!ツトムのばぁぁぁぁか!!)


 ルカの心の中の絶叫が、城内に木霊しているかのようだった。


「よし!ではやっていくか! ハル、シンシア、準備はいいか?」


「はぁい!」「わっちの出番でありんすね!」


「土魔法、『カルチ』!!」


 ツトムが唱えると、分厚い氷がバリバリと剥がれ、豊かな土が顔を出した。そこへアイリスが鉄パイプを次々と放り投げる。パイプは空中で魔法のような軌道を描き、地面へ等間隔に深く突き刺さった。


「私の中級風魔法、『ウィンド』で運ぶわよ!」


 ルカが超強化ビニールをふわふわと操り、パイプの骨組みに被せていく。そこへグライザが太陽の石制御ユニットを接続し、熱気を送り込んだ。

 一瞬にして、極寒の地に春の温もりを湛えた簡易ハウスが完成した。


「『リージング』『マルチング』『グロウ』!!」


 ツトムの呪文に、ハルとシンシアの魔力が共鳴する。マルチの隙間から、生命力に溢れた芽が勢いよく顔を出した。


「やはり二人がいると成長が早いな」


「えへへぇ、ツトム様のお役に立てて光栄ですわぁ」


 さらにルカの水魔法の『ウォーター』とニーニャの『浄化の雨』が降り注ぐと、蔓は猛烈な勢いで伸び、土の中では丸々と太ったベニ・ハルーカが育っていった。


「さあ、収穫だ!」


 そこへ、アイラが私兵を引き連れて現れた。


「ツトムよ、私の兵も手伝わせよう。この歴史的な瞬間に立ち会わせてくれ」


 収穫されたばかりの芋を、グライザとアイリスが即席の釜で焼き上げる。


「アイラ様、これが出来たての焼き芋です」


「これが、氷の大地で育ったベニ・ハルーカか……」


 アイラが一口齧る。その瞬間、彼女の瞳が大きく見開かれた。


「おぉぉぉぉ!以前もらったものより、さらに甘いのではないか!?」


「精霊の加護と浄化の魔法を贅沢に使った土の影響でしょうね。ですがアイラ様、本番はここからです」


 ツトムは不敵に微笑んだ。


「冷やし焼き芋を試していただきたい。焼き芋をアイラ様の氷魔法で凍結させ、それをハウスの熱でじっくり解凍するのです。これなら保存も利き、王都の新たな名産品として飢餓を救い、富をもたらします」


「やってみよう。中級氷魔法、『アイス』!!」


 アイラの魔力で瞬時に凍結した芋を、ハウスの熱で戻す。完成した氷の大地産・冷やし焼き芋を一口食べたアイラは、見たこともないような興奮した顔になった。


「なんなんじゃ、これは……!美味しい、ツトム、美味しすぎるぞ!!」


「アイラ様、お肌がさらにツルスベになりましたね」


「本当じゃな……ツトム、お主は天才か。砂漠での私の何気ない一言から、これを思いつくとは……」


 アイラは感激に震えていたが、ふと寂しげな表情を見せた。


「……行くのか?ツトムよ、私と共にここで暮らしてもよいのだぞ。皆も、だ」


 女王からの直々の勧誘。だが、ツトムは優しく首を振った。


「嬉しいお誘いですが、行きます。まずは王都に戻り、国王陛下にこの成果を報告しなければなりませんから」


 ツトムはニコリと笑い、新たな旅立ちを見据えた。


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