第41話:勘違いハーレム!?
「ツトム……。おはよう……」
ルカが微睡みの中から、とろけるような声で囁いた。繋いだ指には、まだ力がこもっている。
「……まだ、離さないわよ。ツトムにも、たまには『ご褒美』が必要だものね」
ルカだけではない。反対側ではアイリスがツトムの腕に頭を寄せ、グライザも背中を預けるようにして眠っている。そして足元近くでは、ハルが満足げな寝顔でツトムの気配を噛み締めていた。
(……ああ。体がこんなに軽いのは、みんなが少しずつ、一晩中魔力を流し込んでくれていたおかげか)
ツトムは、自分のために不自由な姿勢で夜を明かしてくれた4人の温もりを感じ、胸の奥が熱くなるのを感じた。
昨日までの嫉妬や喧嘩も、すべては自分を想ってのこと。 そして今、こうして自分を「癒やす」ために力を合わせてくれた。
「……みんな、ありがとう」
4人の穏やかな寝息に紛れるような、誰の耳にも届かないほどの小さな声で、ツトムはそっと呟いた。
しかし、そのわずかな呟きに、ハルの耳がピクリと動き、ルカの握る手がほんの少しだけ強くなったのを、ツトムはまだ知らない。
「……ツトムのバァーカ」
ルカが、まるで夢の中で小言を言っているかのような、掠れた声で呟いた。 彼女の頬は朝日のせいか、それともツトムの言葉のせいか、ほんのりと赤らんでいる。ルカは繋いだ指の感触を確かめるようにギュッと力を込めると、幸せな余韻を噛み締めるように再びそっと目を閉じた。
ツトムの「ありがとう」が、彼女たちにとって何よりのご褒美になったことは間違いなかった。 ドワーフの街の静かな朝。連結された不格好なベッドの上で、五人の心はこれまでにないほど穏やかに重なり合っていた。
「勇者殿ー! 準備はできたかー! 出発の……」
バァン! と勢いよくドアを蹴破って入ってきた技師長が、そのまま石像のように固まった。 連結された巨大なベッドの上で、四人のおなごに囲まれて眠る勇者の姿。あまりの光景に、技師長は引き攣った顔で声を絞り出す。
「勇者殿……。いくらなんでも、それは流石にやりすぎじゃねえか……?」
「ぎ、技師長! これは誤解です! 彼女たちは、僕が疲れているのを知って、一晩中魔力供給をして回復させてくれていたみたいで……!」
必死に弁明するツトムだったが、技師長は「……まあ、勇者殿が元気ならそれでいいがな」と、全く納得がいっていない様子で頭を掻いた。
「とりあえず朝飯だ。とっとと起きてこい!」
賑やかな朝食を終え、ツトムは心からの感謝を伝えた。
「技師長、本当にお世話になりました」
「気にするな。イモジョウチュウの件、頼んだぞ!」




